堂安が倒されノーファウルも… 一定の時間経過後にPK判定 その間に何が起きた?

 日本は24日のアジアカップ準々決勝ベトナム戦で1-0と勝利し、28日の準決勝でイランと激突する。準々決勝からVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が導入され、この試合でも二度のビデオ判定が適用されたが、なかでもMF堂安律フローニンゲン)が獲得した“2分40秒遅れのPK”が注目を集めた。この時間差PK判定はなぜ生まれたのか。

 前半24分、この日一度目のVARが適用される。MF柴崎岳(ヘタフェ)の左コーナーキックからキャプテンのDF吉田麻也サウサンプトン)が合わせてゴールを決めた。ベトナムボールでキックオフとなる直前にVAR判定に入り、吉田にハンドがあったとしてゴールは取り消されている。

 0-0のまま迎えた後半8分、堂安がペナルティーエリア内で相手に倒されてPKを主張したがノーファウル判定。そのままプレーが続行されたが、最終的に主審はVARで確認し、PKに覆っている。この間に何が起きたのか。

 堂安がMF原口元気ハノーファー)のパスを受けて倒されたのが後半7分13秒付近だ。日本の攻撃はそのまま流れ、相手GKにボールをキャッチされている。そのままベトナムが攻撃に移行するも、すぐさま日本がボールを奪取。後方でパスを回して左サイドのDF長友佑都ガラタサライ)に展開し、そのまま縦にスルーパス。これは惜しくも原口につながらず、そのまま相手ゴールラインを割った。この時点で後半8分をわずかに回っている。

ベトナムの選手交代でさらに時間経過、直後に試合再開のはずが…主審が映像チェック

 ベトナムは状況を打破すべく、MFグエン・フイ・フンに代えてFWグエン・バン・トアンを投入。両軍の選手がそれぞれのポジションに移動し、ベトナムのゴールキックから試合が再開するかと思われたが、後半8分50秒過ぎに主審が耳に装着したレシーバーに手を当てると、プレー再開を一時中断して何かを話し始めた。

 後半9分を指した時に主審が笛を吹き、両腕で画面をイメージさせるような四角のジェスチャーを見せてVAR判定。ピッチ脇に置かれているディスプレイで映像をチェックして時間が経過するなか、9分53秒付近で再び笛を吹いてピッチに戻り、PKを指示した。

 堂安が倒されてからPK判定まで、実に2分40秒近くのタイムラグが生じている。プレーがなかなか切れず、相手チームの選手交代も挟んだため、判定が覆るまでに時間を要した形だ。物議を醸しそうなシーンとなったが、結果的に日本はこの“時間差PK判定”に救われ、勝利を手繰り寄せた。(Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)

決勝PKを沈めたMF堂安【写真:Yukihito Taguchi】