第16週「あとは登るだけです!」 第90回 1月18日(金)放送より
脚本:福田 靖 
演出:松岡一史
音楽:川井憲次
キャスト安藤サクラ長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

90話のあらすじ
梅田銀行に、金を貸していた会社からも資金を回収しろと言われた萬平(長谷川博己)は、可能性ある会社を守るため、梅田銀行の上層部に池田信用組合の理事長職を退任したいと申し出る。

世良と皿
「池田の産業を守るため」「この不況もいつか必ず終わります」と頼むときの萬平の声は濁りなく、ほんとうに池田の産業のことを考えているのだと感じます。
8年間、池田市とともに歩んだことは描かれてないが(この回、はじめて数社、伸びしろのある会社名が出た)、その声にこもった誠実さ。そういうとこはこのドラマの救いです。

長丁場を描くのは難しい。
過去、数作の朝ドラは、前半盛り上がって、後半落ち着いてしまいました。
「半分、青い。」は型破りの主人公が世の不条理に決して負けずに生きていく物語だったが、次々とびっくり展開を描き盛り上げていった結果、最終週で親友が東日本大震災で亡くなるエピソードを描いて、そこまでして話を盛り上げないといけないのかと思いましたし、ちょっとここで引いてしまった人もいたように思います。
「わろてんか」は大恋愛して結ばれた夫が亡くなったあと、モデルの人物であれば女手ひとつで寄席を切り盛りする痛快話になるはずが、夫の幽霊に励まされ続ける謎の展開に戸惑う視聴者が続々。
ひよっこ」はそもそも主人公が大きな目標をもたず、なにげない日々を過ごす物語を狙っていたようで、それが好評だった反面、後半はイベントがなく、登場人物のおしゃべりシーンも増えていったことで、退屈に感じる視聴者も現れました。
べっぴんさん」は女性の視点で子供服の会社をおこす物語だったが、後半は晩年の過ごし方をまったり描いて、視聴者の興味をそいでしまいました。
いずれも、SNSの反応をざっと見ての印象ですので、厳密なデータではありませんが。

まんぷく」では多くの失敗の末、すごい発明(即席ラーメン)をして萬平も福子もひいては人類も幸せにする物語だから、後半にうんと幸せになって盛り上がるためにも、前半とにかくひたすら谷底人生を描いているようです。結末がわかっているから良いともいえるし、結末がわかっているからこそ不幸な出来事が茶番にも見えてしまう。それとこの失敗が主人公主体ではないことも引っかかります。好きで結婚した夫のしでかしたことで、不幸な目にあい、自分の甲斐性で打破するわけではなく、夫がなんとかするのを支える展開は、見ていて元気が沸いてこないのです。萬平に感情移入するにも、あまりにスーパーな人物なので、ちょっと難しい。

登場人物を自分に置き換えてはらはらどきどきさせないように描いているようにも見えます。
と思っていたら、パーラー白薔薇のシーンに驚きました。
しのぶ(牧瀬里穂)がギックリ腰になったので福子だけでなく鈴(松坂慶子)も駆り出されました。
そこへ、世良(桐谷健太)がやって来て、高価な皿を福子に譲るという。だが、その皿は白薔薇にも同じものがあって、デパートの安売りで買ったものでした。
世良の優しさと詰めの甘さが面白く、少しだけ救われました。
とはいえ、やっぱり、ふらっと時々出てくる世良の話にはどこか距離があります。

とはいえ、世良を演じる桐谷健太の明るさと、萬平を演じる長谷川博己のこんなときでも希望に満ちた声に救われることは事実なのです。
やっぱり長谷川博己が応援演説したら選挙は勝ってしまいそう。そういう意味で、いまどきなかなかいない朝ドラの夫や大河主演にふさわしい俳優なんだと思います。
そして、わかりました!
今回の主人公(本来、視聴者が感情移入する役割)はいまの日本国民の象徴で、いまが辛くても辛抱して耐えれば、いつかきっと報われると、国のえらい人たちが希望に満ちた言葉を語るのを聞いているという構造なのです。さて我ら国民はどうなるのでしょうか。いえ、どうするのでしょうか。
イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説まんぷく
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イラストと文/木俣冬