高齢化が進み、厚生労働省が公表している平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳です。一方、健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳(いずれも2016年)。寿命は延びているものの日常生活に制限のある期間も長く、その平均は男性8.84年、女性12.34年となっています。

要するに、10年前後にわたって介護が必要になる可能性があります。そこで注目されているのが認知症になったとき、認知症が原因で起きたトラブルに対応する保険です。
認知症の患者数は右肩上がりと予想されている

医療制度の充実や日本の和食中心の食文化などから、平均寿命は延び続けています。しかし、それに比べて健康寿命の延びは小さく、内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によると2014年度末の時点で介護保険の要介護または要支援の認定を受けた人は591.8万人。75歳以上で要介護の認定を受けている人は、75歳以上の被保険者の23.5%にもなります。

そんな現実に加えて日本の認知症高齢者人口の将来推計によると(下図)、認知症の有病率が一定の場合と上昇した場合の2つのケースで試算されていますが、上昇したケースでは2060年には65歳以上の3分の1が認知症になるという驚くべきデータが公表されています。

認知症に備える保険のバリエーションが増えてきた

そんな現実を知ったシニアの、「認知症になったときに備えたい」という声に応えて、経済的な保障はもちろん予防や早期発見にも着目した保険商品がいろいろと登場しています。主な商品をまとめたのが下図です。

たとえば、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「リンククロス笑顔を守る認知症保険」は、認知症だけでなく軽度認知障害の段階でも一時金を支給し、早期発見や治療を促す設計。長期になりがちな介護生活を支援するために要介護1以上と認定されたときの一時金や、要介護3以上と認定されると介護年金を終身で受け取れるオプションも用意されています。

ほかにも、太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」は、予防とうたっているだけあって認知症にならなくても被保険者が生存している間は2年ごと(初回は1年後)に3万円の予防給付金を支給します。

第一生命の「ジャスト認知症保険」は簡単な告知だけで加入でき、認知症予防のための食事や生活習慣のサポートをして認知機能の低下の早期発見に役立つアプリを提供。

朝日生命の「あんしん介護 認知症保険」は、認知症にならなくても公的保険制度の要介護1以上に認定されると以後の保険料の払い込みが免除。保険金や給付金の請求をするときに必要な医療機関の診断書を、無償で取得代行してくれるサービスも付加しています。
認知症が原因で起きたトラブルに対応する保険も

認知症になったときの不安は、治療などにかかる費用の不安だけではありません。昨今、問題になっているのは認知症が原因で事故やトラブルを起こした際に必要になる補償などの費用。そんな心配を軽減してくれる主な保険の例が下図になります。

東京海上日動火災保険の「認知症あんしんプラン」は、40歳以上の認知症の人とその家族が対象で、個人賠償責任補償(1事故につき国内1億円・国外1億円を限度)に加え、行方不明時の捜索費用(1事故につき30万円、保険期間を通じて100万円を限度)、交通事故などのケガ(死亡した場合は50万円、後遺障害が生じた場合は程度に応じて2万円~50万円)を補償してくれます。

認知症の人が徘徊し、線路内に立ち入って電車を止めてしまい、振替輸送料や人件費を請求されるといった例も後をたちません。そんな損害をカバーできるのが、あいおいニッセイ同和損保の「タフ・すまいの保険」です。火災保険にオプションで個人賠償特約を付加。「電車等運行不能賠償追加型」ならば、電車を止めてしまったというような損害賠償責任を負った場合でも、1事故につき最大1億円まで補償してくれます。また、この特約を付けていれば日本国内で発生した事故の場合は、示談代行サービスを利用することも可能。

最大補償額は1000万円とあまり大きくありませんが、リボン少額短期保険の「リボン認知症保険」は年齢・性別による保険料の違いはなく、1000万円補償プランで年間の保険料は2万4800円。医師による認知症の診断なしでも加入でき、インターネットで簡単に手続きできるのがポイントです。

このように認知症に備える保険といっても、さまざまな商品があります。加入を考えるときは、補償内容はもちろん提供されるサービスなどもしっかり確認して検討しましょう。
(回遊舎)

画像提供:マイナビニュース