1月25日(金)より公開される話題作『あした世界が終るとしても』から、主人公・狭間真を演じる梶裕貴さんのオフィシャルインタビューが到着しました。

「あした世界が終わるとしても」キービジュアル

――めて役をもらったときの感想や、演じる真に対する想い

梶 櫻木優平監督とは、以前、この作品の誕生のきっかけとなった「ソウタイセカイ」でご一緒させていただいたことがあります。そこでの芝居経験がとても楽しくて、いつかまた櫻木監督の作品のなかで呼吸をする機会があったらいいなと思っていました。なので、それが今回劇場作品として実現して、とてもうれしく思います。

真は幼いころに母を亡くした少年。特殊能力をもっているわけでもなく、ごく普通の男子高校生です。生い立ちのせいか、心を閉ざしがちで、人に対する最初の一歩を踏み出せないでいるんです。もちろん、トラウマから人との心の距離を縮めることを怖がっている部分もあるのかもしれませんが、思春期の少年らしい、ちょっと自意識をこじらせている感じもある。父親に対して反発していたり、幼馴染の琴莉に対してもそっけない態度をとってみたり。でも本当はちゃんと優しい。その葛藤というか、ブレ具合がすごく人間らしいキャラクターだと思います。現代日本に生きるそんな少年が、縁のなかったはずの“戦争”という非日常に巻き込まれていく――。そこにこの作品の面白さがあると思います。

――作品の見どころ

梶 作品は大きく分けると、序盤の真と琴莉の青春パート、後半以降、激しいバトルが展開していくSFパートで構成されていると思います。見どころを一か所だけあげるのはなかなか難しい作品ですが、僕は序盤にある、真と琴莉の会話シーンにすごく惹かれるんです。日常生活の中での会話に、とてもリアルな空気があるんですね。もちろん SFパートやバトルシーンスピード感があってハイクオリティ。純粋に映像美を楽しんでいただけるものにもなっていると思います。日常生活も異世界もバトルも全部がひと作品で見られるのは、アニメならでは。今のアニメでできるいろんな要素が詰まっている作品です。

――アフレコを行っての感想

梶 前半の日常パートでは、真の思春期らしい自意識や異性への対応など、人間らしい感情をこじらせていることが見え隠れしています。決して多くはない台詞のなかで、いかに真の葛藤や心のブレを表現できるかが挑戦でした。僕は比較的、普段はバトルものやファンタジーものに出演させていただくことが多いんです。そんなこともあって、一般の男性と女性の会話である、真と幼馴染の琴莉のやりとりにいかにリアリティをもたせるかは、演じていて難しくも楽しいところでありました。そして、そんな風に人間らしく生きてきた真が、後半のSFパートでは、急に戦争に巻き込まれていきます。だからこそ、現代日本人である自分もすごく真の気持ちがわかる。僕自身もリアルにこのドラマを感じながら、生々しいお芝居ができればと思いながら演じました。真が自分の身を挺して戦うバトルシーンでは、僕自身『もうどうとでもなれ!』と思うぐらい、ひとつの叫びに魂を込めています。

アフレコ時はありがたいことに、映像がほぼ完成版に近かったんです。キャラクターの表情や動きがはっきりとわかっていたので、そこに映像だけでは拾いきれない音や息を加え、キャラクターが立体的に生きている臨場感を上乗せできればと思っていました。どうしても間がほしいところなどは、監督に相談したことも。自分の考えるキャラクター像を提案して、監督はそれに耳を傾けてくださる。非常にクリエイティブで熱い現場でしたね。

――あいみょんの曲を聴いての感想

梶 あいみょんさんは、新しい感覚で、それでいて人間にまつわる普遍的なメッセージを歌っていらっしゃるアーティストさん。若い世代を中心に影響力のある方だというのは、僕も耳にしていました。そんなあいみょんさんが担当された主題歌の『あした世界が終わるとしても』、挿入歌の『ら、のはなし』。どちらも歌詞の内容が絶妙に作品世界とリンクしています。僕自身、役者として、芝居をするときには生々しさや心のブレを大切にしているのですが、こちらの楽曲ではそういったニュアンスを、音楽として、とても素敵に汲み取られていますよね。『ら、のはなし』は、とても明るくて、劇中でも前向きな印象のパートで使われています。エンディングでかかる主題歌『あした世界が終るとしても』は、作品を見終わった後に歌詞を聞くと、より強いメッセージが感じられるはず。それから、自分は真を演じさせていただいからか、どうしても歌詞に出てくる『僕』は真に、『君』は琴莉に置き換えて聞いてしまいました。純粋にどちらの楽曲も多くの方に届くメッセージ性がありますが、この作品を象徴する歌として、皆さんの心に残ってくれるとうれしいなと思っています。

――作品をみてくれる方へのメッセージ

梶 最初に作品の映像を見たとき、本当に衝撃を受けて、これからの日本のアニメはこういった表現も加わっていくんだなという驚きと喜びを強く感じました。櫻木監督の新しいセンスや個性が詰まった作品です。その中で僕ら役者ができることは、演技の原点から変わらず、キャラクターに人間らしい生々しい感情を乗せていくこと。そういった“新しいもの”と“変わらないもの”がうまく混ざっている作品になっていることを願っています。

真役を演じさせていただいたからかもしれませんが、僕はこの作品を、真の成長物語だととらえて演じさせていただきました。物語の内容やそこから生まれるものに関しては、作品をご覧いただければ必ず伝わるものだと思っています。熱意と愛情のあるクリエイティブな空間で、丁寧に作り上げられた作品です。そんな真っ直ぐな想いのこもった作品を、ぜひ映画館でご覧いただけたらうれしいです。よろしくお願いします。

イントロダクション

幼いころに母を亡くして以来、心を閉ざしがちな真(シン)。

彼をずっと見守ってきた、幼なじみの琴莉(コトリ)。

高校三年の今、ようやく一歩を踏み出そうした二人の前に突然、

もうひとつの日本から、もうひとりの「僕」が現れる――。

新鋭・櫻木優平監督が描く、アクション・ラブストーリーの誕生(WebNewtype)

『あした世界が終るとしても』の主人公・狭間真を演じる梶裕貴さん