アジアの人気スターが共演した中国映画『サイバー・ミッション』(公開中)で、主演を務めた元SUPER JUNIORのハンギョンと、本作で初の悪役にトライし、海外進出を果たした山下智久。『ボーン・アイデンティティー』(02)などで知られるアクション監督ニコラス・パウエルの下で、命懸けのアクションに挑戦した2人を直撃した。

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ハンギョン演じるオタク系プログラマーの青年リー・ハオミンが、香港警察の覆面捜査官として、サイバーテロ組織に潜入する本作。山下はその組織のボス、モリタケシ役を演じた。

山下智久が感銘を受けたハンギョンの主演としての品格

撮影中は一緒にジムで汗を流し、バーで親交を深めたという2人。ハンギョンが山下の第一印象について「最初は物静かな人だと思いましたが、一緒にいる時間が長くなると、意外と親しみやすい人だとわかったので、いまは2人で楽しく遊べます。また、彼はお酒がものすごく強い」と言うと、山下も破顔一笑し「彼も強いです」と互いの酒豪ぶりを認め合った。

山下といえば、『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(18)の大ヒットも記憶に新しいところだが、ハンギョンについて「主演としての品格が備わった、リーダーシップのとれる方」と心からリスペクト。

「今回はスケジュールもタイトで現場もハードな環境のなか、ハンギョンさんは共演者やスタッフへの気配りがすごかったです。僕はこれまで主演として映画の仕事をいただく機会が多く、後ろから主演の方を見ることがあまりなかったので、今回はすごく勉強になりましたし、本当に良い刺激をいただきました」。

■ ストイックな役作りと命懸けのアクション

山下がミステリアスな悪役の役作りのため、体重を6kg落とし、密かに全身の体毛を剃っていたことに、ハンギョンは驚嘆した。山下はその効果について「視覚的に自分じゃない感じがしました」と語り、さらに「海外では日本語を使わず、なるべく日本の友達とも連絡を取らないようにしていたのも良かったと思います」とストイックに役と向き合ったよう。

山下の出演作を何本か観ているというハンギョンは「僕は山下さんのラブストーリーやボクサーを演じられた映画(実写版あしたのジョー』)などを観ていますが、今回の悪役はすごく意外でした」と驚いたよう。

また、ハンギョンが「とてもクレイジー」と称するアクション監督ニコラス・パウエルの指導により、2人はほぼスタントなしで危険なアクションをこなした。その理由についてハンギョンは「僕たちから提案したことです。スタントマンを使うと、撮れる角度が限られるけれど、自分たちでやるとリアルなシーンが撮れると思ったから」と述べる。

山下も「マレーシアは雨がすごく多くて、床が滑りやすい状況だったので、ケガと向き合いながら全力でやるのが大変でした」と述懐。本編では、山下が全速力で走って転倒するシーンも容赦なく使われている。「でも、日本では『ダメだ』と言われるような危険なアクションにも挑戦できたことは新鮮だったし、とてもありがたかったです。危険を伴うアクションは、画面を通して観てもスリルが違うから」と結果オーライだ。

ハンギョンたちは互いに切磋琢磨し合いながら「1カット撮り終えるごとに『大丈夫?』と聞き合ったりしました」と言うが、「実際は全治2週間程度のケガはよくしていたし、体中あざだらけだった」と激白。

特にハンギョンは、ビルの3階や8階からダイブするという離れ業も見せている。「最初、ビルの上に立った時、命綱1つだけだったので、戸惑いがありました。でも、飛び降りる時は、戸惑う時間すら与えられなかったです(苦笑)。でも、それらのアクションを僕たちができると思い、挑戦させてくれたこともわかっていました」。

山下は「道路を何日間か封鎖してのカーアクションや、ピストルに火薬を入れてのガンアクションも初めて経験しましたが、すごく刺激的でした」と目を輝かせる。

■ 国境を超えたチームでの友情と今後の共演

2人は多国籍のスタッフ、キャストで作品を作ることのおもしろさを改めて実感したと言う。ハンギョンは「国によって撮影の仕方も習慣も違いますが、我々の目的はただ1つ、良い作品を作るだけのこと。ただ、全力で演じることだけです」とキッパリ言う。

彼は本作のあと、『おくりびと』(08)の滝田洋二郎監督初の中国語映画『聞煙』でも主演を務めているが「日本映画にもすごく興味があります。滝田監督とも一緒に仕事をしましたが、日本の制作チームは我々のやり方と違い、細やかなこだわりがありました。滝田監督はすばらしい監督です」と賛辞を述べた。

山下も「初めてインターナショナルな俳優さんたちと共演させていただきましたが、ハンギョンさんと同じように、一つの良い作品を作りたいと一致団結できたし、いろいろな可能性も感じました。国や文化、言葉が違っても、お互いを思いやることでちゃんと通じ合うことができるということを改めて学べました」と、実り多き撮影だったよう。

山下に今後の海外作品への意欲についても尋ねると「国内外問わず、いいメッセージを届けられる作品があれば積極的にチャレンジしていきたい。僕としては、そこのボーダーラインはないです」と語った。

国境を超えて、友情を誓い合った2人。山下は中国での舞台挨拶時に、ハンギョンの自宅に招かれたこともある。「お互いに人見知りな点は似ているけど、その分、一度仲良くなると長く絆が続いていくんじゃないかなと」。

ハンギョンも「そうそう」と日本語でうなずき「良い脚本があればまたインターナショナルなチームで作品を作り、また山下さんと共演したい。映画だけではなく、音楽でも山下さんとコラボレーションできたらいいですね」と2人で笑顔を見せた。(Movie Walker・取材・文/山崎 伸子)

ハンギョンと山下智久が『サイバー・ミッション』で共演