更に申し上げたいのは、その一方で、ここまで一貫校の裾野を広げてしまったのなら、中堅の学校に関してはそれこそ統一テストにしてしまえばいいと思うのです。その上で、バカみたいに金をかけて塾通いしないでも何とかなる入試にして、幅広い層から生徒を集めることもできるのではないでしょうか。中学側の負担も減ります。その延長上に、一貫校をドンドン公立化していけばいいのかもしれません。

入試を難しくするのであれば、塾を肯定し、結局は格差の再生産になるというお叱りもあるかもしれません。ですが、本当に数学で代数をやり、理科も本格的、英語もコミュニカティブとするのであれば、中国のように公立校でも特進クラスを設置するとか、所得水準に応じて塾の奨学金を出すとか、方法はあると思います。

格差については、格差だからいけないのではなく、そうではなくて富裕層から出てくる人材ばかりに社会の意思決定や、イノベーションを任せて国が潰れかかっているのですから、そうではない人材を必死で発掘しなくてはいけないからです。

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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