映画好きで知られる人気声優・尾崎由香が、鑑賞した映画や自身のあれこれについて語る「尾崎由香のぴゅあっとムービー」(「月刊シネコンウォーカー」&「月刊イオンエンターテイメントマガジン」連載中)。今月は「電話からの声と音だけで、誘拐事件を解決する」という設定で、世界中の映画祭で観客層を総なめにしたデンマーク発の『THE GUILTY/ギルティ』(2月22日公開)を取り上げる。

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舞台となるのは緊急通報指令室の内部のみ、電話の“声”や“音”だけが頼りだという異色作。観る者の想像力が試されるこのサスペンスを、“声”を仕事とする彼女はどのように体験したのか?

■ “声”ってすごく大事なんだなって。

今回、どんな映画なんだろうと思いながら観たんですが、声や音を頼りにするってこういうことなんだ!って。画面に映されるのが主人公だけなので、彼の表情と、彼が電話で話す人の声だけで物語が進んでいくんですよね。電話口の声から、いま話しているのはどんな人物なのか、顔とか年齢とか体形などを頭の中であれこれ想像させられるところがおもしろかった。“観る”というより“聴く”映画なのかな。新しい感覚の映画でした。

人間味がだんだん表れてくる主人公の表情の変化がよかったですし、電話に出るほかの役者さんたちも、声だけで臨場感やその人の心情がしっかり伝わってくる。自然なお芝居などは勉強になる部分もありましたし、なにより“声”ってすごく大事だなって、あらためて思いました。

普段わたしがいろいろな役の声を演じさせていただく時は、自分の癖をあまり出さないようにして、ひとりひとり役に合わせて個性や特徴をつけてあげることを意識しています。人間みんな、見た目だけじゃなく声や話し方に特徴がありますよね。だから喋り方だけで誰か思い出してもらえるように、演じる子に色をつけてあげるんです。

実はわたし、声優になるまでは声を張り上げることもあまりなくて、「静かな子」とか「おとなしい子」みたいに言われることが多かったんです。でも声優になって、元気な子の役をやることで地の声の印象も変わってきたのか、「明るい子だよね」と言われるようになりました。性格は変わらずなんですが(笑)。声色だけでも第一印象がガラッと変わるのって、おもしろいですよね。

尾崎由香プロフィール

1993年生まれ、東京都出身。15年より声優活動を開始し、17年にテレビアニメ「けものフレンズ」のサーバル役に抜擢され注目を集める。18年には「LET’S GO JUMP☆」でソロデビューを果たし、2ndシングル「オトシモノ」もリリース。サーバル役を続投するテレビアニメ「けものフレンズ2」が好評放送中。Twitter/@yuka_bushi Instagram/ozapure15(Movie Walker・取材・文/編集部)

「尾崎由香のぴゅあっとムービー」2月号では『THE GUILTY/ギルティ』をピックアップ