採用コンサルタントが考える改善点

人手不足」が叫ばれている昨今。「求人広告を出したものの、まったく応募がこない」、採用担当者の間ではこんな言葉が日常的に飛び交っています。

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人手不足倒産が大幅増に

建築業界では、災害復興および東京オリンピックパラリンピックの会場やホテルの建設で仕事が急増。宅配業者はドライバー不足が深刻化し、活況なIT業界でもデジタル技術を活用したアプリケーションの拡大で新たな職種の需要が急激に高まり、必要なポジションの育成が間に合っていないという話をよく耳にします。

帝国データバンク2018年9月調査でも、約1万の企業の中で「正社員が不足している」と回答した企業は全体の51.7%と過半を占め、1年前の同調査(48.2%)から3.5ポイント増加しています。また、同調査では2018年度上半期に「人手不足倒産」が76件発生し、前年同期比40.7%の大幅増という結果が明らかになりました。

人手不足からの脱却は、もはや採用担当者だけではなく会社全体で取り組むべき課題と言えるでしょう。

参考:帝国データバンク人手不足倒産」の動向調査(2018年度上半期)

求人広告で応募はこないのか?

このように人手不足が深刻化しているものの、一部には人材が定着している企業もありますし、組織変革、働き方改革によって人材不足から脱却した企業もあるようです。

では、そうした企業以外では求人広告を出しても応募がこないのでしょうか。そんなことはありません。社員満足度がまずまずの企業や離職率が業界の平均値よりも極端に高くない企業であれば、世の中にあふれている求人の中でも、少しの改善で応募者が増える可能性があります。

また、社員満足度や定着率が極端に低い場合は違うところに課題が眠っている可能性がありますので、社員の声に耳を傾けてみると良いかもしれません。

採用コンサルタントが残念に思う求人広告の4つの特徴

会社と無関係なフリー素材の画像を使った広告

文字情報も大事ですが、唯一視覚的に魅力を伝えられる「画像」を会社と無関係なフリー素材にしてしまうのは本当にもったいないことです。フリー素材が悪いわけではありませんが、企業や募集している職種を具体的にイメージしてもらえる現場の写真を撮影することがより好ましいと言えます。

特にウェブサムネイル画像(求人のトップに出る画像)は、他の企業と差別化が図れるような画像(企業の強みが全面的に出ている画像や採用ターゲットに刺さりそうな画像)をもってくるとクリック率も高まるようです。画像での差別化が大切なのは、限られたスペースアピールすることが必要な紙媒体の求人広告の場合も同様です。

特に、自社らしさと採用で求める人物像をビジュアルで表現できる写真があればなお良いでしょう。たとえば、募集職種が事務職で、「少人数でアットホーム」という自社らしさと、「コツコツとやる作業も楽しんでできる協調性の高い人」という採用ターゲットを意識した場合、事務作業を笑顔でやっている雰囲気や社員同士で談笑している姿を画像にする、といった具合です。

もし自社らしい写真に悩む場合は、プロのカメラマンにお願いすると第三者的な視点から企業の魅力が伝わる写真を撮ってくれると思いますので、その中から採用ターゲットを意識して選定できると効果が上がるでしょう。

採用ターゲットが明確でない広告

今は人手不足だから、まずは応募だけでもきてほしいと採用ターゲットが不透明なまま求人を出してしまうこともあると思います。しかし、それではかえって応募しにくい状況を作っている可能性があります。

たとえば、「大学生からシニアまで活躍中」「未経験も経験者も可」というような求人広告。

皆さんはこれを見てどう感じますか? 大学生から見ると、同じ年代の人と働きたいと思う人は避けるかもしれません。一方、シニアの方は若い人と一緒に働けるかなと不安になる場合もあるでしょう。

また未経験者の方も、経験者が優遇されるのではと勘ぐってしまう可能性もあるでしょうし、経験者の方は未経験者もOKということは、これまでの経験が活かせるか心配という声もあると思います。

入口を広くすることは悪いことではありませんが、採用ターゲットが入りやすい入口にしてあげることが何よりも大切です。

たとえば、「大学生が活躍中、50代が半数以上」というように表現し、それぞれのケースで次のような補足をするというようにです。

経験者に来てほしい場合:【求める人物像】業界経験〇年or【必須】○○のスキル、職種経験者
経験者に来てほしいが未経験者でも可の場合:経験者歓迎、○○のスキルがあれば未経験者も可
未経験者可の場合:業界未経験者大歓迎(一から教えます)※
※研修制度やフォロー体制についての記載があるとなお良い

職種や仕事内容の説明が抽象的な広告

職種や仕事内容は求職者にどれだけイメージをしてもらうかがポイントになってきますので、求人広告を書き終えたら第三者に見せてフィードバックをもらうと良いでしょう。筆者も企業で採用担当をしていた頃、募集職種の社員に聞いたり、未経験者も可の場合は異なる職種の社員にも求人広告を見てもらって意見を聞いていました。

特に採用担当者本人が体験したことのない職種の求人広告の場合、違和感を生む広告内容になってしまうことがあるので、採用ターゲットに伝わるかどうかを周囲に確認しながら説明を書くようにしていました。

また未経験者可の求人の場合は特にイメージしやすく、自分にもできるかもと思ってもらえるような書き方ができるとより効果が上がります。

以下に職種がスクール営業職の場合の良い例と悪い例を挙げます。

悪い例1:
電話営業のお仕事(抽象的すぎる)

悪い例2:
資料請求やお問い合わせいただいたお客様にアポイントをとって、説明会を開催し、お客様のニーズに合わせて講座をご提案し、お客様の...以下続く(文章が長すぎる)

良い例:
〇〇スクールの窓口役として、受講希望者の対応や講座の提案、受講生へのカウンセリングをお任せします。
■主な業務
・受講希望者への説明会の開催
・受講希望者のニーズに合わせた講座の提案
・お客様や学生、電話の対応等の受付業務
・資料の発送、入金といった事務作業、学校運営のサポート

求めている能力レベルが曖昧な広告

コミュニケーション能力が高い人」という表現をよく目にすると思います。コミュニケーション能力はどの職種でも活かされるスキルだからこそ、多くの求人に記載されていますよね。しかし、応募者の立場に立ってみると、自分は「コミュニケーション能力が高い」と自信を持って言える人は少ないのではないでしょうか。

このギャップを埋めるテクニックとしては「レベルの明確化」が役に立ちます。たとえば、返信が早い人、笑顔で挨拶できる人、初対面でも物怖じせず話ができる人、気配り上手と言われたことがある人、報告連絡相談ができる人、電話応対ができる人...のようにコミュニケーション能力のレベルを具体化することで、求職者も自分が該当するかどうか判断しやすくなります。

まとめ

今回は残念な求人広告の代表的な4つのパターンを挙げてみました。求人は「自社らしさ」と「採用ターゲットの明確化」が大きな鍵を握ります。自社らしさは「企業が何を大切にして、何を実現したいのか」という価値観の部分で、採用ターゲットの明確化は「どういった人材を求めているのか」というターゲット設定を指しています。

この2つが明確になれば、採用手法も求人媒体選定も選考もスムーズにいきやすくなり、応募者にとっても分かりやすい広告になるのでより効果的なものになるでしょう。求人をお考えの方は、ぜひ参考にしていただければと思います。