台湾でひとりの登山家が非業の死を遂げた。ソーシャルメディアに山頂でのビキニ姿を投稿していたことから「ビキニ登山家」として知られたこの女性は、単独で登山中に渓谷に転落し帰らぬ人となった。地元メディア『Taiwan News』をはじめ『London Evening Standard』『Metro』などが伝えている。

新北市出身のジジ・ウーさん(吳季芸、36歳)は、山頂でのビキニ姿の写真がソーシャルメディアで話題となり、「ビキニ登山家」として知られるようになった。もともとは友人との賭けに負けたことからビキニ姿になるアイデアを思いついたそうだが、ウーさんは経験ある登山家で適切な用具や用心も怠らず、通常の登山ではハイキング用の衣類を身に着け、山頂に着いたところでビキニ姿に着替えて写真を撮っていたという。

昨年の地元テレビ番組のインタビューでは、過去4年間に100もの山に登ることに成功したと語っており、ウーさんビキニ姿はもちろんのこと登山家としても多くのハイカーをインスパイアする存在だったようだ。しかし昨年12月24日、両脚についた痛々しい痣の写真を自身のアカウントに投稿し「道から滑り落ちてしまった。簡単にその先へ落ちてしまったかもしれない」と改めて登山の危険さを実感したかような文章を綴っていた。

そして1月19日ウーさんに悲劇が襲った。この日の午後、ウーさんは単独で台湾でも最高峰とされる玉山国家公園にある山に挑んでいた。しかし標高3,000メートルを超える盆駒山付近で足を踏み外し、20~30メートル下の渓谷へと転落。怪我で身動きがとれなくなったウーさんは、衛星電話を使って友人に連絡した。その後、緊急ヘリが出動しウーさんの救助にあたったが、悪天候のため救助を試みた3度とも失敗。南投県政府消防局チームは、徒歩でウーさんがいると思われる場所まで救助に向かうことを決意した。

21日、チームは気温が急激に下がることからも3時間ほどの睡眠しかとらず28時間かけてウーさんのいる場所に辿り着いた。しかし、ウーさんは既に帰らぬ人となっていた。前夜の気温が氷点下に達していたことから、低体温症が原因で死亡したとみられている。

消防隊長は「救助に尽力したが、命を救えなかったことは非常に残念です」と述べ、悪天候が改善するまで、ウーさんの遺体をヘリに移動することを見合わせると発表した。

ソーシャルメディアにも18,000人以上のフォロワーを持っていたというウーさん。最後となった1月18日の投稿は、雲の上にそびえる山からの景色を撮影した写真だったそうだ。現在、ウーさんソーシャルメディアアカウントには、多くの追悼メッセージが寄せられている。

画像は『London Evening Standard 2019年1月22日付「Bikini hiker GiGi Wu dies: Tributes as social media star ‘freezes to death’ after falling in ravine」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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