男の子と比べて育てやすいとされる女の子。たしかに計画性があり、ルーティンをこなす力はもともと身についているのは女の子です。ですが、学力を伸ばすにあたって、女の子ならではの性質がネックにあることもあるようです。
たったこれだけ!「将来の夢が叶う子」の親がしている、簡単な声かけ
中学受験に挑戦する過程で、早いと初潮を迎える女の子もいます。こころとからだの面で繊細な変化がみられる時期にあたりますから、それ相応のケアも必要でしょう。
入塾テストなしにもかかわらず、有名難関校に続々合格すると評判の進学塾VAMOS代表・富永雄輔さんに言わせると、男の子以上に親子間の信頼関係が重要なのが、女の子なのだそう。
男の子の学力の伸ばし方の記事に続き、富永さんの『女の子の学力の伸ばし方』を参考に、性差をうまく利用した、女の子に最適な学力の伸ばし方のコツを紹介します。
女の子の特性とは?
ジェンダーフリーが叫ばれるこの時代に、性差に特化した教育などというと、違和感を覚える方もいるかもしれません。ですが、実際に現場でたくさんの子どもたちの性差による違いを目撃してきた富永さんがたどりついた結論は、性差にフォーカスした学習こそが女の子の可能性を広げていくというもの。
ひとり一人の個性の違いはあれど、多くの女の子は真面目で、慎重です。共感力に富み、人間関係を大切にします。さらに、「どうしてそんなことをしたの・・」と言いたくなるようなことをしでかす男の子とちがって、無茶なことはしません。
男の子の親からしたら、うらやましくなるような性質ですが、見方を変えれば、失敗を恐れるあまりチャレンジまで避ける傾向があるとも言えます。また、女の子には自分を冷静にみられる観察力があり、ともすると自分を過小評価しがちです。
そんな女の子にハッパをかけたり、気合いを強要したりするのは逆効果。では女の子には、どんな声がけやアプローチが大事になってくるのでしょうか。
女の子が何よりも求めるもの
男の子の場合、8割叱って2割ほめるくらいでちょうどいいといった具合に、子どもの様子を見ながら「ほめる」と「叱る」の割合を調整することで、子どもをリードすることができますが、女の子はそう単純ではありません。
たとえばほめるにしても、叱るにしても、自分がちゃんと受け止められているという安心感がないと、うまくいきません。というのは、女の子がなによりも求めているのは「共感」だからです。理解ももちろんですが、それ以前に自分が「受け入れられている」と感じられることが大事なのです。
先に「女の子は親子間の信頼関係が重要」と書きましたが、それはこういった女の子の特性によるものです。では、具体的にどうしたらいいかについてですが、親、特にパパはどうしたらいいのか、戸惑うかもしれませんね。
たとえば女の子が点数の悪いテストを持って落ち込んで帰ってきたら、まずその点数を受け入れ、子どもの気持ちに寄り添ってあげてください。その上で、「じゃあ、どうしようか」と自然に女の子の気持ちが上向きになるような声がけをして、一緒に考えてあげるのです。
気の利いたアドバイスよりも、ただ心から寄り添ってあげることが、女の子にはまず必要です。すべての学習はそこから始まると言ってもいいかもしれませんね。
ちなみに、点数の悪いテストを見た時の反応として、いちばんやっていけないのはどんなことか、もうお分かりですよね。
女の子に効くアプローチとは?
女の子に有効なアプローチとは?
とにかく失敗を恐れる女の子は、得意な科目よりも苦手な科目のことが気になってしまいがち。そもそも、苦手というのも、本人がそう思い込んでいるだけの場合もありますから、もったいない話です。
たとえば「10問中6問しかできない」からその科目が苦手だと思い込んでいる女の子がいたとしたら、客観的にそうではない根拠を指し示してあげましょう。
「10問中半分以上できている」「半分以上できている人の方が少ない」、ということは、「○○ちゃんは、本当はこの科目、苦手ではないんじゃない?」といった具合に納得してもらうのです。
苦手や嫌いな科目は、悪い点を取った時の言い訳になりかねません。早めにそういった意識を取り除いてあげる工夫が必要なのですね。苦手な科目は普通にできるくらいまでに引き上げられれば、バンバンザイです。苦手科目に足を引っ張られることなく、得意科目はさらに伸ばせば、慎重な女の子でも自信につながりますね。
また、男の子とちがって、女の子は大きな目標を立てることを嫌う傾向にあるそうです。大きすぎる目標よりも実現可能な目標を達成すること自体が、モノではなく、心の報酬になるからです。
男の子には細かい計画は向きませんが、女の子には、具体的に月の目標を決め、その目標達成のための週ごとのタスクを決め、さらには一日単位の計画を立てても大丈夫です。
どんなに小さなことでも、ひとつひとつこなして行くことが、女の子の達成感につながるのです。その時に、一緒になって喜んであげられる親でいることが、女の子には大事なことをお忘れなく!
気分のアガる環境づくりが大事
女の子の学習するモチベーションを上げるには、没頭できる環境づくりが必須です。かわいい筆箱やキャラクターのついたペンなど欲しがる場合は、モチベーションアップへの投資だと思って、買ってあげましょう。
ただし、女の子に持ち物にばかり気をとられるような傾向がみられたら、勉強から心が離れている証拠ですので、気をつけてあげてくださいね。
また、勉強する環境についても、男の子とはちがった配慮が必要になってきます。昨今は、リビング学習がブームで、子ども部屋を作るよりもそちらを選ぶ親も増えているようですが、女の子、特に勉強のできる小学校高学年の女の子ほど、自立心の芽生えも早いもの。
家族がごちゃごちゃといるリビングルームでは、学習に集中できずイライラしてしまう女の子には、周囲の目が気にならない個室での一人学習が向いています。
ちなみに部屋に閉じこもって勉強していた女の子が、入試直前になるとリビングに出てくることがありますが、これは試験が怖くなってくるからだそう。そんな時は、女の子の不安や緊張を解消し、リラックスできる環境をつくってあげましょう。
ママはロールモデル!
女の子は、しっかりとした信頼関係を築いた人のアドバイスは聞いてくれるもの。共感に満ちたフォロー体制を家庭に常備しましょう。女の子にとって家は精神的なよりどころ。
女の子に意見する時は、細かく指示やアドバイスをしすぎると、価値観の押しつけになり、逆効果です。繰り返しますが、まずは共感、そして次にどうしたらいいかは一緒に考えていけばいいのです。
そして、女の子にとって、ママはロールモデル、将来を考える時の見本なのです。
たとえば算数の成績が上がらないことに悩む女の子がいたら、「ママも昔は苦手だったんだ」と同じ地点に立って、自分の失敗話を正直に話してあげてみるのです。
「失敗もしたけれど、だからこそ今は充実した人生を送っているよ」というメッセージが伝われば、失敗をネガティブにとらえがちな女の子の気持ちも楽になるでしょう。
実際に苦手だったかどうかはこの際、あまり重要ではなく、また、完璧なママである必要もありません。受験に成功した男の子が成功を自分ひとりの手柄にするのに対し、女の子は合格を親と一緒になって勝ち取ったものとして喜んでくれる場合が多いそう。女の子の共感性の高さがそうさせるのですね。
また、女の子の成功には笑顔が必要、と富永さん。スポーツの世界でも、笑顔がはじけているチームや選手が好成績を残すのだとか。2011年の女子ワールドカップのなでしこジャパンを思い出しますね。
ぜひ、がんばっている女の子に日頃から、笑顔を絶やさず接してあげてください。
そして、叱るとしたら、的確に根拠を示して淡々と。納得できる叱り方であれば、それは「自分のことをわかってくれている」という信頼につながります。また、ほめる時も、理由なくほめることは逆効果ですので、ご注意を。
まとめ
女の子はルールをしっかりと守れる反面、周囲の環境や人間関係に左右されやすい繊細なところがあります。「親も一緒に戦っている」という姿勢を見せることが女の子に安心感を与えます。
もちろん、個人差はあり、男の子っぽいところがある女の子もいると思いますが、まずは女の子にとっては叱るよりほめる、ほめるより共感すること大事、そして家庭での親のあり方が大事、ということを覚えておきましょう。
姉妹編にあたる『男の子の学力の伸ばし方』と一緒に読めば、より理解が深まり、我が子だけにカスタマイズした学習方法がみつかるでしょう。
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