FC東京の久保は怪我で活動辞退のなか、田川が2ゴールを挙げて沖縄SVに4-1で勝利

 今年5月にU-20ワールドカップ(W杯)という大舞台が待っているU-20日本代表は29日、沖縄県で九州リーグの沖縄SVとトレーニングマッチを実施。35分ハーフで行われた試合は前半に先制を許したものの、後半にFW田川亨介(FC東京)が2得点するなどして4-1で勝利した。

 日本代表はFW久保建英が、前日に所属するFC東京での活動中に負傷して辞退。初めて選出される選手も少なからず含んだ前半は、立ち上がりからなかなかボールを前進させられず、同11分にはクロスから先制を許してしまった。

 それでも田川が後半から出場すると前線に躍動感が生まれた。まずは後半5分に田川が右からのクロスに合わせて同点に追いつくと、2分後には右サイドからカットインしたMF中村敬斗ガンバ大阪)が鮮やかな左足シュートを決めて逆転に成功した。

 さらに同24分には後半から出場のDF荻原拓也(浦和レッズ)のパスを受けたFW原大智(FC東京)がゴールし、さらに同34分には再び田川が決めて一気に突き放した。後半はピンチらしい場面はなく、ほぼ一方的な試合展開だった。2ゴールの田川は「監督のやりたいことは分かっているので、それを自分たちのものにしていく」と手応えを語る。

 今回の代表活動は、全体を2グループに分けてこの日に沖縄、2月1日宮崎県でトレーニングマッチを行う。チームを率いる影山雅永監督は、代表チームとしての強化を進めたい状況と、Jリーグキャンプと時期が重なることへの苦慮と配慮を苦笑いしつつ、この方法に至った理由について説明している。

「5月のW杯まで、3月のポーランド遠征と4月に2泊3日の活動があるのみです。1日、1試合でも良いから、代表はこうだったと思い出してもらいたかった。同時に、彼らにはクラブでレギュラーを取ってほしいんです。なかには明日トレーニングマッチをする選手もいれば、2日前に90分やった選手もいる。クラブと話し合いをしてパズルのように組み合わせた感じです。それでも、選手にとって代表として集まるのは誇りであり楽しみでもあると思いますので、『やってやる』という表情をしてくれていましたよね」

影山監督が驚いた選手たちの対応力「パッと集まってそれなりのゲームができるのは…」

 近年は、Jクラブのキャンプ地は沖縄県と九州南部に集中している。この日のゲームに出場した選手は、所属クラブが沖縄でキャンプを張っている選手たちだ。影山監督も「1日で返しますから、とクラブに話をして」と苦笑いしたが、「現状ではこのやり方がベストだったのではないか」と話した。

 そして、活動を辞退した久保については「前日に(FC東京の)長谷川健太監督から電話をいただいて、申し訳ないと事情も説明していただいて。今日、ここに見に来られた方には彼を見たかった方もいるんじゃないかと思いますけど、怪我を早く治してほしいですね」と気遣った。

 そのなかで、影山監督が高く評価して驚きも口にしていたのが、若い選手たちの対応力だった。指揮官は「1日でパッと集まって簡単なミーティングをしただけ。それで、それなりのゲームができるのは日本人の良さだと思いますし、素晴らしいと感じました」と語った。

 選手はクラブでの状況により、負荷をかけたトレーニングで疲労の溜まっている選手もいれば、試合勘が戻っているか否かもばらついていた。そのなかで、ピッチ上で若い日本代表が見せた修正力と対応力は、世界の大舞台に打って出るうえでも重要な能力になりそうだ。本番までの間、選手たちには所属クラブでポジションをつかんで成長につなげることが求められていく。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

沖縄SVとのトレーニングマッチで2得点を挙げたFW田川【写真:轡田哲朗】