世代別にみる貯蓄方法

貯蓄が必要なのはどのような時なのでしょうか。今回は貯蓄が必要になるケースを考えながら、貯蓄が必要な時に備えるため、働く世代でのおすすめの貯蓄方法をみていきます。

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貯蓄はどんな時に必要か

貯蓄が必要なシーンといっても、各世帯の家族構成や年代でも異なってくるでしょう。ここでは、どのようなシーンがあり得るのか、また日常で積極的に考えたい未来像とそうでもないシーンを含めてまず想定してみましょう。

子育て費用は安くない

一口に子育て費用といっても、その内容で金額はことなります。ここでは、子育て費用を教育費と養育費に分けることができるとしましょう。

教育費のうち、特に教育費がかかる「大学進学」についてみると、日本政策金融公庫が発表している内容によれば、国公立大学を4年で卒業をするのに約500万円も必要となります。初年度納付金や学費だけではなく、受験にかかわる費用である受験料、交通費、宿泊費なども必要になります。

もっとも、大学に進学するまでには、幼稚園からはじまり、小学校、中学校、高校とあり、そのプロセスも公立に進学するのか、また私立に進学するのかでも異なります。その間には受験が必要となるケースもあり、塾関連の教育費も必要となってきます。

では、養育費はどうでしょうか。

やや古いデータとなりますが「現代子育て経済考」2005年度版(旧AIU保険、元AIG保険)によれば、22年間の養育費に関しては、約1640万円必要という数値も発表されています。この養育費には、出産・育児費用、食費、医療費、保健医療・理美容費、こづかい、私的所有物代などが含まれています。

「子育てにはお金がかかる」とはよくいいますが、こうして数字を並べてみると、長期にわたるとはいえ、まとまったお金が必要といえます。

憧れのマイホーム取得。でも一番高い買い物には違いない

「持家vs.借家」。この議論は様々な場所で展開され、目にする方も多いのではないでしょうか。

「借家が気楽でいい」という方がいる一方で、「やはり老後の住む場所は確保しておきたい」という方もいるのではないでしょうか。

住宅購入は、場合によっては「フルローン」も組むことができるかもしれませんが、住宅ローンの返済は長期間に渡ることから、事前の購入資金準備が必要です。住宅を購入した時と勤務状態が変わることもあります。毎月支払えると考えていた金額も変わることもあるでしょう。先ほど見たように教育費などは家族構成の変化によって毎月のキャッシュフローに影響はあると思います。

こうしたことを考えると、マイホームを取得する場合には、ある程度まとまった資金を準備しておきたいものです。支払いで無理して、そのことで頭がいっぱいということは避けられるのではないでしょうか。

自家用車の購入は贅沢なのか

都心では車を保有しないという方も多いのではないでしょうか。鉄道などの交通の便がよい地域では、公共交通機関などで済ませるという世帯も増えてはいると思います。

一方、交通の便が良くない地域では車は必要不可欠です。世帯で1台ではなく、ひとり1台ということも珍しくない地域もあります。

自動車は住居ほどではありませんが、まとまった金額が必要な買い物です。新しく購入する場合は自動車ローンを組むにしても、事前にある程度の資金があれば安心です。

自動車を消費財としての「ラグジュアリーグッズ」と考えるか、もしくは中古になっても売買できる「アセット」として考えるかでは、自動車に対する見方は変わるかもしれません。しかし、最初に購入する原資は必要です。

大きな病気や怪我などへの不慮の事態への備え

交通事故や病気など、人生には万が一の出来事がつきものです。

もっとも社会保障生命保険などである程度のリスクは回避することはできます。大きな病気や怪我など不慮の事態への備えとして過剰な準備は不要かと思いますが、家族のためにもある程度の資金準備を考える人もいるのではないでしょうか。

老後資金への備え

年齢にもよりますが、現役世代では老後に向けた資金準備も必要となるでしょう。では、老後にはどのくらいのお金が必要なのでしょうか。

これは現役世代における資金準備と老後の生活水準が大きく影響します。

老後に仕事をしないという場合には、主には年金収入と貯蓄を切り崩すことによる資金が世帯における主なインフローとなると思います。

生活水準、つまり生活費である支出のアウトフローと収入であるインフローがバランスしていれば問題ないでしょう。しかし、そのバランスが崩れていれば、現役世代に貯蓄した資金も想定よりも早く減ってしまいかねません。

30代、40代で老後について想像するということはなかなか手触り感がないという方も多いかと思います。しかし、50代になれば定年退職は意識をせざるを得ない世代ともいえます。

年齢とリタイアのタイミングを考慮してどのように貯蓄すればよいか、続いて見ていきましょう。

年代別のおすすめ貯蓄方法とは

「貯蓄」と一口に言っても、金融機関における預貯金にはじまり、生命保険、投資信託、株式投資といったように様々な選択肢があります。「貯蓄」を「預貯金」と考える人もいますが、「預貯金」は「貯蓄」の一部です。

預貯金と有価証券を含めて、年齢とリスクを考慮しながら、どのように、またどの程度の割合で家計のポートフォリオに組み込むかが重要になってくるかと思います。

働き盛りの30代から40代ではどうか

30~40代は、20代と比べ、結婚や出産といったイベントを経て、家族構成も変わる方も多いでしょう。

そのような環境変化の中、住宅を購入することをきっかけに住宅ローンが借入として家計のバランスシートの左側にどっかりとのることもあるでしょう。不動産は先ほど見た「貯蓄」の定義における対象資産ではないですが、立派な投資です。

また、お子さんがいる場合には、子供の教育費や養育費にお金がかかることで、当初想定以上に家計を圧迫することもあるでしょう。

子育て資金を考えるにあたっては、こども保険のように、こどもの大学進学をイメージしながら定期的に保険料を支払い、その期間の保険とともに貯蓄性を求めることも可能です。毎月預貯金をする地震がないという人にはおすすめです。

また、長期の資産形成には、非課税枠のあるiDeCo(イデコ)やつみたてNISA(ニーサ)といった制度を利用するのがよいでしょう。お得に資産形成を始めることができます。

たとえば、つみたてNISAでは、金融庁のスクリーニングをパスした投資信託がラインナップされていることもあり、信託報酬などの運用費用についてもお得な投資信託を長期で資産形成することが可能です。

老後を本格的に意識するようになる50代

50代以降は、住宅ローンも大方返済しているという人も出始めるのではないでしょうか。また、子育ても一段落し、子供の教育費や養育費に以前ほどお金がかからなくなる方もいらっしゃるかもしれません。

家庭ごとに状況は異なるでしょうが、現役世代でもあるため、支出が減ることで貯蓄に回せる資金をしっかりと運用していきましょう。

また、家庭環境も40代と比べて変わっていることから、これまでの保険内容をみなすことで、保険料なども削減できるかもしれません。

ポートフォリオも老後資金が準備できているのであれば、運用におけるリスクを落としていくのも一つの選択肢です。一方で、老後資金が十分にできていないのであれば、インフローが十分な状況で運用ができる最後の世代ともいえます。iDeCoやNISAの枠外でも投資が必要になるケースも出てくるかもしれません。

伸びる寿命とどう向き合うか

今回は貯蓄が必要になるケースとおすすめの貯蓄方法をご紹介してきました。人生に起きる様々なイベントやアクシデントも含めて、貯蓄を考える必要がありそうです。

老後といっても、定年退職と同時にすべて現預金にするということは必ずしも必要はないでしょう。むしろ、一定の支出はありながらも、運用するという姿勢は必要です。

また、貯蓄が目的となって、人生のストレスを抱えては本末転倒です。自分がしたいことはなにか、どんな生活や人生を歩みたいかという目的に必要な貯蓄を考えるところから始めてみたいものです。