過労死ラインを超えたらどうなる?

月に80時間を超える残業をすると心身の健康を著しく損ねる。この時間は「過労死ライン」といい、働きすぎによる健康障害と、労働災害認定の因果関係の判断となる目安の時間だ。今回はキャリコネニュース読者から寄せられた「過労死ライン超えエピソード」を紹介する。

管理・事務職で働く20代男性の残業時間は、繁忙期だと月120時間に及び、休日は持ち帰って仕事をしていた。男性は自身を体育会系部活動出身といい「相当体力に自信があった」というが、

「毎日23時過ぎまで働いていたら耳鳴りが止まらない、席を立ったときに立ちくらみがする、トイレに行ったあと尿もれする、胸がキリキリ痛むなどの症状が出始めた」
「人の話を聞いても内容が理解できず会話が噛み合わなくなり、同じミスを繰り返していた 体重は2か月で6キロ増加、血圧も半年で20上昇した」

という。また当時について「22時退社をしていたときは精神的に辛かったが、23時を超えると逆に遅くまで残り、同期とタクシーで帰宅するのが楽しくなっていた」と感覚が麻痺していたと記した。

「慢性疲労感、不眠、食欲不振、記憶違いの増加……今も闘病中で、就労不可」

大手建築事務所で設計をしていた40代女性は、残業時間は最大で月200時間を超え、休日が月に2日程度という状況で働いていた。

そんな中、女性は自分が設計していない案件について前任者と会社から責任を負わされる。1人で謝罪説明を行い、客から罵声を浴びせられることもあった。長時間労働とストレスから、

「慢性疲労感や慢性的な不眠、食欲不振の他、家族に『電通事件など仕事で自殺する人の気持ちが解る』と漏らすようになった。記憶違いが多くなり、差し込むような激しい頭痛が続いた」

と振り返る。一度脳外科を受診したものの心療内科をすすめられ、結果うつ病と診断された。「2年経った今も闘病中で、就労不可です」と苦しんでいる。

「酒を飲まないと眠れない」「客が怖い」などと感じる同僚に囲まれた職場

コンビニで働いていた男性の月残業時間は毎120時間程度。入社数か月で足の親指に血豆ができ、膝の痛みを感じるようになった。一緒に働いていた社員も足を引きずるように歩いていたり胃潰瘍で通院していたりと、身体に影響が及んでいる人も少なくなかった。

さらに同僚の様子について「酒を飲まないと眠れない、作業効率が急に落ちた、客が怖いとか病的に感じる社員はいました」といい、労働環境に危機感を抱いて退職したという。

広告代理店でコンサル業に従事する20代女性は、月の残業時間が100時間を超え、チームメンバーが疲弊しており「誰がいつ倒れてもおかしくないサドンデス状態」だった。

その環境もあり、夫との会話は激減した。土日に話す時間を持てるものの、「平日会話ゼロで土日にやっと会話できる状態で家庭内も関係が悪化し毎回大ゲンカでした」とコメントしている。長時間労働で疲れると心身だけでなく、人間関係にまで悪影響を及ぼすリスクがあるようだ。