準決勝イラン戦で負傷した遠藤は欠場濃厚、代役候補は守備力と“大砲”を兼備する塩谷

 森保一監督率いる日本代表は、1日のアジアカップ決勝でカタールと激突する(現地時間18時キックオフ/日本時間23時)。いよいよ大会も大詰めを迎え、森保ジャパンが2011年大会以来の優勝に肉薄しているなか、指揮官は現時点で考えうる“最強メンバー”を送り出す。

 日本にとって最大の懸案はボランチだ。今大会、中盤の底でバランスを取りながら、攻守両面で貢献してきたMF遠藤航シント=トロイデン)は準決勝イラン戦(3-0)で左太もも裏を痛め、30日と31日は2日連続でトレーニングを欠席しており、決勝は欠場の見込みとなっている。

 その穴を埋めると予想されるのがDF塩谷司(アル・アイン)だ。大会直前に負傷したMF守田英正川崎フロンターレ)に代わって追加招集された男は、グループリーグ第3戦ウズベキスタン戦(2-1)でボランチとして出場。球際で体を張った守備を見せれば、攻撃では強烈なミドルシュートで決勝ゴールを叩き込み、見事に勝利を手繰り寄せた。最終ラインからボランチまで、守備的なポジションはどこでもこなすユーティリティ性に加え、強烈な一撃という“大砲”も兼備しており、決勝でも脅威を与えるはずだ。

 それ以外は、大会を通して徐々に固まった“ベストメンバー”だろう。GKは29日に移籍が発表された権田修一サガン鳥栖ポルティモネンセ)が濃厚。イラン戦ではパスを相手に触られ、そこからピンチを招くなど後方でのパス回しやバックパスの対応で安定感を欠く。シュミット・ダニエルも控えるが、それでも現状での序列は権田優位で揺るがない。

エース大迫の“復帰効果”は絶大 南野らが「やりやすかった」と好感触

 最終ラインは、もはやおなじみの並びだ。右足首を痛めて出場が懸念されたDF酒井宏樹マルセイユ)は「大丈夫」と口にしており、出場に支障はないだろう。CBコンビは、主将の吉田麻也サウサンプトン)と進境著しい冨安健洋シント=トロイデン)だ。周囲も認めるほどの飛躍を遂げる冨安は、決勝でも伸び伸びとしたプレーを見せるに違いない。左には不動の長友佑都ガラタサライ)が入る。

 ボランチは、司令塔の柴崎岳(ヘタフェ)を据えつつ、遠藤の代理パートナーとして塩谷が起用されるはずだ。こうした状況を見越していたかのように森保監督は決勝トーナメント以降、主に終盤のみながら塩谷を3試合連続で途中起用し、柴崎と同じピッチに立たせている。初めてコンビを組むわけではないだけに、スムーズに試合へと入れるはずだ。

 2列目は右に堂安律フローニンゲン)、トップ下にMF南野拓実ザルツブルク)、左に原口元気ハノーファー)といつもの並びだろう。そして1トップは、5試合ぶりに先発復帰した準決勝イラン戦で2ゴールと別格のオーラを漂わせる大迫だ。南野らが「やりやすかった」と“大迫効果”を語っているが、攻撃はエースを中心に構築を図る。

 相手は今大会6試合で16得点0失点と攻守バランスの良さを見せつけるカタール。初優勝を目指してモチベーションも極めて高い。相手 FWアルモエズ・アリ(アル・ドゥハイル)は今大会最多8ゴールを叩き出しており、あと1ゴールで元イラン代表FWアリ・ダエイ氏が持つ大会記録を抜く。守備でも相手に1ゴールも許さないまま決勝に上がるなど安定感を誇る。

日本がカタールよりも決定的に有利なのは… これが大きな影響を及ぼす可能性も

 攻守ともに厄介な相手だが、日本が決定的に有利なのは回復期間が1日長いことだろう。28日にイラン戦を終えて中3日で大一番を迎える日本に対して、29日に開催国UAEを4-0と撃破したカタールは中2日。この“1日の差”は後々大きな影響を及ぼす可能性もある。

 日本は強烈な切り札として、MF乾貴士(ベティス→アラベス)、MF伊東純也柏レイソル)、FW武藤嘉紀ニューカッスル)らが控える。誰を、どのタイミングで、どこに入れるか。交代カードの切り方も勝敗を分ける一つの要因となる。

 この一戦で勝てば日本は史上最多5回目、カタールは初優勝。両国のプライドが激しくぶつかり合うなか、勝利の美酒に酔いしれるのはどちらだろうか。(Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)

アジアカップ・決勝 カタール戦「日本代表の予想スタメン」【画像:Football ZONE web】