「強い覚悟」でC大阪から移籍 「良いものを盗みながらやりたい」

 今季J1のセレッソ大阪から浦和レッズに移籍したFW杉本健勇は、16日の新加入選手発表会見に臨むと「強い覚悟を持ってきたので、結果を残してリーグとACLを2つ取れるように頑張りたい」と決意のコメント。そして、昨季まで浦和一筋で17年間のキャリアを築いた平川忠亮氏から受け継いだ背番号「14」への思いも語った。

 杉本はC大阪の下部組織で育ち、2010年にトップ昇格。12年に東京ヴェルディ、15年に川崎フロンターレプレーした経験を持ち、これまでにJ1通算177試合59得点を記録。日本代表としては17年に初キャップを記録し、8試合1得点の成績を残している。

 今回、移籍に至った決断の理由を「セレッソの下部組織で育ってきたので、ここに行きたいとか、移籍するとも思っていなかったですけど、これまでに一番は海外でプレーしたいと発言してきたのを知っている方もいると思いますが、国内ならレッズだと勝手ながら思っていたので」と話している。

 浦和には昨季J1の日本人最多得点(川崎FW小林悠と並ぶ15ゴール)を記録したFW興梠慎三がエースとして君臨し、オーストラリア代表としてアジアカップに出場中のFWアンドリュー・ナバウトや、現在負傷離脱中のブラジル人FWファブリシオ、運動量と幅広いプレーでレギュラーをつかんできたFW武藤雄樹らが所属する。それについても杉本は、「ポジション争いも望んできたことだし、一緒にプレーすることもある。自分にないものを持っている選手から、良いものを盗みながらやりたい」と語った。

 浦和での背番号は「14」に決定した。この番号は02年から昨季まで浦和一筋17年のキャリアを築いてきたDF平川忠亮氏が03年からつけてきた番号だ。平川氏の引退によって空き番号となったものを継承する理由について、杉本は元オランダ代表でバルセロナなどの監督も務めた故ヨハン・クライフ氏が好きだったということを前提に、決意を語っている。

「平川さんから『つけてくれて嬉しい』と言ってもらえた」

「本当は(平川氏に)会って話したかったんですけど、電話で。昔から好きでタイミングがなかった番号が空いて、レジェンドと言える方への敬意もあるけど、あえてつけたいと思いつつ、重みに迷ったのもあります。ただ、他の人がつけているのを見て後悔するより、自分がつけたいと。平川さんの魂を引き継ぎたい。そういう思いを伝えたら、平川さんから『つけてくれて嬉しい』と言ってもらえたので嬉しかったですね。活躍して、今年が終わった時にもう一度そう言ってもらえるようにしたい」

 平川氏は同じくこの日、浦和のユースチームコーチに就任することが発表された。立場は違えど同じクラブに在籍することになるだけに、念願の対面も近い将来に実現するはずであり、同時にそのプレーにも視線が注がれるはずだ。

 そして杉本にとって埼玉スタジアムは「昔から好きなんですよ」という場所。そこには「セレッソルヴァンカップ天皇杯を優勝したのがこのスタジアムなので、鮮明に覚えています」という最高の記憶がある。それと同時に「どちらもカップ戦だったので、どうしてもリーグ戦を取りたい。他にACLもあるし、4つ狙えるタイトルがあるのですべてを目指したい」と新天地での活躍に思いを馳せた。

 浦和にとって杉本は、昨季まで所属した元スロベニア代表FWズラタンや元日本代表FW李忠成が退団し、必要となっていた高さというオプションでもある。浦和の前線に君臨する「新14番」には、その背番号のイメージを一新するほどの活躍が期待される。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和に加入したFW杉本健勇【写真:Football ZONE web】