「骨格筋評論家・岡田隆新連載」―忙しくてトレーニングする時間がない人へ

 骨格筋評論家バズーカ岡田」の名前で活躍中の岡田隆氏の新連載。日体大准教授であり、柔道全日本チーム体力強化部長でもある同氏が、最新のトレーニング科学やボディメイクダイエットや健康の情報をお伝えする。今回は、忙しい社会人トレーニングを効果的、かつ継続するためのコツを聞いた。

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 体を絞りたい、しかし、毎日が忙しすぎてトレーニングする時間がない――。これは仕事や家庭を持つ多くの人がぶつかる悩みです。

 私は勉強の時間が足りないという日体大の学生に、「起きてから寝るまでの行動を書き起こしたら、どこかにすき間が見つかるはずだ」といつも話しています。忙しい人でも、SNSを追いかけるのに時間を費やしていたなど、案外、何となく過ごしている時間があります。スケジュールを見直し、そういった「すき間時間」をかき集めると、仕事や勉強の時間を確保できると同時に、トレーニングの時間も確保できます。

 もちろん、それでも時間を捻出できない、という時期もあるでしょう。

 私自身は平常時であれば、週6日、1日1.5時間のジムトレーニングを行うのが基本です。しかし、大学、全日本柔道、メディアや企業との仕事が重なると、すき間時間をすべて潰しても、週2、3日しかトレーニングができない、1日30分しか時間を確保できない、というときがあります。その場合、ボディビルの大会を控えていたら、睡眠時間を削ってでも2時間トレーニングをしますし、そうでなければ、30分だけやる、あるいは思い切って何もやらずにしっかり睡眠をとるときもあります。結局は、日々、何にプライオリティを置き、行動を選択していくかの話になります。

 とはいえ、筋肥大させるためには、「継続して筋肉をしっかり追い込む」ことが絶対に必要です。つまり、週1回、月2回だけ、がっつり時間をとってジムでトレーニングしても効果が薄い。それよりも、毎日、30分間でも、きっちり筋肉を追い込んだ方が意味があります。

日本初のボディビルダーは就寝時、布団の上にバーベルを置いていた

 私のように日常的にジムで1.5時間のトレーニングを行う人にとっては、30分のトレーニングは焼け石に水の感覚です。ですから昔は、1.5時間確保できないならばトレーニングをする意味はないとまで思っていました。ところが、時間を確保できない日があまりに続くと、そうも言っていられなくなります。

 そこで、私も気持ちを切り替えました。30分では100点満点の効果はないかもしれない。でも、ゼロではない。トレーニング効果がほんの少しでもあるならば、焼け石が鎮火するまで、日々、30分ずつでも水をかけ続けるしかないのです。

 また、時間のない人は、ジムの往復の時間や着替えの時間も惜しいもの。なるべく身近にトレーニング環境を作ることも重要です。私の場合は、自宅のベランダにダンベルを置き、ジムに行けない日は30分~1時間でオールアウトできるようなプログラムを組み、トレーニングしています。日本初のボディビルダー、若木竹丸さんは、なんと就寝時は布団の上の胸の高さにバーベルを置き、尿意で目が覚めると、そのバーベルを挙げてからトイレに行ったそうです。

 運動不足の人やトレーニング初心者であれば、自宅でできる上、器具もいらない自重トレーニングがおすすめ。まずはスクワット、プッシュアップ、シットアップを30秒間、3セット、週5日続けましょう。もう少し余裕があるならば秒数や動作スピードを増やし、「これ以上はできない」というオールアウトに近い状態まで追い込みます。今よりもちょっといい体になりたいならば、このぐらいで十分。しかも、かかる時間は5分、10分。起床時、ランチタイムの後、帰宅後すぐなど、どんなに忙しい人でも、すき間時間にできるはずです。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

長島 恭子
編集・ライターサッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエットトレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

岡田 隆
1980年愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。

日体大准教授であり、柔道全日本チーム体力強化部長を務める岡田隆氏【写真:荒川祐史】