妊娠・出産は、女性の人生において重要なライフイベントとなります。望まない妊娠を避けるためには、避妊方法について正しい知識を持たなくてはいけません。 ここでは、間違った避妊方法や、避妊の失敗率についてお話ししたいと思います。

信じてはいけない!間違った避妊方法3つ

避妊方法として世間で認知されているものの中には、そもそも避妊方法にはならない、間違ったものがあります。下記の3つは、避妊したことにはなりませんので注意しましょう。

1.膣外射精

射精する前に男性の性器を膣から抜き、膣の外で射精する方法です。

精子は射精する前から分泌液に混じっている可能性があるほか、膣近くに射精した場合には精子が子宮に到達することもあります。

また、膣外のつもりが膣内に出してしまうことも起こり得ます。

2.オギノ式避妊法(危険日、安全日の予測)

次回の月経開始予定日から排卵日(いわゆる危険日)を推測し、その時期あたりを避けて性交を行う方法です。

本来オギノ式は避妊方法ではなく、不妊治療のために利用されるものです。後述する基礎体温法とは違い、あくまで推測なので排卵日がずれる可能性が高いです。

特に生理不順の人や、スポーツや仕事などでストレスがかかりやすい環境にある人は、月経開始予定日による排卵日の予測は意味がないと考えましょう。

3.洗浄法

膣内で射精後に、ビデなどを使って膣を洗浄する方法です。精子は瞬時に子宮内に向かうため、洗浄しても効果はありません。

間違いではないが、利用方法に注意が必要なもの2つ

1.コンドーム

男性の性器にゴム製の袋をかぶせて、精子の進入を防ぐ方法です。

避妊というとコンドームの利用を真っ先に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?日本ではポピュラーな方法ですが、一般的に避妊の失敗率は18%程度と言われておりバイエル薬品より)、決して成功確率は高くありません

正しくコンドームを使用できれば失敗率は低くなりますので、間違った使い方をしないことが非常に重要です。

コンドームの使い方のポイントとして、下記のことを守りましょう。

  1. 性交の途中ではなく、膣への挿入前にかぶせる
  2. 射精後はできるだけ早くコンドームの根元を持ちながら膣から抜き、膣内に精子がこぼれることのないように注意する

装着ミスやズレ、破損などによる失敗率は高いですが、、比較的安価で、ドラッグストアやコンビニなどで気軽に購入することができ、性感染症を予防できるというメリットがあります。

2.基礎体温法

基礎体温を毎日測定し、そこから予測される排卵日を避妊の目安にする方法です。器具の挿入や薬の内服の必要がないため体に負担のかからない方法ですが、毎朝、婦人科体温計を使ってきちんと体温を測定・記録する必要があります

生理周期が整っており、きちんと測定・記録して基礎体温を管理できる場合には、避妊の失敗率は0.4〜5%ですが、基礎体温は発熱や過労、ストレスなどで変動するため、一般的な失敗率は24%と高くなりますバイエル薬品より)。

オギノ式よりは排卵日の正確性が高い方法ですが、あくまでほかの避妊方法の補助的な役割として使いましょう。また、生理不順や出産後の人には不適当なため、ほかの避妊方法を考える必要があります。

成功確率の高い避妊方法4つ

確実に100%避妊できる方法は存在しませんが、100%に近い成功率を持つ避妊方法としては下記の方法が挙げられます。

1.IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)

子宮の中に黄体ホルモンを放出する小さな器具を入れる方法で、一度の挿入で最長5年間の避妊効果を発揮します。器具の装着・除去は医師が行います。

生理の量が減少し、生理痛が軽くなるという効果があるため、月経困難症や過多月経の治療にも使われます妊娠したことのない女性には器具の挿入が難しいため不向きです。

挿入後数ヶ月は生理以外の出血が続く場合があります。避妊の失敗率は0.2%と、高い避妊効果を示しますバイエル薬品より)。

2.IUD(子宮内避妊用具)

子宮の中に小さな器具(銅を付加したものもあり)を入れる方法で、一度の挿入で2〜5年間の避妊効果を発揮します。

器具の装着・除去は医師が行う点や、妊娠したことのない女性には不向きな点はIUSと同じです。授乳中でも使用でき、避妊の失敗率は0.8%(理想的な使用では0.6%)となっています(バイエル薬品より)。

3.OC(低容量経口避妊薬)

女性ホルモンを含んだ薬剤を内服する方法です。

生理の量が減少し、生理痛が軽くなる効果もありますが、飲み忘れによって避妊効果が下がってしまうため毎日忘れずに内服する必要があります。

飲み忘れなどなければ避妊の失敗率は0.3%ですが、飲み忘れを含めた失敗率は9%となります(バイエル薬品より)。薬の処方は婦人科でしてもらう必要があります。

4.避妊手術

手術によってほぼ永久的に避妊できる方法です。女性の場合は卵管を、男性の場合は精管を糸で結ぶか切断します。手術後、妊娠できる状態に戻すことは非常に難しくなるため、慎重な判断が必要です。

避妊の失敗率は、女性0.5%、男性0.1%程度となっています(バイエル薬品より)。

最終手段の緊急避妊薬

緊急避妊薬(アフターピル)は、性犯罪被害にあったり、避妊に失敗したりした時などに、内服することで避妊を緊急的にすることができます。

性交からできるだけ早く、72時間(3日間)以内に内服する必要があります。受診の前に事前に産婦人科に連絡するようにしましょう。

ただし、緊急避妊薬も妊娠を完全に回避できるわけではなく、他の避妊方法と同じように失敗の可能性もあります。 また、不正出血や吐き気といった副作用が現れることもあります。

今のところ健康保険の適応でないため、実費になります。犯罪被害の場合には、警察に届けることで公費負担の制度を利用することができ、緊急避妊費用以外にも、初診料、診断書料、性感染症などの検査費用、人工妊娠中絶費用なども含まれます。

まとめ

正しい避妊方法を知ることは、今後の自分の人生を守ることにも繋がります。

日本ではコンドームを使用するのが一般的ですが、男性の協力が不可欠な避妊方法であり、失敗率も低くありません。女性主体で避妊できる方法もありますので、自分に合った避妊方法を見つけましょう。

今回は失敗率に着目して避妊方法をご紹介しましたが、ご自身の年齢や合併症の有無(喫煙の有無など含む)、未婚か既婚か、避妊希望期間の長さ、出産歴(子供の数)、費用などによっても、適したまたは勧められる避妊方法が異なりますので、不明な点があれば医師にご相談してください。

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