一歩前進ではありますが……

京都市では1月から、教員の長時間労働是正を目指し、市内全ての小学校で電話応対を19時で終了する取り組みを始めた。

市では昨年3月、「学校・幼稚園の働き方改革推進宣言」を作成。全国の小学校教員の33%、中学校教員の57%が過労死ラインを超えていることを問題視し、電話応対時刻の設定や、教員の業務を補助する「公務支援員」の増員などで環境改善に取り組むと宣言していた。

京都市教職員組合によると、これまでは管理職が夜8時~9時まで残って電話に対応していたという。50代の男性組合員は今回の取り組みを歓迎しつつも、

「抜本的な働き方改革にはなっていません。そもそもの勤務時間は17時まで。19時終了にしても2時間の超過です。遅い時間になっていることには違いありません」

と、複雑な心境を明かした。

緊急の要件があれば時間外でも対応「家庭訪問することもあります」


男性によると、これまで夜にかかってきていた電話は「子供が学校でトラブルになった」、「子供の言っていることがよくわからない」など、保護者がその日のうちに解決したがっている内容が中心だった。一部には「何時でもかけていいと思っている親御さんや、度を越しているケースもあった」というが、そもそも電話が来る頻度も低く、業務を圧迫しているわけでもなかったようだ。

そのため、電話応対の時間を19時にしても、長時間労働解消に大きな影響があるとは考えにくいと指摘する。

「仕事を減らすか人を新たに増やすかでなければ、抜本的な解決にならないと思います。部活だって、親御さんはやって当然だと思っているけれど、ボランティアのようなものですから。一人の先生にかかる仕事の負担が大き過ぎるのが問題です」

19時以降は電話がつながらないとは言え、緊急時の対応は出来るようになっている。また、教員が児童の家庭と緊急に連絡を取る必要が出た時には、「時間を越えていても電話をしますし、必要なら家庭を訪問することもあります」と話していた。

同様の取り組みは4月以降、市内の中学校、小・中学校、総合支援学校でも行われる予定だ。