カトリックの街・四ッ谷にある神社

東京都新宿区四谷(よつや)は、カトリック教会やミッションスクール、キリスト教書店などが多い街として知られています。

JR・東京メトロの「四ツ谷駅」を出ると、カトリック麹町(こうじまち)教会こと聖イグナチオ教会がすぐ目の前にあり、隣にはカトリック系大学として有名な上智大学があります。

四谷見附の交差点を渡った先には聖パウロ修道会の運営する書店「サンパウロ」、さらに新宿通りを進むとサレジオ会の運営する書店「ドン・ボスコ社」があり、近隣にはカトリックの名門として知られる雙葉学園もあるなど、同じ東京都内でも他の地域とは雰囲気の違いが感じられます。

かつてこの地域には、没落した大名などが江戸時代以後に手放した土地が多くありました。

そこへカトリック修道会の「イエズス会」が1913(大正2)年に上智大学を設立し、それに伴い四谷を日本のカトリックの拠点としたのでした。上智大学の設立には、かのイエズス会宣教師・フランシスコ・ザビエルが「日本の首都にぜひ高等教育機関を!」いう意見を、なんと16世紀にローマへ書き送っていたことが深く関わっていたといいます。

このような歴史的背景もあり「カトリックの街」という印象の強い四谷ですが、実はこの地域には総鎮守である神社もあるのです。

須賀神社の歴史

カトリックの街から新宿通りを進み、左折して裏道に入ってさらに進むと、四谷の総鎮守・須賀神社があります。

「須賀大神」こと須佐之男命(スサノオミコト)と「稲荷大神」こと宇迦能御魂神(ウカノミタマミコト)を中心に祀るこの神社は、江戸時代の初期からこの場所に鎮座しています。元々は別々の2つの神社でしたが、江戸時代に1つになり「稲荷天王合社」と呼ばれ、現在の「須賀神社」という名称にされたのは明治になってからでした。

ちなみに「須賀神社」とは、主祭神である須佐之男命が出雲の国の八俣の大蛇(ヤマタノオロチ)を退治した際に

「吾れ此の地に来たりて心須賀、須賀し」

と言ったことに由来するのだとか。

貴重な文化財と、映画「君の名は。」のラストシーンに登場した「あの聖地」も

境内には、1836(天保7)年に描かれた三十六歌仙絵」の説明がありました。

実物は社殿内に展示されていて、昇殿して見るには許可が必要というこの新宿区指定有形文化財は、第二次世界大戦中は御内陣の金庫の中に納められていたため、焼失を免がれたものです。

そして参拝を終えて神社を出ると、そこには長い階段があります。実はこの階段、映画「君の名は。のラストシーンの舞台となった、あの階段なのです。

すれ違いを続けた2人がようやく会えたこの場所は「聖地」とされ、日本のみならず海外からもファンがやってくるのだとか。筆者が参拝したときも、アジアからの観光客とおぼしき団体が写真撮影をしていました。

日本の文化と海外からの文化が同居する四谷で、たまにはのんびりとお散歩を楽しんでみるのもいいですね!

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