来年5月東京歌舞伎座襲名披露公演にて成田屋市川海老蔵さん(41)が十三代目市川團十郎白猿を、堀越勸玄さん(5)が八代目市川新之助を襲名する事がいよいよ発表されました。歌舞伎の記事を多く取り上げてきたjapaaanとしても、今回の襲名発表は大変お目出度く心から嬉しいビッグニュースです。

市川團十郎「白猿」とは?

ところで今回海老蔵さんが襲名するのは、十三代目市川團十郎白猿。白猿ってなんだ?という方。実はjapaaanでは以前、5世市川團十郎白猿について取り上げた事がありました。

こちらをご参考にしていただければ、市川海老蔵さんがこの「白猿」に込めた想いが伝わると思います。お時間のある読者の皆様はぜひご一読ください。

そんな時間のないアナタのために簡単に説明しますと、「白猿」とは歴代團十郎の中でも特に「謙虚」を貫いた五世團十郎の俳名です。

写楽「5代目市川團十郎『恋女房染分手綱』の竹村定之進」Wikipediaより

その心は「祖父は栢筵(はくえん)、倅も柏筵(はくえん)、私はしろざると書いて白猿(はくえん)と読みます。その心は、名人上手に毛が三筋足らぬと申す儀にござります」。「猿は人間に毛が三筋足らぬ」ということわざにかけて笑いを取ったのです。

狂歌に込めた想い

白猿はまた、狂歌をたしなんでいました。その腕は大田南畝ら有名狂歌師にも認められるほど。彼の代表作は、こんな作品でした。

「 楽しみは春の桜に秋の月 夫婦仲良く三度食う飯」

彼の幸せは、花道で客の視線を浴びる事でも歌舞伎界の大スターである事でもなく、すぐそばにあるささやかな日常だったのです。

今回の海老蔵さんの襲名発表は、そんな五世市川團十郎になぞらえて、「目の前のささやかな幸せを大切にしつつ、芸に精進する」という決意を込めているのではないかと感じます。ぜひ今後も応援していきたいものですね。

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