ニューヨークブルックリンで、調理中の魚が原因でアレルギーショック症状を起こした11歳少年が死亡した。死因については今も検死が続けられており、家族らは深い悲しみを露わにしている。『abc7NY』『The New York Times』などが伝えた。

ニュージャージー州ピスカタウェイ・タウンシップに住むキャメロンジーン・ピアー君(11歳)は1月1日、父方と母方の祖母に会うため父親スティーブンさんと一緒に2年前まで家族で住んでいたニューヨークブルックリンを訪れていた。しかし、スティーブンさんの母親宅で悲劇が起こった。

キャメロン君の母ジョディー・ポッティンガーさんによると、キャメロン君はかつて幼稚園の昼食で魚のスティックフライを口にした途端嘔吐し、魚アレルギーであることが分かったという。さらにキャメロン君は喘息持ちだったことから、万が一の時に備えて常にネブライザー(噴霧器)を携帯していたようだ。

この日、キャメロン君はスティーブンさんと母方の祖母のもとを訪れた後、父方の祖母宅へと戻った。忘れ物をしたと思い父子は取りに戻ったようだ。しかし2人が既に帰ったと思っていたおばと祖母は、カリビアン料理のソルトフィッシュ(塩漬けのタラ)を調理していた。

魚のニオイを嗅いだキャメロン君は、発作を起こした。スティーブンさんは当初、息子が喘息発作でそのような状態に陥ったと思い、慌ててネブライザーをキャメロン君に与えた。ところが、いつもは発作が治まるネブライザーがこの時は効かず、キャメロン君は意識不明になった。スティーブンさんは必死でCPR心肺蘇生法)を行い、午後7時半頃に通報を受けて駆けつけた救急隊員が「Brookdale University Hospital Medical Center(ブルックデール大学病院医療センター)」へ搬送するも、キャメロン君は帰らぬ人となってしまった。

息子を突然失ったスティーブンさんは後日、メディアの前で涙ながらにこのように語った。

「『ダディ、大好きだよ。ダディ、大好きだよ』という息子の言葉を聞いて、その言葉が最期の言葉になってなるものかと『何を言うんだ。そんなことまだ言っちゃいけない』と必死で息子に話しかけました。でもそれが最期の言葉になってしまったのです。息子は私の顔に2回キスをしてくれました。息子を失った今、あまりにも悲しすぎてどうしていいかわかりません。突然このようなことになってしまって、今でも信じられないのです。息子の存在は私にとって全てでした。」

キャメロン君を失った家族の悲しみは深く、母ジョディーさんも「息子はサッカーなどのスポーツが大好きで、読書が好きな子でした。よく手伝いもしてくれましたし、とてもいい子でした。学校でもみんなのお手本になるような子で、引っ越し先でもブルックリンでも学校の先生たちは息子をとても褒めて気に入ってくれていました」と話している。

キャメロン君の死因についてはまだ断定されておらず、検死が続行中とのことだ。メリーランド州ボルチモアにある「The Johns Hopkins University School of Medicine(ジョンズ・ホプキンズ大学医学部)」の小児アレルギーおよび免疫学分野の理事長であり、小児科学の教授であるロバート・A・ウッド医師は、魚の匂いそのものではなく、コンロで調理された魚から蒸気やたんぱく質が空気中に放出されたことでキャメロン君が何らかのアレルギー反応を起こし、それが喘息発作と重なって死に繋がったのではないかと推測している。また同医師は「オーブン調理の場合、コンロ調理ほど空気中に漏れることはあまりありません。オーブン内では低温で魚が調理されるというのがその理由のひとつです」とも述べた。

昨年11月19日に11歳の誕生日を迎えたばかりだったキャメロン君。近隣住民らも突然の訃報にショックを隠せず、一家の近所に住むマーリンフレイザーさん(47歳)は「父子は本当に仲が良かった。スティーブンさんのそばにはいつもキャメロン君がいた。礼儀正しくとてもいい子だったので、残念でならない」と少年の死を悼んだ。

画像は『NTD News 2019年1月6日付「Parents Speak out After 11-Year-Old Boy Dies From Smell of Cooking Fish」(Cameron Jean-Pierre/GoFundMe)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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