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 台湾に行ったら一度は行くべき場所がある。台北市にある国立故宮博物院だ。

 故宮博物院は697,000個以上の古代の中国の人工品および美術品を所蔵しており、どれも素晴らしいのだが、特に鉱物でできた食べ物シリーズは必見だ。

 上の画像はどう見ても豚の角煮(東坡肉)に見えるだろう。脂の層がたっぷり、つやつやで、おもわず口に入れたくなるが、不透明な六面体の玉髄(ぎょくすい)と呼ばれる鉱物を巧妙に彫刻・着色して作ったものだ。

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豚肉の角煮そっくりの肉形石

 これは19世紀、清朝時代に無名のアーティストによって制作されたもので肉形石と呼ばれるものだ。

 長さ5.3センチメートル、幅6.6センチメートル、高さ5.7センチメートルほど大きさの彫刻だが、長い間、台湾の国立故宮博物館の目玉所蔵品となっている。

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 なぜ、この作品が特別なのか? 異なる混合物が堆積した層をもつ自然の石が、本当に豚の脇腹肉そっくりに見えるからだ。

 これを作った職人は、自然の豊かな石の資源を手にしたとき、やはり肉の塊みたいだと思ったことだろう。そして、驚くほど精密に彫刻を施し、その表面にいかにも肉らしい毛穴やしわや窪みなども再現し、いかにもおいしそうな見た目になるよう着色した。

 この石の肉は、11世紀の北宋の詩人でアーティストの蘇軾が考案したレシピ、東坡肉(トンポーロウ:豚の角煮の一種)を模したものだという。

 伝説では、蘇軾が豚肉の煮込み料理を作っていたところ、古い友人が訪ねてきて、碁をやろうと誘われた。ゲームに熱中しているうちに、蘇軾はすっかり料理のことを忘れてしまい、肉を煮すぎてしまった。それがことのほかうまくてこのレシピが定着したという。

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 東坡肉は今や中国の代表的な料理のひとつだ。中国に豚肉料理はごまんとあり、世界の半分以上の豚肉を消費する、最大の豚肉生産・消費国でもある。

 それほど、豚肉は中国料理には欠かせないのだ。

白菜そっくりの彫刻「翠玉白菜」もあるよ

 台湾の国立故宮博物館には、もうひとつ有名な石の芸術作品がある。白菜そっくりに彫刻された翠玉白菜だ。

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 ご丁寧に、葉の間に2匹の昆虫までくっついている。これは翡翠輝石の一枚石から掘られていて、半分グリーンで、半分白というもともとの特徴をうまく利用している。

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 石のひびや変色したしみなどの数多くの欠点も、彫刻表現の一部として組み込まれて、白菜の茎や葉の葉脈になっている。

 翡翠や翡翠輝石の彫刻は、先史時代にさかのぼる。中国芸術では、翡翠は、宝石、彫像、その他の彫刻などに幅広く使われた。

 なぜ、翡翠彫刻がいまだに重宝されるのか、その第一の理由は、中国人が翡翠を純粋、美、長寿、果ては不死を表わすものと信じているからだ。さらに、翡翠彫刻家は、その輝き、半透明の色や陰影で、この石を重んじた。

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 翡翠輝石で白菜を彫刻することは、清王朝1644~1912年)中期・後期に人気が出た。

 白菜と昆虫というテーマは、それよりも古い、元から明王朝(13~15世紀)初期の、プロの昆虫と植物画にさかのぼることができる。

 翠玉白菜はもともと、紫禁城の永和宮に展示されていた。ここは、光緒帝の后の住まいだったところだ。そういう理由から、この作品は后への結婚の贈り物ではないかと考える人もいる。

 白菜の白は、花嫁の純潔を意味していて、上にいる昆虫のバッタキリギリスは、豊穣のシンボルだという。

 私も故宮博物院に行ったことがあるが、角煮と白菜は大人気で観光客がいつもたくさん回りにいるよ。故宮博物院は他にも面白いものがたくさんあるから必見のスポットだよ。

References:Meat-Shaped Stone And Jadeite Cabbage | Amusing Planet/ written by konohazuku / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52269841.html
 

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