第16週「あとは登るだけです!」 第88回 1月16日(水)放送より
脚本:福田 靖 
演出:松岡一史
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

88話のあらすじ
梅田銀行に融資が止められたうえ、これまでの借し出し金2億円の回収を迫られ、萬平(長谷川博己)は途方に暮れる。
さらにそれを知って危険を感じた信用組合に預金していた人たちが預金をおろそうと押しかけてくる。

理事長職とはお飾りなのか
88話は「萬平、またまたまたまた、おいつめられる」
    「忠彦さん、美人画を描き終える」
の2本でした。
と、なんともほのぼのしていると思いきや、いがいと現実を映しているから驚かされちゃうんですよ「まんぷく」には。
萬平理事長のお話と、現実に起こっているJOC竹田恆和会長の話がかぶって見える人も多いのではないでしょうか?
2020年東京オリンピック招致のための招致委員会で理事長を務めていた竹田氏。コンサルタント料として2億3000万 円払っていた疑惑が現在取りざたされていますが、「関与してない」の一点張りで、お飾り理事長感を醸しています。
萬平さんも、理事長を頼まれたとき、金融のことをまったく知らなくても、税金問題で国民のヒーローになったことを重視され、お飾り感ありました。世の中、そういうふうに回っているのだと思うと暗澹たる気分になります。
暮れに放送された萬平さんの逮捕劇のときは、ゴーン会長逮捕劇と重なりました。萬平さんと現実がやたらとかぶってくるとこは、ダネイホン師匠の作家としての鋭さおよび引きの強さかと思います。なんたって“2億円”の数字もかぶっていますから。

「どんなことが起こったかて最後はうまくいくんです」
全額返済、期限延長不可で「こんなばかなことが」と萬平。
資金を止められてしまったので、万能調理器が作れない。織田製作所の社長(山西惇)たちは、ここまで来たのだから、早く作らせてくださいと迫ってきます。
その気持もわかるものの、人間って勝手だなあと思わせるエピソードでもありました。
萬平にお金を出してもらって商品化まで進めただけでもありがたいとは思えず、ただただ、作らせてください、お願いしますと織田製作所一家が迫るのだもの。すべて萬平に背負わされてしまって、かわいそう。
もっとも自業自得とも言えるのだけれど……。

そんな萬平を福子(安藤サクラ)はひたすら「大器晩成」「どんなことが起こったかて最後はうまくいくんです」と支えます。このふたりのシーンは、ここだけ独立して、涙が出そうないいシーンに見えました。

暗くなりそうな状況を、ダネイホンの看板を持ち出して、笑いに変えるところなど、健気。ダネイホン看板のマネをしてみせる萬平さんも(長谷川博己さんの作品への献身を感じます)。
「モデル」のたとえに萬平が百円札に印刷されている板垣退助を持ち出して来るのは、お金が気になっているからなんでしょうね。

忠彦さんとモデル問題
「終わったぞ、克子」と言って忠彦(要潤)がアトリエのカーテンを開けると、そろっと服を着て立ち上がる花村(さとうほなみ)。
情事のあとを思わせるような演出……で克子(松下奈緒)が悶え苦しむも、結局、忠彦は休憩中、家族の話や克子へののろけ話ばかりしていたとわかって、一件落着。
「彼女はお役御免や」と忠彦のあっさり具合が笑えました。
(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説まんぷく
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イラストと文/木俣冬