人気の「歌い手」4人が結成したグループ・mono palette.が、TVアニメ『不機嫌なモノノケ庵  績』のOPテーマ『ロングタイム トラベラー』をリリース。すでにアニメもスタートしており、耳にした人も多いかもしれない。そんな待望の1stシングルについて語ったインタビューが『アニメディア2月号』に掲載されている。「超!アニメディア」では、記事内でお届けしけれなかった部分を含めたインタビュー全文をご紹介する。

■作詞・作曲・編曲の堀江晶太さんは“神”

ーー10月に東京・品川ステラボールで行われたワンマンライブで、CDリリースが発表されました。そのときの反響は?

あげいん 僕らは、これまでカバー曲をやってきて、オリジナル楽曲を発表するのは今回が初めてです。発表したときは、お客さんからの反応がすごかったし、それに加えてアニメ『モノノケ庵』のOPテーマということもあり、お客さんもすごく喜んでくれていました。

3部 会場がかなりわいていましたね。自分たちとしても、実際のオープニング映像を観るまでは、実感がまったくなかったです。それだけに、オンエアがとても楽しみでしたね。

雪見 ドッキリじゃないかって疑っていました(笑)。

ーーでもアニメ主題歌を歌うことは夢だったのでは?

あげいん もともとは各自ソロでやっていて、ライブをやるために結成したグループなので、まさかこういう形でCDを出す機会をいただけるとは想像もしていなかったんです。だから最初は、どこか他人事のような感覚もあって。「mono palette.さん、すごいですね〜」みたいな感じでした。

ーー表題曲「ロングタイムトラベラー」は、『不機嫌なモノノケ庵 續』のOPテーマとして好評です。『モノノケ庵』はご存知でしたか?

雪見 僕はアニメ『モノノケ庵』の第1期を観ていたので、OPテーマを歌わせていただけると決まったときは「まさか!」と本当に驚きました。

3部 僕は、“あやかし系”の作品が好きなんです。だから『モノノケ庵』は好みの系統だし、実際にすごく面白くて。初めてのアニメタイアップが『モノノケ庵』で良かったなって思います。

Rim 僕は今回、改めて原作の漫画を読ませていただいたんですが、とても面白かったです。主人公・芦屋花檜の声を担当している声優の梶裕貴さんが個人的に好きなので、梶さんがしゃべっているのを想像しながら読みました(笑)。

あげいん 僕は個人的に好きなキャラクターがいて。安倍春齋のビジュアルが好きです(笑)!

ーーこの「ロングタイムトラベラー」は、堀江晶太さんが作詞・作曲・編曲を担当。どんな印象でしょうか。

あげいん 堀江さんは、ボーカロイドPとしてkemuさん名義で楽曲をネットに上げていて。その楽曲は、僕らが歌い手を始める前から人気の有名な曲ばかりなんです。そういう意味で堀江さんは、僕たちの世界においては神のような、雲の上にいる存在です。そんな憧れの堀江さんから楽曲を提供していただけたということで、すごくテンションが上がりました。歌詞には僕たち自身のことも書いてもらって、楽曲の雰囲気も素敵で、聴き返すたびに「エモいな〜」って(笑)。

3部 今まで僕らが歌ってきたカバー曲はロック系が多くて。でも「ロングタイムトラベラー」はけっこう爽やかな曲調なので、ファンの方には新鮮に届いていると思います。

Rim ファンの方の中には、きっとこういうタイプの曲も好きな人が多いんじゃないかなって。

ーー歌割りは、堀江さんが指定したんですか?

あげいん いえ、歌割りは僕が考えました。歌詞の内容や雰囲気の部分で、この人がここを歌ったら合うんじゃないかと、メンバーの個性と照らし合わせていったんです。

3部 完成したものを聴いたり歌ったりしていて、自分たちでもすごくしっくりきています。

ーーパズルのピースを並べていくみたいな感じで?

あげいん そうですね。あと、2番で掛け合いをするパートがあるんですけど、そこは、僕と雪見がふたりでCDを出したことがあって掛け合いのイメージが浮かんでいたので、僕らで歌わせていただいています。

雪見 そこはアニメのOPでは流れないので、ぜひCDを買って聴いてほしいです。

ーーCDでしか聴けない部分でいうと、Dメロも4人全員の歌声が楽しめますね。

あげいん そこは、最初はメインがひとりで歌うようになっていたんですけど、レコーディング現場で「合唱っぽくしたいです」と提案させていただいて、急遽入ることになったんです。

雪見 ライブでは、僕らとお客さんで合唱するようなイメージです。

ーーあそこは、ハモってるんですか?

あげいん あえて音程を決めずにそれぞれで自由に歌っているんです。

3部 あえてズラしたり、声色を変えてみたり、いろいろに歌って。

雪見 それを3回くらい録って、全部重ねているんです。

Rim それによって、合唱感というか大勢で歌ってる雰囲気を出しています。

雪見 レコーディングはすごく楽しかったです。ワイワイしながらやった感じで。

ーー1行ずつソロで歌うところもあって、そこもエモいですね。

あげいん エモいです(笑)。

雪見 そこも、全員自分のお気に入りのテイクを収録しているので聴いてほしいです。

あげいん ソロパートのフェイクも自分で考えて歌っています。

ーーレコーディングの雰囲気は、今までとは違いましたか?

雪見 いつもは基本的にひとりで、家で録っているんです。それをスタジオでやるという部分での違いはありましたけど、僕らがやりやすいように配慮していただいたので、とても録りやすかったです。

あげいん けっこうアットホームな雰囲気でしたね。

ーー堀江さんとは、何かお話をされましたか?

3部 トラックダウンのときにお会いしたんですけど、すごくフレンドリーに接してくださってうれしかったです。今のネットミュージックの状況に興味を持ってくださっていて、「どんな感じなの?」って。

あげいん 今の「ニコニコ動画」界隈の歌い手さんの事情について、動画をアップするときのミキシングはどうやっているのかや、曲をどうやって決めているのかなど、いろいろお話させていただきました

■2019年はアーティストとしてプロ意識を持って活動

ーーここ数年、歌い手メジャーデビューが続いていて、ようやく世のなかが歌い手に注目し始めた感じがありますね。

あげいん すごくうれしいことです。いろんなタイプの歌い手さんがいて、お客さんもいろんなライブに足を運んで楽しんでいると聞きますし、シーンとして盛り上がっている感覚がありますね。

3部 以前は、ニコニコの公式イベントとかETAのイベントくらいしかなかったですけど、今は自分たちで主催するイベントやワンマンも増えました。

ーー同じ志を持った歌い手が多数いるなかで、この4人で結成したのは、特に仲が良かったからとか?

雪見 同じ時期に暇だったからです(笑)。

あげいん 2年前の夏にちょうどこの4人が暇をしていて、ほとんど毎日いっしょに遊んでいたんです。誰かの家に泊まったり、ボウリングに行ったりファミレスに行ったり。高校生みたいなことをやっていて。

Rim ダルかったよね、あのころは(笑)。

あげいん その流れで、「このメンバーで何かやろう」という感じになって結成しました。

ーーmono palette.という名前は誰が考えたのですか?

あげいん 僕と3部で、夜な夜なファミレスに通って考えました。

Rim 気づいたら決まってました(笑)。

雪見 もともとは、ライブのタイトルだったんです。それが、何かの媒体の記事で、グループ名が「mono palette.」です、みたいな感じで、ふんわりとまとめられていて。じゃあ、そのままmono palette.でいいかなって。

3部 グループ名っぽいし。

ーーそのmono palette.には、どんな意味が?

あげいん 語感と文字の並びの感じがよくて、“モノパレ”と略して読みやすいということで付けました。意味は、monoは「ひとつの〜」とか「単一の〜」という意味があり、パレットをステージに見立てて、個々で活動していた僕らがパレットというステージに集合したときに、「きれいな色が出せたらいいね」という願いを込めています。

3部 それにメンバーカラーがあって、お客さんがサイリウムを振ってくれるので、その情景を重ねている部分もあります。

ーー4人でやるメリットというのは、どう考えていますか?

3部 楽しいのがいちばんです。ひとりだと、孤独との戦いにもなるので。

Rim ライブのときがいちばん楽しいですね。

3部 ライブの終わりのほうは、楽しさがマックスかな。

Rim クライマックスで「脱法ロック」を歌ってるあたりとか。

雪見 打ち上げが見えてきて、「このあとハイボールが飲める〜!」って感じでテンションが上がります(笑)。

ーーでは、2019年の目標を。

Rim 2018年は、まだ友だちの延長でラフな感覚でやってきました。2019年からは、仲の良さは残しつつ、アーティストとしてプロ意識を持った活動を行っていきたいです。またタイアップをいただけるように、頑張っていきたいと思っています。

3部 2018年は、一瞬で終わっちゃったなって。充実していたのか、何も考えずに過ごしていたのか……。でも2019年は、健康に気を使って生きていきたいです。プロとして活動していく以上は体調管理も仕事ですから。

あげいん 2018年は、mono palette.としてたくさんライブをやらせていただいて、回を重ねるたびにキャパシティが大きくなり、ステージのクオリティもどんどん上がっていって。自分たちの意識としても、お客さんからの観え方にしても、少しずつ成長できたと思っています。2019年は、ステージのクオリティを含めて、できることを増やして、お客さんにもっと楽しいと思ってもらえるものを観せていきたいです。

雪見 3年ぐらい前から常に活動目標は「現状維持」を掲げていて(笑)。でも2018年は、CDリリースがあったりなど、飛躍の年になりました。この勢いで、2019年もいろいろな活動ができたらいいなと思います。僕らに興味を持ってくれる人を、さらに増やしていきたいです。

ーー最後に、アニメディア読者にメッセージをお願いします。

あげいん 今年は5月に東名阪の3公演のツアーを行います。昨年は全5公演のツアーを回らせていただき、700人キャパでゲストメンバーもいるといった状況でしたが、今回はゲストはなく4人だけで回ります。この記事を読んで、『モノノケ庵』を観て、僕らのことが気になった人がいたら、CDを手にとっていただいたり、ライブに足を運んでいただけたらうれしいです!

<プロフィール>
【モノ・パレット】動画投稿サイトを中心に「歌い手」として活躍していた、あげいん、Rim、雪見、3部の4人で2017年に結成された。略称は“モノパレ”。昨年12月26日にワンマンライブ『mono palette.-Black Paints-』を東京・渋谷TSUTAYA O-EASTで開催するなど、今、飛躍的に注目度を高めている4人組ボーカルグループ。

<シングル「ロングタイムトラベラー」情報>
発売中
日本コロムビア
限定盤:1,944円、通常盤:1,296
テイストのメロディーが印象的な、疾走感のあるロックナンバー。声色の違う4人の、歌い手としての魅力が詰まった1曲。カップリングには、ラップも聴かせるワイルドなダンスロックのオリジナル曲アンダーカレント」の他、あげいんとRim、雪見と3部という組み合わせのコラボ楽曲を収録。

限定盤

通常盤

取材・文=榑林史章