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 科学の名のもとに、妊婦を地上から400キロの宇宙に打ち上げ、世界初となる宇宙出産を行おうとプロジェクトが発足した。

 このプロジェクトは、オランダに本社があるスタートアップ企業「スペースライフオリジンSpaceLife Origin)」が始めたものだ。

 地上から400キロというと、国際宇宙ステーションとほぼ同じ距離である。このプロジェクト2024年に実施される予定だという。

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人類の生き残りをかけて、宇宙出産ができるのか実験

 地球を取り巻く環境は常に変化している。人間が地球に暮らせなくる日がいつか来るだろう。それは遠い未来の話ではないかもしれない。

 であれば、人類存続をかけ、宇宙空間であれ別の惑星であれ、地球以外の場所に新天地を求める必要がでてくるかもしれない。

 しかしこの脱出行を行うには、まずそもそも宇宙空間で子供を産めるのかどうかを確かめねばならない。スペースライフ・オリジン社の狙いもここにある。

 あまりにも突き抜けたアイデアに思えるかもしれないが、人類の長期的な生存はこれにかかっていると同社は考えているのだ。

 スペースライフオリジン社の幹部の1人によると、宇宙でのお産の研究は人類にとって保険のようなものだという。

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宇宙でのお産実験を2024年に予定

 未だ人が住める惑星が地球以外に見つかっていないのだとしても、我々自身の生存を懸けて宇宙で子供を作る方法を明らかにせねばならない。

 同社は今後5年でいくつもの先駆的な実験を実施する計画であり、その中で最重要とされる実際の宇宙でのお産は2024年に予定される。

 すでに妊婦を宇宙へ連れて行ってくれそうな宇宙関連会社数社とコンタクトが図られ、実験資金を提供してくれるスポンサーも見つかっているという。

 さらに人類史上初となる宇宙で母になる女性とも協議が行われている。

宇宙での出産に伴うリスク

 だが仮に資金とロケットと妊婦を確保できたとしても、実験は危険を伴うものだ。

 出産を間近に控えた妊婦を宇宙に連れて行くだけでも難しそうだというのに、母体だけでなく、子供の安全まで心配しなくてはならないのだ。

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 宇宙へ打ち上げられる宇宙飛行士は、ロケットが軌道に到達するまでの間、地上の3倍という重力を体に受ける。

 場合によってはその3倍もの重力が加わることもり、それが母体や胎児にどのような影響を与えるのか誰にも分からない。

 これまで人間の出産が宇宙で行われたことはないものの、ラット・魚・トカゲ・無脊椎動物などでなら実験されている。

 たとえば1990年代スペースシャトルミッション中にラットに出産させた実験がある。だが、このときの子供はすべて、「前庭系」という耳の中にあってバランス感覚や方向感覚を司る器官が未発達であった。

 しばらくするとバランス感覚は回復したものの、この結果から子供には重力が必要なのだろうと推測されている。

 重力がない状態ではほかにも問題がある。母親は子供を産道から押し出すために重力の助けを借りることができないだろうし、出産の痛みを緩和する硬膜外麻酔の使用も難しくなる。

 さらにお産のときの体液が分娩室を浮遊するといったトラブルも生じるかもしれない。

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無事に地球まで帰還できるのか問題

 仮にこの歴史的な出産の旅に世界最高クラスの産婦人科チームが同行して、首尾よく元気な赤ちゃんが生まれたとしても、それで終わりではない——そこからさらに地上まで帰還せねばならないからだ。

 現時点において、宇宙から地上に帰還するということは、大気の中をガタガタと揺さぶられながら猛スピード自由落下で落ち続け、どこかの砂漠やら海やらにパラシュートで着陸するということを意味している。

 生まれたばかりの子供と出産で疲弊した母親にふさわしいものとはとても言えないだろう。

 それにも無事耐えたとして、宇宙で生まれた子供の出生証明はどうするのだろうか?宇宙で生まれた場合、宇宙人となるのだろうか?

それでも実験をする意義

 スペースライフオリジンも実験にはいくつもの不確定要素があることを認めている。

 だが、だからこそ宇宙で出産し、その答えを確かめるべきだというわけなのだ。必要なことであれば、きちんとした環境で実際にやってみるべきなのだ。

 それに同社がやらなくても、いずれ別の誰かが実験を試みることだろう。

どちらにしろ、いつかはやられるでしょう。ならば私たちがきちんと公開された透明な状況で行うべきでしょう。誰かがこっそりとやったとして、そのことが発覚したとしても、後の祭りですから。(スペースライフオリジン顧問 Gerrit-Jan Zwenne氏)

References:spacelifeorigin / futurism/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52269765.html
 

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