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 アメリカの経済誌『フォーブス』は編集室の人工知能化を推し進めている。

 ここ10年で最大の利益を上げた同社は、昨年夏に新しいコンテンツ管理AIツール「バーティ(Bertie)」を導入した。

 これは過去の実績に基づいて寄稿者にテーマを提案したり、記事や画像への感想に基づいてタイトルを考案したりするAIだ。

 さらに同誌では原稿の下書きを書くツールの検証も行っている。これが実用化された場合、寄稿者は最初から最後まで記事を書くのではなく、ツールが書いた原稿の手直しが仕事になる。

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 バーティを利用するのは現在、北米で働く編集スタッフと上位の寄稿者のみだが、2019年の第一四半期中には北米およびヨーロッパの寄稿者全員が使えるようになる。

 一方、記事の原稿を執筆するAIツールについては、実験中のものであり、今のところ正式採用の予定はない。

記事執筆を支援し、効率化を図るAIツール

 たとえば自動車産業について書くことが多い寄稿者のために、AIツール「バーティ(Bertie)」はテスラの記事を書くための資料を探し、過去にフォーブスなどに掲載された関連記事のリンクを完成させる。さらに記事を面白く演出する画像を提案したりもする。

 今フォーブスでは記事作成の効率化を図り、同時にサイト閲覧者にとって読みやすいコンテンツを作るためにAIの導入を進めている。バーティもこの一環である。

 「楽にかつスマートに出版できるようにするためにできることは何でもやる。それが私たちの(寄稿者への)礼儀」と新たにデジタル部門の責任者となったサラ・ザラティモ氏は話す。

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フォーブスを支える寄稿者たちのニーズを満たす

 寄稿者のネットワークを時代遅れとみなす出版社もあるが、フォーブスでは自前のネットワークを昔から変わらず大切にしている。

 1年ほど前、同社は寄稿者向け制度を改正し、およそ2500名のメンバー全員に最低でも月250ドル(約27000円)が支払われるようになった。また報酬は各自の愛読者が増えるほど増加する。

 寄稿者は毎日300本ものコンテンツを書き上げ、フォーブスはそれを掲載する。ゆえに彼らのニーズはフォーブスの編集チームにとって最優先事項であり、上位の寄稿者を定期的にオフィスに招いては、サポート体制について意見を尋ねている。

 AIツールが開発された理由の1つは、寄稿者のニーズを満たすためだとザラティモ氏は言う。

寄稿者たちに新たなインスピレーションを与える

 だがAIツールはもともと寄稿者が快適に記事を書けるようにするために設計されたわけではない。書き始めるための一種のインスピレーションを与えるためのものだという。

 それはAIの機能の限界ゆえのことでもあるのだが、寄稿者が自分自身の記事を書きたいと志向していることも理由だ。

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出版業界のAI化の波

バーティの導入によって、フォーブスもAIを利用する出版社の仲間入りをした。

 良質な記事を効率的に作成するためにAIツールを導入することは、出版業界のトレンドである。いずれの出版社も、コンテンツを適切なタイミングで読者に届け、かつそのためのコストを管理するというプレッシャーにさらされているからだ。

 たとえばワシントンポストは構造化されたデータから短いストーリーを生成する「ヘリオグラフ(Heliograph)」を2年前に導入した。

 さらにロイターは、2018年3月にストーリーの量産を支援する「リンクスインサイトLynx Insights)」を導入し、AP通信は企業収益やマイナースポーツといったテーマの記事執筆を支援するAIを利用している。

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定期的なサイト閲覧者が2倍に増加

 フォーブスは、AIツールの導入によって編集スタッフや寄稿者の生産性が上がったのかという質問への回答を拒否している。

 しかしあるスポークスマンの話によると、7月にシステムを導入して以来、定期的なサイト閲覧者(月に1度以上閲覧する人)の数が2倍にも増加したという。

 また2018年11月には過去12ヶ月で最高の6500万というアクセス数を稼いだというコムスコアデータもある。

References:Forbes is building more AI tools for its reporters - Digiday/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52269613.html
 

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