守護神として君臨した権田、バックパスの対応で不安定さが目立ち…

 森保一監督率いる日本代表は1日のアジアカップ決勝カタール戦で1-3と敗れ、2011年大会以来の優勝にあと一歩届かなかった。惜しくも準優勝で終えたが、森保ジャパン23選手の誰が大会を通じて株を上げたのか。各選手の実績や能力を踏まえつつ、5段階(◎/〇/△/×/―)で査定。ポジション別に「評価を上げた人・下げた人」を見ていく。

アジアカップ日本代表の全7試合成績】
グループリーグ(GL)
第1戦 トルクメニスタン戦 3-2 得点者:大迫2、堂安
第2戦 オマーン戦 1-0 得点者:原口(PK)
第3戦 ウズベキスタン戦 2-1 得点者:武藤、塩谷

決勝トーナメント
ラウンド16 サウジアラビア 1-0 得点者:冨安
準々決勝 ベトナム 1-0 得点者:堂安(PK)
準決勝 イラン 3-0 得点者:大迫2(1PK)、原口
決勝 カタール 1-3 得点者:南野

ゴールキーパー
△ 権田修一(サガン鳥栖ポルティモネンセ
[6試合(540分)・5失点]

△ シュミットダニエルベガルタ仙台
[1試合(90分)・1失点]

― 東口順昭(ガンバ大阪
[0試合(0分)・0失点]

 腰の違和感から一時別メニュー調整となった東口は戦力となれず、評価ポイントの対象外に最も近い存在だ。23人の中で唯一出場なしに終わった。シュミットウズベキスタン戦にフル出場し、ビッグセーブも披露。しかし、権田の存在を脅かすまでには至らなかった。大会を通じて守護神として君臨した権田は、イラン戦で相手エースFWサルダル・アズムンの決定的シュートを左足で防ぐなど好プレーも光った。しかしバックパスの対応で不安定さが目立ち、不安が付きまとった感は否めない。ベトナム戦やイラン戦では自らのパスからピンチを招いており、チームに安心感を与えられなかった点は反省材料だ。

良くも悪くも“通常運転”は? これまでの活躍を考えると不完全燃焼の選手も

■右サイドバック
○ 酒井宏樹マルセイユ
[6試合(523分)・0得点]

△ 室屋 成(FC東京
[2試合(107分)・0得点・1アシスト

 室屋はウズベキスタン戦で巧みなターンから1アシストマーク。「やれる自信はある」と語り、攻撃での積極性は光ったものの、酒井の牙城を崩すほどの“強み”を出し切れていない現状がある。酒井は良くも悪くも通常運転だ。守備で体を張り、機を見た上がりで攻撃を支えたが、相手エリア付近で脅威になりきれない点は以前から変わらない。クロス精度に難を抱え、アジアレベルでも1対1で相手を抜き去るプレーは見られなかった。全体的に見れば“いつもの酒井”という印象だ。

■左サイドバック
△ 長友佑都ガラタサライ
[6試合(540分)・0得点・1アシスト

× 佐々木翔(サンフレッチェ広島
[1試合(90分)・0得点]

 佐々木メンバーを大幅に入れ替えたウズベキスタン戦のみの出場。勝利に貢献したがまったくインパクトは残せずに大会を終えた。長友はこれまで代表で見せた活躍を考えると不完全燃焼とも言える。豊富な運動量に加え、球際での激しさは同様ながら、崩しの局面で上手く絡めない場面が散見。原口との連係に課題を抱え、最後まで脅威を与えきれなかった感は否めない。

今大会最も株を上げた若手の注目度アップ、中盤では新たな人材発掘も

センターバック
◎ 冨安健洋(シント=トロイデン)
[7試合(541分)・1得点]

△ 吉田麻也サウサンプトン
[6試合(540分)・0得点]

× 槙野智章(浦和レッズ
[2試合(180分)・0得点]

× 三浦弦太(ガンバ大阪
[1試合(90分)・0得点]

 評価がくっきり分かれたポジションの一つだろう。今大会、最も株を上げたのが20歳の冨安だ。トルクメニスタン戦ではボランチとしてプレーするユーティリティ性を見せつけ、以降はセンターバックとして貢献。吉田や長友が絶賛する逸材は対人プレーで強さを発揮し、出足の鋭さも光った。サウジアラビア戦では大会日本人最年少ゴール(20歳77日)をマークするなど飛躍を遂げている。

 キャプテンの吉田は最終ラインを統率し、決勝トーナメントで3試合連続無失点に貢献。ただし決勝では3失点を喫しており、いずれの場面にも絡んだ。吉田の実績を考えれば、評価を上げたとは言い難い大会となった。槙野と三浦はバックアッパーの立場で、冨安にポジションを奪われた形。出場した試合でも安定感を欠き、むしろ株を下げた。

■ボランチ
◎ 遠藤 航(シント=トロイデン)
[5試合(335分)・0得点]

〇 塩谷 司(アル・アイン
[5試合(213分)・1得点]

△ 柴崎 岳(ヘタフェ)
[6試合(540分)・0得点・1アシスト

× 青山敏弘サンフレッチェ広島
[1試合(90分)・0得点]

 青山が大会途中に無念の負傷離脱を強いられたなか、新戦力となったのが塩谷だ。ウズベキスタン戦では豪快なミドルシュートを叩き込むなど“一発”も見せつけた。決勝でもボランチとして出場しており、新たな人材発掘と言えるだろう。そのなかでタクトを振るった柴崎だが、攻撃陣を今ひとつ操縦しきれなかった。冨安への1アシストこそマークしたが、相手ゴール前で脅威になったとは言い難い。最も評価を高めたのは、負傷で決勝はベンチとなった遠藤か。今や中盤で不動の存在となっており、ピンチの芽を的確に摘み、鋭い縦パスも狙うなど攻守に存在感を示す。今後も森保ジャパンの中核を成していくはずだ。

最後まで苦悩を滲ませた1人は… 10番MFも好調時に比べ精彩を欠いて貢献できず

■右サイドハーフ
△ 堂安 律(フローニンゲン
[6試合(531分)・2得点]

△ 伊東純也(柏レイソル→ヘンク)
[5試合(117分)・0得点]

 最後まで苦悩を滲ませた1人が堂安だろう。気迫漲るプレーを随所に見せるも、最後まで空回り感が付きまとった。ボールキープできるものの、効果的な打開につながらず、ドリブルで相手守備網を切り裂く場面は少ない。能力を十分に発揮できないまま大会を終えている。一方、スピードが売りの伊東は貴重な“切り札候補”となったが、良くも悪くもその域を出なかった。快足を駆使し、いかにインパクトを残すかが今後の課題だ。

■左サイドハーフ
△ 原口元気ハノーファー
[7試合(507分)・2得点]

× 乾 貴士(ベティス→アラベス)
[3試合(94分)・0得点]

 今大会を通じてフル稼働した原口は献身性が光り、攻守両面でハードワークを続けた。もっとも、その点は以前から評価されている点で今大会に始まったことではない。イラン戦の終盤に1ゴールを叩き込んだが、全般的に攻撃時の迫力を欠いた。長友との連係で崩し切る場面も少なく、左サイドが十分に機能したとは言い難いのが実情だ。今大会10番を背負ってウズベキスタン戦で先発した乾だが、好調時に比べるとパフォーマンスは精彩を欠き、その後も短い出場時間で貢献できないまま大会を終えた。

一向にシュートが決まらず燻り続けた男 その一方で図らずも評価が一層高まったのは?

トップ
△ 南野拓実(ザルツブルク)
[6試合(506分)・1得点・1アシスト

× 北川航也(清水エスパルス
[5試合(236分)・0得点]

 燻り続けたのが南野だ。決して不調ではなく、チャンスに絡むなど動き自体は良質だった。しかし肝心のシュートが一向に決まらず、ようやく決勝で待望の一撃を叩き込んだ。イラン戦では倒れてもプレーを続行し、大迫の先制点を演出するなど機転も光ったが、物足りなさが強く残る大会となった。北川はトップ下と1トップの両方で出場したが、課題ばかりが浮き彫りとなっている。トルクメニスタン戦では失点に絡み、攻撃面でもチャンスを外し続けた一方、自身の強みも発揮し切れなかった。

■1トップ
◎ 大迫勇也ブレーメン
[4試合(288分)・4得点・1アシスト

△ 武藤嘉紀ニューカッスル
[4試合(237分)・1得点]

 大迫の働きは、さすがの一言に尽きるチームに多大な影響を与える大迫はトルクメニスタン戦、イラン戦でそれぞれ2ゴールマークアジアでは突出したレベルにあり、そのポストプレーは日本の生命線だ。強烈な存在感を示した一方、チームは“大迫依存”の印象を強めており、図らずも評価が一層高まった。ウズベキスタン戦で1ゴールと結果を残した武藤だが、それ以外の試合ではノーインパクトに終わっている。決勝では後半途中から大迫とともにピッチに立ち、新たな可能性こそ示したものの、脅威は与えられなかった。

アジアカップ日本代表全23選手「評価別一覧リスト

【評価:◎】
遠藤 航/冨安健洋/大迫勇也

【評価:〇】
塩谷 司/酒井宏樹

【評価:△】
権田修一/長友佑都/室屋 成/吉田麻也
堂安 律/原口元気/伊東純也
柴崎 岳/南野拓実武藤嘉紀

【評価:×】
シュミットダニエル佐々木翔/三浦弦太
槙野智章/青山敏弘/乾 貴士/北川航也

【評価:―】
東口順昭(Football ZONE web編集部・大木 勇 / Isamu Oki)

(左から)DF吉田、DF冨安、FW大迫、MF遠藤、MF乾【写真:田口有史&ⒸAFC】