高野連への批判が拡大する一方だ。
高校野球の高知商野球部の部員が同校ダンス同好会の有料イベントに参加した件で、日本高等学校野球連盟(高野連)が「商業的利用にあたる」ことを問題視し、同校野球部長に処分を検討している。
ネットには賛否両論の声が集まるものだが、今回に関しては批判一色で大炎上。スポーツ界や政界からも異議が唱えられた。
川渕氏「馬鹿げた話」、鈴木長官「いろんな部活動の活動のあり方があってもいい」
スポーツ界の改革者としてレジェンドともいえる川淵三郎氏は、ツイッターで「馬鹿げた話」と一蹴した。
「高知県で全く馬鹿げた話を聞いて驚いた。甲子園に出場した野球部員が、同じ指導者の下でその高校のダンス部の活動に参加したことを高野連が咎(とが)めていると。入場料をとる発表会に出場した事が問題だという事で。高校ダンス部として普通のことでは?野球部員が他の部活動をしてはいけないということなの?」
スポーツ庁の鈴木大地長官は「個人的にはもう少し寛容になってもいいのかな」と野連の厳しすぎる対応にクギを刺した。同庁では『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』を策定しており、「複数の部活動を実施しても良いと記載している。これからいろんな部活動の活動のあり方があってもいい」と話した。
『野球部や部員の商業的な利用』なのか?
この問題は昨年12月、高知市内の施設であった入場料500円のダンス発表会に、引退した3年生野球部部員が参加し、ユニホーム姿で踊るなどしたもの。甲子園での応援に対する感謝として参加したという。1200人の観客が集まったが、借りた会場施設の使用料や諸経費などを考えれば収益を求める「商業的利用」にはほど遠いと、一般的な感覚からすると推測できる。
国民民主党の玉木雄一郎代表はもっと踏み込んでいる。「ホールの賃料のために500円とるダンス大会は『有料』だけど『非営利』ではないのか?それなら『野球部や部員の商業的な利用』には当たらないのでは。とにかく、こんな硬直的な対応をするより、高野連はもっと本質的な改革に取り組むべき」。
高知商OBの野球評論家・江本孟紀氏は「人としての恩義や礼儀を大切にすることは高校野球の売りのはず。金目的でないことは一目でわかるのに、その判断もつかないのか。こんなケースはいくらでもあるはずで学生野球憲章に問題がある」。
「学生野球憲章」時代錯誤の条項があったら、見直す必要がある
一方、今回の問題点について、竹中雅彦事務局長は「野球部長がダンス同好会の顧問を兼ねており責任者。有料イベントなので商業的利用にあたるということです」と説明し、野球部長の謹慎処分などを検討している。
甲子園で応援してくれたお返しをした野球部員とチアリーダーは、処分の対象を言い渡されてどんな気持ちになっただろうか。「大人のルール」でしばり、背景にある高校生の思いには目を向けていない。固定観念にとらわれず、人の思いをくんだ柔軟性があれば、今回のような大騒動にはならなかった。
球界改革を訴えるDeNA筒香嘉智選手の言葉が象徴的だ。「多くの指導者は自分が経験したことばかり言っている。時代は変化している。頭の中を常にアップデートしていかないと、子どもたちの将来は守れない」。
高野連が順守する学生野球憲章も制定されて70年近くたつ。時代錯誤の条項があったら、見直す必要がある。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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