もうすぐ春ですね。ピカピカの1年生なるお子さんをお持ちのご家庭では、不安と期待が入り混じっていることと思います。3月31日が終わって一夜にして“幼児→小学生”に変身はできません。入学後、困ったことにならないように家庭で何をしておけばよいのでしょうか。

【幼児教育】きれいで正しい字が書けるようになる!“ひらがなの魔法の覚え方”

『「はずれ先生」にあたったとき読む本』の立石美津子がお伝えします。

1.SOSを出す

  • なんでも自分1人の力でやり遂げないとダメ
  • 人に絶対に迷惑をかけてはならない
  • 弱音を吐いてはならない
  • どこへ出ても恥ずかしくない態度でいなければならない

このように「もう、小学生になったんだから、自分一人の力でやらないとダメなのよ」と突き放してしまうと、子どもは文字通り受け止めてしまい、次のようなことが起こることがあります。

  • 学校でいじめられても「先生、○○君が僕に嫌なことをするので助けてください」と言えない。すると「あいつはチクらない」となり、いじめがエスカレートする可能性がある
  • 体調が悪くなっても先生に「具合が悪いです」となかなか言い出せず体調が悪化
  • わからないことがあっても「他の子はわかっているから恥ずかしい」と質問しないでいる。自分にブレーキがかかる
  • うんちがしたくなっても「先生、トイレに行ってもいいですか」と言い出せず、結果、教室でもらしてしまう。6年間、陰で「うんちもらしたヤツ」と言われてしまうことも!

家庭でも親が気が利きすぎて子どもが何も言っていないうちから「トイレ行きたいんじゃないの、行って来たら」と先回りしすぎるママ(=ヘリコプターアレント)だと、助けてくれる人がいない場で声をあげることができなくなります。

ただでさえ大きな環境変化なのですから、困ったときはむしろ「先生、できないから助けてください」とSOSを出せるように育てておきましょう。

人の手を煩わせることがあっても、多少迷惑をかけても、“自分が出来ないことは出来る人に頼む”姿勢を身に付けることはとても大事です。なんでも自分1人の力でやり遂げることが自立ではありませんよ。

2.始業時刻の2時間前には起こす

脳は起床後2時間しないと活動しないと言われています。9時から授業が開始する場合、7時には起きていないといけないわけです。夜更かしし、朝、ギリギリまで寝ていると、授業中ボーッとしてしまいます。

もし、保育園に通っていてお昼寝時間をたっぷりとっているため、夜、なかなか寝てくれず就寝時刻が23時、24時にずれ込んでしまっている場合、少しずつ軌道修正していく必要があります。

保育園でも年長児には午睡なしにしている園も多いですが、そうではない場合は園にお願いして、午睡時間を30分以内など短くしてもらえるか相談してみましょう。

3.明日の道具の準備

通園バッグの中にあるタオル、コップなどの出し入れを親が無意識にやってしまっていませんか?4月からは子どもが自分で時間割を見てランドセルに教科書を準備しなくてはなりません。

教科書以外にも図工道具、雑巾など先生から持ち物の指示があります。

幼児期に親が通園バッグの中身のお便り帳、クレヨン、お弁当など全部出し入れしていると子どもが困ってしまいます。今から明日の幼稚園、保育園の準備は自分でする練習をさせてみませんか。

4.45分座る

小学校の授業時間は1コマ45分です。

通っている幼稚園、保育園が自由伸び伸び方針で紙芝居の時間も園庭で遊んでいることを許されていたり、家庭で椅子に座る習慣がなかった場合、入学していきなり8時から下校時刻の14時くらいまで45分刻みの授業を受けることは、結構大変なことなんです。

また、国語、算数、生活、音楽…。子どもは毎日、学校で新しい知識を学んできます。授業でわかったような気がしてもそれはその時だけのこと。家に帰ってから“再生的学習”を毎日しなくては残念ながら学力としては定着しません。ですから宿題が出ます。

実は家庭学習は“10分×学年”と言われています。

  • 1年生だったら10分
  • 2年生だったら20分
  • 3年生は30分

といった感じです。幼児期に1分間さえ机に向かう習慣がない子どもに、いきなり「今日から小学生なんだから10分間机に向かってお勉強しましょう」と要求してもそれは無理なこと。

1年生の半分の時間、年長さんだったら5分は机に向かう習慣を入学前に家庭でつけておきましょう。お絵描きするとか、絵本をめくるとかなんでもいいのです。

小学校は幼稚園のように楽しく歌を歌ったり、先生が盛んに手遊びしてくれるわけではありません。どんな担任に当たるかはわかりません。たとえ退屈な授業であっても、ある一定時間、定位置に座っている練習が幼児期から必要なのかもしれませんね。

時計が読めるようになる方法

5.時計を読めるように

小学校では幼稚園の先生のように「ほら、今のうちにトイレに行ってらっしゃい」と優しく指示はしてくれません。

チャイムは鳴りますが、休み時間の終了時刻、次の授業の開始時刻などおおまかなことしか教えてくれません。小学生になったら時計を見て自分で行動しなくてはならなくなります。

できれば、何時何分まで入学前には読めるようにしておきましょう。時計がわかれば休み時間の終わりを知ったり、「あと1分だから今のうちにトイレ済ませておこうかな」と計画的に行動することが出来るようになります。

針のついたアナログ時計を家に置いて「早くしなさい」と連呼する代わりに…

  • 「早く起きなさい」→「おはよう。ほら、時計見て、もう6時だから起きなさい」
  • 「早く食べ終えなさい」→「7時30分までには食べ終えてね」
  • 「早く準備しなさい」→「あと10分で8時よ。それまでに着替えてね」

こうしていれば時計が読めるようになりますよ。(過去記事「小学校入学前に「時計が読める」と子育てがラクになる! わかりやすい教え方」)

6.ひらがなの読み書き

入学式当日、教室に入ると黒板に「にゅうがくおめでとう」とお祝いの言葉が書いてあります。下駄箱には子どもの名前も貼ってあります。幼稚園や保育園時代のようにイチゴや車のシールで「あなたの場所はここですよ」と親切には教えてはくれません。

入学前の説明会では校長先生から「幼児期に前もってお勉強を家庭で教えておく必要はありません。入学後、授業で丁寧に指導していきますから」などの話があるかもしれませんが、今やクラスの8割の子どもが文字の読み書きができる状態で入学してきます。

ですから、担任は大多数に合わせて授業を進めます。まだ全部の文字を教えていないのに連絡帳に明日の持ち物を書かせたりする先生もいます。

入学したとき鉛筆を持ったこともなく、自分の名前も読めない状態ですと子どもがとても苦労するのが現実です。

ひらがなの教え方は過去記事「【幼児教育】きれいで正しい字が書けるようになる!“ひらがなの魔法の覚え方”」でご紹介しています。

7.おまけ1 傘が壊れないように

傘を閉じることを子ども自身にやらせていますか?家庭では家族が4人程度なので傘立てに余裕があります。また、入れる場所が決まっている傘立てを使っている家庭もあります。けれども、小学校では皆が同じ場所に入れます。

傘を閉じたときマジックテープボタンできちんと止めないで入れてしまうと、友達に次から次へと上から傘を突っ込んで入れられ、帰りに開いたら傘の骨の部分が折れていることって結構あるんですよ。

家庭でも折り目を付けて止めることを子ども自身が出来るように、教えておきましょうね。

8.おまけ2 最新型自動トイレがある家庭は要注意

最新型の便器。小便、大便を感知して自動で流れる便器を使っている家庭の子どもの場合、学校で用を足した後、流さない子どもがいます。後から入ってきた子に「○○君のうんこだ!」とからかわれることもあります。

家庭で自動で流れる便座を使っていても、“自動で流れるスイッチはオフ”にセットして、自分で流す習慣をつけておきましょう。

3月31日の夜11時59分59秒まで年長さんだった幼児が、4月なったからと突然、小学生になるわけではありません。単なる時間の連続、実際はまだまだ幼児の延長なのです。一夜にして幼児から小学生に変身できません。

小学校入学に向けて、少しずつ出来ることを増やしていきましょうね。