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重要な節目となる2019年は、思わぬところにビジネスチャンスが転がっています。金融の第一線で活躍する専門家は今年をどう読むか?疑問をぶつけてみました。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2019年2月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓、著者累計は42万部を突破。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出される。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

英国EU離脱を控え混迷を深める欧州、基本的にサプライズ無し?

2019年のビジネスチャンスを逃さないために

世の中の節目には、新たなビジネスチャンスが転がっています。現在、イギリスのEU離脱で揺れに揺れている欧州ですが、移行の狭間で、こんなビジネスが大賑わいとなっているようです。
※参考:イギリスで倉庫争奪戦 離脱に伴い在庫置場が逼迫 – 日経新聞

万一、イギリスが正式に離脱し、EUとの間に通関手続きが発生するようになれば、物流が滞って、新たな在庫の置き場所が必要になる、というわけです。おかげで英国倉庫協会に所属する企業の75%がすでに一杯で、新規受付できない状態なのだとか。離脱特需に湧くイギリスの倉庫会社ですが、この場合、需要は一次的なものとなる可能性がありますので、当然、その後のことまで考えなくてはなりませんが。

今回は、毎年恒例となった「1年間の予測」特集をお送りいたします。

今年、日本では新天皇の御即位消費税の増税などを控えて、重要な節目の年となることが予想されます。世界的に見ても、イギリスのEU(欧州連合)離脱EUトップの任期満了など、体制の変革が促される1年になるはずです。

本特集では、スペシャルゲストをお呼びしております。シンガポールにてOMAE CAPITAL MANAGEMENT PTE LTDのCEOを務め、一般社団法人日本IFP協会(※)で為替の専門家・アドバイザーとしてご活躍の大前雅夫(おおまえまさお)さんです。この1年がどのような年になるのか、大前さんからじっくりとお話を伺っていきたいと思います(以下、本文中について、名前が出てこない限り同一話者、敬称略)。

※一般社団法人日本IFP協会…正しい金融知識を世の中に広めることを目的に、世界中の金融商品を比較・研究している団体。

1. アメリカ vs 中国の行方

本日のゲスト・大前さんは、アメリカの大学を卒業後、香港上海銀行東京支店やHSBC香港本店に勤務。その後モルガン・スタンレー社、バークレーズ銀行などを経て、2009年に独立されました。現在、シンガポールで運営されているOMAE CAPITAL MANAGEMENT PTE LTDは、2012年に立ち上げた投資顧問会社です。これまで、終始一貫して金融の第一線に身を置いてこられた大前さんに、早速、お話をお聞きすることにしましょう。

【2019年もアメリカが世界をリードできるのか?】

俣野:大前さん、本日はよろしくお願いします。まずは現在の世界情勢について、どのように見ていらっしゃいますか?

大前:今は本当に「政治を中心に経済が回っている」、という感じを受けますね。トランプ氏がアメリカ大統領になってから、この傾向が顕著になっていると思います。

かつての経済は、主に先進各国の中央銀行が中心となって方向性を決めていました。2008年にリーマン・ショックが発生すると、中央銀行が強力なイニシアチブを発揮し、低迷した金融市場に対して機動的に、かつ柔軟にテコ入れを行うことで、市場の盛り上がりを演出しました。しかし現在は、国からの介入も増えています。

俣野:確かに、中国の習近平国家主席、ロシアプーチン大統領など、大国を中心に、強権的なリーダーの言動に従って世の中が動くようになっていますよね。国際政治は難しい局面を迎えている、ということでしょうか。

大前はい。一般に、経済が不況と好況を繰り返しているように、世の中の流れがどちらかに偏れば、必ず元に戻ろうとする力が加わります。ですから現在は、それまで続いてきたグローバリズムの反動で、保守主義に大きく振れている時期に入っている、と言えるのではないでしょうか。そういう意味では、トランプ政権は、生まれるべくして生まれてきた、と言えるのかもしれません。

トランプ氏が大統領に就任した2017年のアメリカは、前政権から続いていた高景気をさらに加速させた結果、株価が上がり、雇用環境も大きく改善しました。思い切った法人税減税、資金や投資を呼び込むための各種政策、所得税減税や、10年で1兆7,000億ドルものインフラ投資計画など、氏の巧みな政策の下、2018年もアメリカ経済は好調を維持しました。

しかしその一方、米中貿易戦争が勃発し、各方面に負の影響が出始めています。

俣野:そのアメリカですが、2019年も引き続きこの好調を維持できる、とお考えですか?

大前:現状の話で言うと、アメリカ経済は依然、堅調です。過去の統計から、「すでにリセッション(景気後退)に入っているのではないか?」という憶測が飛び交ってはいるものの、出ている数字はまだ強いです。もちろん、それが永遠に続くことはありませんし、どこかで下げに転じることにはなりますが。通常、お金は景気のいいところに引き寄せられていきますから、米ドルにせよ、株式にせよ、やはりアメリカアセット(資産)が魅力的なのは確かでしょう。

トランプ政権はこれまで、お金を集めることに成功してきましたが、それでも今年の成長率が3%を超えるようなことはないでしょう。当初の予測では「今年の利上げは3回」と言われていました。それが最近では、「アメリカの景気が減速しているのでは」との声が増してきており、「実際は2回もできないだろう」と見る人も出てきました。中には「まったく利上げをしない」と予測する人までいます。

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