ビジネス、今日のひとネタ
みなさんは、仕事の合間にきちんと休憩できていますか? 業務のパフォーマンスを維持する上で欠かせない休憩。しかし、政府が旗振り役になって「働き方改革」が推し進められることで、逆に「思うように休憩できないビジネスパーソン」が増えてきているかもしれないのです。
2018年12月、江崎グリコから「ビジネスパーソンの休憩」に関する調査が発表され、複数のウェブメディアで取り上げられるなど、ネットで意外なほどの反響を呼びました。
ビジネスパーソンの6割は休憩できていない!?
この調査では、「仕事中にちょっとした休憩をしているか?」という問いに対し「休憩できていない」と感じる人が60.1%、そして「以前より職場でちょっとした休憩が取りにくくなったと感じるか」という問いに対し、と「取りにくくなった」と感じる人が50.0%という結果でした。
そしてここからが「働き方改革」に絡む本題ともいえるのですが、「以前より短時間で効率的に仕事をしなければならない」と感じる人の割合は66.1%もありました。これらの数字から、「働き方改革の一環で生産性向上を追求する一方で、仕事中に休憩を取りにくくなっているのではないか」と推測されているのです。
職場環境と休憩の根深い問題
実際、仕事中の休憩時間を巡って、ネット上ではさまざまな声が上がっています。
「残業禁止になったから休憩中に仕事しなきゃ仕事終わらない」
といった声を中心に、
「人手が足りなくて休憩とれない」
「休憩とれないムードある」
「休憩中にお菓子食べてたら怒られた」
など、職場において「休憩」への理解やルールがなく、より休憩を取りにくくなっている実態を訴える人が多いのは確かなようです。
「喫煙室の廃止」が思わぬ影響!?
また、休憩において必ず話題となるのが「タバコ休憩の是非」です。
非喫煙者からの要望により「喫煙室」などが廃止になる……というだけではなく、結果的にタバコを吸わない人も含めて「職場全体が休憩を取りにくくなった」というケースも少なくないようなのです。
休憩室の設置や、仮眠休憩の容認など、「吸わない人」も休憩を取りやすくなればいいのですが、昨今の「効率性」や「生産性」を重視する流れから考えると、実情としては難しい場合も多いかもしれません。
「ランチミーティング」で奪われる息抜き
働き方改革は、「ちょっとした休憩」に限らず、「昼休み」のあり方にも影響を及ぼしていて、特に昨今では「ランチミーティング」が問題となっています。
夜の残業量などが減少したことと反比例して「ランチミーティングの回数が増えた」という企業も少なくありません。仕事関連のランチミーティングに関しては、
「楽しいランチだと思ったことは一度もありませんね」
「気を遣わなきゃいけないしめんどい」
「飲み会よりはマシだけど、ランチミーティングも無駄」
などの声があり、「昼休み=休憩の時間」と感じていない人も多いようです。
また、法的にも、特に強制でのランチミーティングは、かなりのケースで「休憩時間」ではなく「労働時間」に該当すると考えられます。本来、「休憩時間」は、基本的に労働者が自由に使えるものでなくてはならないからです。そのため、厳密にいえば、強制でランチミーティングをする際には、それとは別に法定の「休憩時間」の付与が必要になる可能性が高いのです。
形だけの「働き方改革」で起こる弊害
もちろんサボりはよくありませんが、一定時間の労働の中で集中力を発揮するためにも、適切な休憩は必要です。また、「休憩時間」は、法的にも保護された労働者の権利でもあります。もしも「仕事が終わらないから」「人手不足だから」という環境で休憩がとれないなら、会社としてもその状況の見直しや改善をするべきでしょう。
「働き方改革」の取り組み自体は良いものです。ただ、「働き方改革」として「残業禁止」などを目標として掲げるものの、ワークフローの改善や業務削減など根本的な解決を行っていない会社は少なくありません。
仕事の能力不足であれば、働く側も能力を高めていく必要がありますが、普通の仕事能力を持った人でも終わり切れない量の仕事を回しているという状況も多いと思われます。もしそうした仕事が、「休憩時間の削減」「タイムカードの虚偽申告」「持ち帰り残業」などの形で、結果的に個人に押し付けられるような、「働き方改革のしわ寄せ」が存在しているのであれば、早急に何らかの手を打つことが必要だといえます。
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