「子どもは褒めて育てましょう」とよく耳にします。本屋の育児書コーナーには“褒める子育て”“叱らない子育て”の本が並んでいます。でも、叱らないで子育てなんか出来ないですよね。それから、褒める場合、あまりお薦めしない褒め方もあるんですよ。

なにげない言葉が子どもの脳を傷つけている「それだけは言っちゃダメ! 」な言葉とは

『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の著者の立石美津子が、いくつか具体例を挙げてご紹介します。

大人も子どもも叱られるよりも褒められた方が俄然、やる気がでます。でも、やたら「いい子ね~」「偉いね~」を連発しているだけで良いのでしょうか。

褒め方にも“良い褒め方”と“子どもに真意が伝わらない良くない褒め方”があると思うのです。

その褒め方、ちょっと待った~!

1.他の子と比較して褒める

  • 「あなたは他の誰よりも頑張っていたから優勝できたのね」
  • 「お友達の○○君は一生懸命、練習していなかったから運動会で一等賞になれなかったのね。その点、あなたは頑張っていたからね」
  • 「見て、あの兄弟、いつもケンカばかりしているね。その点、あなたたちはいつも兄弟仲良くしていてお利口だね」
  • 「○○君は食べ物の好き嫌いばかりしているから大きくなれないのね。その点あなたは我儘言わないで何でもモリモリ食べるから、背も伸びたのね」

なぜ、“他者と比較して誉める”のがNGなのでしょうか。

実は「他人と比べて〇〇だから立派である」の褒め方をしていると、こんなことになるかも知れません。

  1. 自分が他の子と比べてうまくいかないとき、自己否定するようになる。
  2. 自分より出来ない人をバカにするような態度をとるようになる。将来、誰からも好かれない“鼻持ちならない大人”に成長してしまうかもしれない。

2.結果だけを褒める

  • 「残さず食べてお利口だね」
  • 「100点とって偉いね」
  • 運動会で一等賞になって立派だね」

普段、無意識に言ってしまう褒め言葉ですが、ある意味“条件付きの褒め言葉”。

これが過度になると…。

ご飯を残したとき、満点をとれなかったとき、一番になれなかったときに「自分は褒められる対象ではなくなってしまった。ダメ人間である」と自己評価が低くなります。もろくも崩れやすい“偽の自己肯定感”がついてしまったのですね。

3.“努力すれば必ず結果は伴う“と励まし褒める

世の中、自分の努力ではどうしようもないことはたくさんあります。子どもの世界も同様です。運動会で優勝しようと練習を積んで予行演習では一等賞だったのに、本番ではつまずいて転んでビリになったり、幼児教室に通って頑張っていたのに小学校受験で不合格になったり等。

でも、幼児期のちょっとした挫折により「努力しても叶わないこともある」ことを体験させることは大切です。これで精神的なたくましさも育ちます。

また、結果は伴わなくても勉強したことによる学力、徒競走の練習をしたことによる脚力は確実についているのですから、無駄なことはありません。“結果が出なくては意味なし”なんて褒め方をしないようにしましょう。

褒め方がワンパターンだと…?

4.褒めなくてもいいことまで、やたら褒める

そんなことできて当たり前のことなのに、口癖のように「いい子ね」「いい子ね」と連呼しているとだんだんと耳にタコができてしまいます。そして「お元気でまたお会いしましょう」的のような社交辞令と化してしまいます。

「昨日はニンジン残していたけれど、今日は頑張って食べたのね。嬉しいわ!」「その玩具で遊びたかったのに、弟に譲ってやって我慢できて立派だよ」と本当に褒められるべきことをしたときだけ称賛しましょう。そして、具体的に伝えましょう。

5.ありきたりな褒め方をする

「いい子ね」「偉いね」「かっこいいね」「素敵だね」という褒め方はいずれネタが尽きます。誉め言葉の語彙としては、ボキャブラリーが少なすぎるかもしれません。

次第に子どもは「またそうやって僕をおだててやらせようとしている」と見抜くようになります。

かといってそんなにたくさんの言葉を駆使して褒めるのは難しいですよね。そんなときはニュースのアナウンサーの実況中継の真似をしましょう。

  • 「玩具片づけているね」
  • 「食事を残さず食べているね」
  • 「頑張って練習しているね」

これは褒めるというより「あなたの行動をいつも見ていますよ」の愛情表現です。つまり、認めているということです。何をしていても無視される、気づかれないのは悲しいものです。

“褒める”とはイコール“認める”ことなのです。

何でも褒めればいいってもんじゃありませんので、参考にしてくださいね。