ペットを飼っていれば、かわいい姿を写真に残しておきたいと思うもの。だけど、カメラを嫌がったり動き回ったりと、動物は写真におさめるのが難しい。

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愛くるしい姿とユニークなポーズで人気を集める猫の「はっちゃん」の飼い主であり、写真家の八二一(はにはじめ)さんに、“うちの子”をかわいく撮るコツを聞きました。

ペットをカメラに慣れさせることから始めよう

ペットを飼っていれば、かわいい姿を写真に残しておきたいと思うもの。しかし、実際に写真を撮るとなると、なかなか上手くはいかない。シャッターを押した瞬間に動いてしまうなど、悩みを抱えている人は多いのでは?
 
愛くるしい姿とユニークなポーズで人気を集める猫「はっちゃん」の飼い主であるふたり組の写真家・ハ二一(はにはじめ)さんからコツを学び、“うちの子”をかわいく撮れるようになろう。
 
最初のハードルは、ペットがカメラを嫌がること。
カメラを取り出した瞬間に逃げてしまうケースも多い。一体、どうすれば?

“必死になりすぎる”のはNG!

「大きくて黒い一眼レフはNGだけど、コンパクトデジカメはOK、という子も。反対に、コンパクトデジカメのレンズのぬるぬるとした動きがダメで一眼レフなら大丈夫だったり、スマホだけは抵抗しなかったりと、ペットにもカメラの好みがあります。まずは、試してみましょう」

すべてダメだったら、カメラをケースにしまわずテーブルの上などに置いて、普段から目に留まるようにしてみては? と八二さん。“ そこにあるのが当たり前の物体” になれば、撮影時の抵抗感もなくなるという。
 
もうひとつ注意したいのが、撮るときの態度だ。

「飼い主がカメラを持った途端、人が変わったように『こっち向いて!』と言いながら近づいてきたら、ペットは驚きます。カメラ自体に抵抗がなかった子でも、その反応で『カメラ=怖い』というイメージがつき、嫌がるようになることも。必死になりすぎるのは禁物です」
 
撮影するときは、ひときわ優しくして「飼い主がカメラを持っていると楽しい」と感じさせよう。おもちゃで遊んでいるときに撮ったり、おやつをあげたりするのも効果的。
 
この他に、ペットが嫌がるのは、カメラの操作音。また、フラッシュをオンにすると、突然の光で驚かせるばかりか、目が光って怖い印象の写真になってしまう。どちらもオフに設定するのを忘れずに。

撮影位置を決めて待機!動きの止まった瞬間に撮る

次の難関は、ペットが動き回ること。八二さんは「そもそも、動いているときはシャッターチャンスじゃない」と指摘する。ペットが落ち着いて座っているときなどを狙おう。

カメラ目線がほしいときは、ペットの顔の向きに合わせて移動するのではなく、初めに撮影位置を決めて、自分のほうを向くまで待ちましょう。気の長い話のようですが、結果的にそのほうが早いんです」
 
反対に、ペットが眠っているときは、いろんな方向から撮るのがおすすめだ。

ペットの魅力を写す3つのポイント

撮影のコツを掴んだら、構図にも気を配りたい。

「人間の目線ではなく、ペットの目線で撮るのが基本です。見下ろして撮ると頭と背中ばかり写りますが、同じ目線だと顔がハッキリ撮れる。これだけで、かわいさはアップします」
 
床で眠るペットの寝顔を撮影したい場合は、カメラを床につけて何とか画面を覗き込むか、思い切って自分も寝そべって撮る。自然な体勢で無理なく撮りたい人は、後述するバリアングル機能を搭載したカメラが最適だ。

<ペットの魅力を写す3つのポイント>

1.動いていない瞬間を狙う!
ペットが動き回るときは無理に撮ろうとせず、止まる瞬間を狙おう。また、ペットの顔の向きに合わせて移動するのはNG。どこで撮るかを決めたら、あとはペットがこちらを向くのを待とう。

2.カメラの位置はペット目線
人間目線で上から撮ると、顔をはっきり写すことができない。ペットの目線とカメラのレンズは同じ位置にするのが基本だ。ペットを真正面から見つめるような感覚で、撮影姿勢は低く保って。

3.ペットに近づいて撮る
撫でられるほど近くで撮ると、飼い主とペットの親密感が写真に表れ、かわいさがアップする。名前を呼んでペットをリラックスさせるなど、撮影テクニック以外の面にも気を配るようにしよう。

近くで撮影するとかわいさが引き立つ

八二さんによると、よくある失敗は「かわいさ余って近づきすぎる」ことだという。どんなカメラにも「最短撮影距離」があり、それを超えて近づくとピンボケしてしまう。

「コンパクトデジカメの場合、アップで撮るときはマクロモードをオンに。すると、ペットの前足に近寄って肉球を撮影する……なんてことも可能になります。一眼レフはレンズごとに最短撮影距離が異なるので、近くで撮るならマクロレンズを買うといいですね」
 
交換用のマクロレンズを買わなくても、レンズに装着するだけで近接撮影ができる『クローズアップレンズ』を使う手もある。マクロレンズほどは近づけないが、今あるレンズを使って撮影でき、安価で気軽に試せるのでおすすめだ。

八二さんによると、写真にはカメラとペットの距離感が表れるのだとか。撫でられる距離でコミュニケーションを撮りながらアップで撮ると、ペットがリラックスして、かわいく写るそうだ。

手ブレ・ピンボケを防止するには?

とは言え、離れた場所からの撮影にもメリットがある。

「ピントの合う範囲が前後に広いワイド(広角)ズームの場合、体全体や背景が入るので、遠近感/臨場感が出ます。一方、背景がボケる望遠ズームだと、顔だけがくっきりして、キレイめな写真になる。顔の大きさは同じでも、写真全体の印象は異なってきます」
 
顔のアップだけでなく、ときには離れた場所から「我が家でくつろぐペット」なんて写真を撮ってみてもいいかもしれない。どういった写真を撮りたいかでモードやレンズを使い分ければ、バリエーションが豊かになるはず。

手ブレ・ピンボケを防止するには?

ピンボケと思っている失敗は、実は手ブレが原因のことが多い。ピンボケは別の場所にピントが合った状態。どこにもピントが合わず全体がモヤッとしているの が手ブレだ。ピントが合っていれば、画像がシャキッとする。手ブレを防ぐには、カメラは両手でしっかりと構えて、シャッターは人差し指で軽く押すのが基本。

カメラのフォーカスエリアが猫を捉えず、別の場所にピントが合うのがピンボケした状態。写真では、背景にピントが合ってしまっている。目の前のペッ トばかり見ず、画面でピントが合ったことを確認してからシャッターを押すようにしよう。ペットの顔認識機能があるカメラもあるので、そちらを利用するのも おすすめだ。

キャッチライト&黒目の注意点

ストックした写真からストーリーを組み立てる

はっちゃんの写真を毎日更新しているブログ『はっちゃん日記』のアクセス数は1日数万PVに上るのだそう。はっちゃんのかわいさはもちろん、4コママンガのようにストーリー仕立てになっていることも、人気の理由だ。
 
ブログのネタは、撮り溜めた写真の中からおもしろいショットを組み合わせて考えるのだとか。

はっちゃんの行動を見て感じたことをふくらませて、見ている人にレポートする感覚」と八二さん。例えば、はっちゃん寝返りを打つ一部始終をおさめた記事では、後ろ足に顔を乗せたポーズのはっちゃんの写真に「これは、寝返り……というか、顔返り? ラクなの?」という八二さんの疑問が添えられている。
 
飼い主視線のツッコミを入れたり、ペットの気持ちを代弁したコメントを付けたりすると、親しみやすくなる。SNSやブログにアップする際に、こうしたひと手間を加えれば、あなたのペットも人気者になるかも?

カメラの内蔵ストロボを使うと正面から光が当たり、コントラストが強く出すぎて、きつい印象の写真になってしまう。内蔵ストロボを「発光禁止」設定にすれば、全体の明るさが均等になる。ただ、光が少ない場所ではシャッタースピードが遅くなり手ブレを起こしやすくなるので、夜の撮影時はカメラをサイズの合う箱に置いて撮るなどの工夫を。一眼レフの場合、外部フラッシュがおすすめだ。

キャッチライト&黒目の注意点

かわいく撮るには瞳が重要。写真で撮ると顔の印象が変わってしまうのは、瞳の形などが原因かも。キャッチライト(瞳に映る丸い光)があるかないかでは、愛らしさが一変する。また、猫の場合は瞳孔のサイズで別人(?)のようにもなる。撮影の際はライティングに注意だ。

猫の場合、昼間に撮影すると、黒目が糸のように細くなってしまう。野性的でインパクトはあるが、少し凶暴そうな印象。一方、夜の撮影では黒目が丸くなり、目元のかわいらしさが強調されている。最近のカメラは高感度に強いので、ぜひ夜の撮影にも挑戦してみてほしい。

夜に猫を撮る場合、うつむいているときは避けよう。目にキャッチライトが入らないため、生き生きとした表情にならない。名前を呼ぶなどで注目を引いて少し顔を上げさせれば、天井のライトが目に写り込む=白いキャッチライトが入り、よりいっそうかわいらしさがアップする。

シーンで使い分けたい! スマホ×コンデジ×一眼レフ

シーンで使い分けたい! スマホ×コンデジ×一眼レフ

今よりワンランクアップしたカメラに興味があっても、選ぶ基準は難しいもの。
それぞれの特徴を見比べて考えてみよう。

●スマホ:手軽なスマホはアプリ加工が楽しい

最も手軽なスマホは、全体がクッキリとした印象に仕上がる。画面をタッチすればピントが合うので、速やかに撮影できるのも利点のひとつ。アプリを使ってポップに加工するなど、遊びのある写真を楽しみたい。

<もっとかわいく撮れる!種類別おすすめカメラ>
スマホでの写真撮影に物足りなさを感じたら、デジタルカメラに手を出してみよう。敷居が高いと感じるかもしれないが、「始めのうちは、押せば撮れるくらいの感覚でOK」と八二さん。Wi-Fi機能付きの『LUMIX SZ5』(パナソニック)なら、撮影後すぐにネットへアップすることができ、スマホとのギャップを感じさせないはず。

コンデジ:簡単でキレイ!カメラ初心者も安心

スマホより画質がよく、被写体と背景にメリハリがついている。Wi-Fi機能や写真加工機能や内蔵されたものなら、ハイクオリティなスマホのような感覚で扱えるだろう。暗いところでの撮影に弱いのが難点。

パナソニック LUMIX SZ5>
Wi-Fi機能を搭載したコンパクトデジカメ。スマホに専用アプリをDLすると、シャッターを切るなどリモート操作や、スマホ上からカメラ内の写真を選ん でSNSにアップすることが可能になる。シーンモードに「ペット」が含まれているのも魅力。コンパクトデジカメ1台目に最適だ。

一眼レフに憧れを持ちつつ手が出ない人には『サイバーショットDSCRX100』(ソニー)がおすすめ。コンパクトデジカメながら、一眼レフに迫るクオリティの写真が撮れる。液晶が動く機能「バリアングル」を搭載したカメラは、ローアングルが多いペットの撮影に最適。

ソニー “サイバーショット”DSC-RX100>
小型ボディながら1.0型センサーとF1.8レンズを搭載し、一眼レフに迫る高画質を実現した、本格的なコンパクトデジカメ。「光学式手ブレ補正機能」は、手ブレを起こしやすい夜の撮影やズーム時に心強い。大きさも性能も妥協したくない人や、一眼レフを持っている人のサブ機におすすめ。


一眼レフ:作品として成り立つ美しさが魅力

目の前にいるかのように美しく撮れるのが魅力。毛質の柔らかさまで表現できる。敷居の高さと大きさがネックだが、価値は十分だ。印刷しても遜色がないので、紙のアルバムを制作する楽しみもある。

キヤノン一眼レフ『EOS Kiss X6i』にはタッチパネルも搭載され、指でさっとピントを合わせて撮影することができる。また、一眼レフを購入したら、外部ストロボも手に入れたい。ペットを撮る際は天井に向けて使おう。ふんわりと光が注いで、昼も夜も失敗なく撮れるの だそう。目で見た印象そのままの写真となり、仕上がりが見違えるという。ペットのかわいさを写しとるために、周辺機材も使いこなしたい。

キヤノン EOS Kiss X6i>
EOS初のタッチパネル機能を搭載した一眼レフ。角度を変えられるバリアングル液晶モニターによって、ロー&ハイアングルでの撮影がぐっと楽になる。3種から選べるAFを、動く被写体を追ってピントを合わせてくれる「AIサーボAF」にすると、走り回るペットの撮影も簡単になるのが嬉しい。


キヤノン スピードライト270EX II>
コンパクトで軽い外部ストロボ。オート発光に設定すれば、内蔵ストロボと同じ感覚で使用できる。発光部の向きを変える「バウンス撮影」やワイヤレス発光も可能で、手軽ながら十分な機能を備えている。

(雑誌「ウレぴあ」冬号より  blueprint = 取材・文 八二 一 = 写真提供)


八二 一さん
はにはじめ●来秀則・藤原なつみによる写真ユニット。主にペットを題材とした雑誌で活躍。ペットの撮影法を教える講師も務めている。飼い猫の「はっちゃん」の写真を毎日更新するブログ「はっちゃん日記」は1日数万アクセスを誇る人気。

『Cat Photographer』
かわいい猫の写真が撮れる本(翔泳社)

猫をかわいく、おしゃれに撮る方法を易しく解説。
「つぶらな瞳の撮り方」「生活空間を生かした撮り方」など、9つのテーマに分かれている。モデルは、はっちゃんを始めとする数匹のキュートな猫。猫の写真集としても楽しめる1冊だ。

雑誌「ウレぴあ」冬号、発売中!

★詳しい内容はこちらでご紹介![ http://ure.pia.co.jp/articles/-/10751 ]

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