第15週「後悔しているんですか?」 第80回 1月7日(月)放送より
脚本:福田 靖 
演出:安達もじり
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

80話のあらすじ
昭和32年10月。萬平(長谷川博己)が池田市信用組合の理事長になってから8年。
証券会社出身の真一(大谷亮平)のサポートもあって事業は順調だった。
そんなある日、福子(安藤サクラ)の親友・敏(松井玲奈)から、世の中にない道具を作ろうとしている町工場を助けてほしいと頼まれる。

「やっぱり朝は朝ドラですよ」
全国的に仕事始めの月曜日、「やっぱり朝は朝ドラですよ」と高瀬耕造アナ@「おはよう日本 関東版」が言うように、朝ドラからはじまる一日が今年もはじまります。

福子(安藤サクラ)と萬平一家が大阪の中心部から北に15キロ離れた池田に移り住んで8年。
世の中は「もはや戦後ではない」という言葉のように活気づいています。

池田信用組合も8年目、「上半期はみなさんががんばってくれたおかげで目標達成です」(萬平)だそうで、数字がまったく出てきませんが、良さそうな雰囲気。
「みなさんががんばってくれたおかげで」のあと少しだけ間が空いて「目標達成です」という期待感を煽る話し方のうまさはさすがの長谷川博己さんです。

ところが、景気が悪くなってきたと銀行の人が忠告していきます。
萬平さん、8年間の良い時期はいっさい描かれず、危機がそこにある時ばかり。それが宿命なのでしょう。

とはいえ、つかの間のほのぼの
2階建ての近代的な立派な家屋で、洋風のインテリアに囲まれて、萬平、福子、源、幸、鈴(松坂慶子)と夕飯を食べています。
そこに、福子が昼間、敏から相談された、町工場の話をして……。
萬平の目がキラリ。食事をこぼしてしまうのも興味をもった証なのでしょう。

福子は理事長夫人としてのんびりできる身でありながら、パーラー白薔薇で働いています。
パーマをかけてサザエさんのようです(髪型を変えたことに萬平が気づかないのはお約束)。そういえば、鈴の「フフフフフ」という文字そのままの笑いもサザエさんぽいですね。

白薔薇の店長は加藤雅也さん、ママは牧瀬里穂さん。大阪出身の加藤さんと福岡出身の牧瀬さんのちゃきちゃきした応酬が楽しめます。若い頃に芸能界を目指して挫折した同士という設定も面白い。
松井玲奈さんの醸す昭和の奥さん感もステキです。清潔感がありました。

「なんで玄関にこんなにたくさん人がいるんや」
福子たちが出ていった香田家は、神部(瀬戸康史)とタカ(岸井ゆきの)が結婚してもなお、住んでいます。
神部が婿というわけではありませんがここが居心地いいそうです。
忠彦(要潤)の絵も高く売れていて、香田家も潤っています。
家族を一気に見せるため、玄関にわらわら溜まっている状況を、忠彦が「なんで玄関にこんなにたくさん人がいるんや」と突っ込むところがすばらしかったです。克彦は良きツッコミキャラになりました。

鈴と克子(松下奈緒)の会話も、ふたりのリズムのとり方が巧みで安定しています。
「理事長夫人が働きに出るやなんて」
「家の掃除洗濯はお手伝いさんを雇えばいいのよ」
「理事長夫人の母親がどうして源ちゃんやさっちゃんのパンツ洗わないといけないの」
「だいたいどうしてここに茂さんが住んでいるのよ」
「信じられない〜〜」
など、なんだかなああというような台詞をゆっくり可愛らしくしゃべって、印象に残します。松坂慶子さんの天性の魅力なのか、長年トップを走ってきた貫禄か、とにかくすばらしい。
対する松下奈緒さんも。音楽家だからか、松坂慶子さんのテンポに乗っていくのか乗せているのか、いいリズムを奏でます。声も聞き心地が良いこと良いこと。
忠彦が売れると思っていたと調子いいことを言う鈴に、
「よう言えるわねそんなことおかあさん」と返す声と表情が絶妙でした。

ゲゲゲの女房」の成功が、時間帯の変更や漫画を扱ったことや向井理さんの魅力だけにとどまらず、松下奈緒さんの実力であったことが改めてわかることが「まんぷく」の意義のひとつだと感じます。
(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説まんぷく
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~


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イラストと文/木俣冬