室町時代江戸時代初期にかけて作られた短編の物語を総称して「御伽草子(おとぎぞうし)」と言い、Japaaanでは以前「鼠草子(ねずみのそうし)」という、ネズミたちを擬人化させたとっても可愛い絵巻物を紹介しました。

そして今回紹介するのも、動物たちを擬人化させた可愛らしい絵巻「十二類絵巻(じゅうにるいえまき)」です。

「十二類絵巻」は、十二支の動物と十二支に属さない動物との対立を描いた、可愛いタッチとは裏腹になかなか激しい合戦物語なのです。

あらすじは、十二支の動物たちが歌会を開催。そこに鹿が狸と共に現れ、歌会の判者の役を申し出ます。犬の反対があったりもしますが、鹿は判者となり歌会は行われました。

後日、歌会が再び計画されます。鹿に判者になってもらうよう依頼しますが、鹿は体調不良のためにその依頼を断ります。鹿が十二支たちに頼りにされているのを羨ましく思っていた狸は、変わりに判者の役を申し出るも断られます。

これに怒った狸は、十二支に属さない動物たちを集めて仕返しの合戦をしかけるのでした…。

といった内容。物語は、最初の合戦では十二支側が勝利するも、再び狸軍が合戦を仕掛けて今度は狸軍が勝利。しかし再び十二支軍が攻め返し狸軍が負け。狸は出家することになります。

妬み、憎悪、復習、報復…。擬人化された動物たちの可愛らしい物語などというものではなく実にハードボイルド的なストーリー展開なのです。物語は室町時代に成立したものとみられ、物語が画かれた絵巻物は写本も含め複数確認されています。

時代劇映画が一本作れてしまいそうな見事なストーリーですよね。わかりやすい展開でもあるのでアニメ化などされないでしょうか…。

国会図書館のデジタルコレクションで絵巻物を閲覧することが出来ますので、気になった方は是非チェックしてみて下さい!

 

十二類巻物 – 国立国会図書館デジタルコレクション

参考:お伽草子『十二類絵巻』幽香叢書本をめぐる一試論

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