凍った池に、なにやら怪しげな物体が!よく見るとワニの鼻先(外鼻孔)である。全く動かないし、ワニが氷の中に閉じ込められ死んでしまったのか?
びっくりする光景だが安心して欲しい。寒さが厳しい湿地で暮らすワニ(アリゲーター)は、この体勢で冬眠をしているのだ。
凍死体のように見えるこの、氷上鼻突き出しスタイルこそが、厳しい寒さを生き抜く生存戦略なのである。
Alligators Stick Noses Out Above Frozen Water During Hibernation
アメリカ・ノースカロライナ州オーシャン・アイル・ビーチにあるシャーロット・リバー・スワンプ・パークの、26万平米の自然公園の池の中で、寒い冬を過ごすアリゲーターの様子が撮影された。
ぱっと見、氷漬けになっているその姿は、死んでしまったように見えるかもしれない。だが、氷の上にある鼻先からきちんと息をしているのだ。
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もし何かが彼らに近づいても気にも留めないだろう。凍結した水の中で忘却に沈み込み、ひたすらじっとしている。
アリゲーターは水が氷点下に近づくと、それを感知することができる。すると絶好のタイミングで鼻先を水面に出すのだ。
爬虫類の冬眠「ブルメーション」
爬虫類の冬眠は英語で「ブルメーション(brumation)」といい休眠状態のことだ。哺乳類と鳥類の「ハイバネーション(hibernation)」と区別されている。
どちらも似た現象だが、まったく同じではない。
変温動物である爬虫類がブルメーションをすると、その代謝速度は大きく落ちる。極端な低温への反応として、体が昏睡状態になる。
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しかしハイバネーションほど深く、持続的な眠りではない。
それが証拠に、通常アリゲーターは沼地の底でブルメーションをするが、ときおり空気を吸ったり、水を飲んだりするために目を覚ますのである。
爆弾低気圧の寒さから身を守るために水の中へ
変温動物であるアリゲーターは自分の体温をコントロールすることができない。そのために暑いと感じれば、水に入って泳ぐ。
そして寒いと感じれば、一番暖かいところに行く。普通なら日光浴をするのだ。
しかし最近、アメリカ東海岸を爆弾低気圧が襲った。爆弾低気圧が停滞していれば、太陽が顔を覗かせる時間は短くなる。
そこでアリゲーターはあえて水の中に潜る。沼の中の方が大気にさらされているよりも暖かいからだ。
だが同時に水は氷点下に近づき凍結しようとしていた。そこでアリゲーターは生存戦略の微調整を図るため、鼻先を凍った水面から突き出して、水が凍ってしまう季節の間の空気を確保するのだ。
寒波が到来すると、全米各地でこの光景を見ることができる。2024年もノースカロライナ州やテキサス州でワニたちはこの「ブルメーション」をする姿が見られた。
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References:Alligators Survive Winter by Letting Swamp Freeze Every Part of Body but Nose/ written by hiroching / edited by parumo
追記:2019年1月の記事を編集、再送してお届けします。
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