米国のインディーゲームデベロッパーAskiisoftは、Katana Zeroの新トレイラーを公開した。本作は2015年に発表されて以来、注目を集めていたタイトル。当初は2016年のリリースを目指していたが延期され、ついに2019年3月にSteamで発売となる。

 これまで公開されている映像から本作がどのようなゲームなのか、あらためて迫ってみよう。

 舞台は1980年代風のネオンが特徴的となるサイバーパンクな未来世界。主人公は都会の喧騒のなか、ひとり隠れるように暮らしている未来のサムライだ。ドラッグを服用して病んでおり、殺し屋を稼業としている。依頼主から指示されたギャングの殺害や、ときには人の救出を行う。

 本作は2Dアクションゲームだが、そのシステムは異色だ。ステージは短く区切られ、体力やHPという概念はなく、主人公も敵も攻撃を受けると即座に死亡する。ゆえに難しいステージでは敵の配置や攻撃手段を覚えつつ、刹那的な判断が求めらる。もし死亡すると、古いVHSテープを巻き戻したような演出が入り、ステージの冒頭に戻される。音楽はシンセウェイブで奏でられ、重低音が響く電子音楽が繰り返しながら、プレイヤーは血しぶきが舞う未来世界の殺戮を体感することになる。

(画像はSteam | Katana Zeroより)

 すでにお気づきだろうが、本作はHotline Miamiに強く影響を受けていることが見て取れる。とはいえ見下ろし型シューターだった『Hotline Miami』と違い、本作は2Dアクションゲームがベースになっているため、ジャンプアクションや、サムライゆえの刀を使ったは新鮮だろう。近接戦のほか、落ちている包丁やナイフを拾って投げることもできるが、持てる数は一度だけ。あくまで近接攻撃の代替手段でしかない。また他にも主人公の行く手を遮るレーザートラップを壁にあるスイッチを使って、敵を罠にはめることも可能だ。

 さらなる特徴をたらしめてるのが、主人公が服用している時間操作ドラッグクロノスだ。任意のタイミングで、短い瞬間だけだか時間の動きを遅くすることができる効果があるので、これによって敵の弾丸を回避したり、刀で跳ね返すことができる。だが弾丸もすごい速度で飛んでくるので、すぐにクロノスを発動しないと間に合わない。時間操作できるとはいえ、シビアなタイミングが求められることは変わらない。頻繁に使うことはできないので、その判断を駆け引きも面白いだろう。

(画像はSteam | Katana Zeroより)

 アクションを中心に紹介したが、本作は2Dアクションゲームながら、ストーリーも重視しているようで、会話システムが斬新だ。相手の会話中には画面下にスクロールバーが表示される。このスクロールバーは時間と共に動くのだが、これは相手の会話時間を示している。つまり相手の会話している最中の返事、相手の会話が終わった後の返事が選択できるのだ。それによってストーリーが分岐するのかは不明だが、気になるところ。暴力に彩られた幻覚的なサイコスリラーが期待できそうだ。

 しかし残念ながら、本作は日本語対応はアナウンスされておらず、現在では未対応。これから何かアナウンスがあることを期待しつつ、まずは3月の発売を楽しみに待とう。

ライター/福山幸司

ライター
85年生まれ。大阪芸術大学映像学科で映画史を学ぶ。幼少期に『ドラゴンクエストV』に衝撃を受けて、ストーリーメディアとしてのゲームに興味を持つ。その後アドベンチャーゲームに熱中し、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がオールタイムベスト。最近ではアドベンチャーゲームの歴史を掘り下げること、映画論とビデオゲームを繋ぐことが使命なのでは、と思い始めてる今日この頃。
Twitter:@fukuyaman