今や、書店のライトノベルコーナーの一角を占めるジャンルとなった「なろう系」。だが、そのテンプレにも変化が起こっている。様々な批判を浴びながらも、定着した「なろう系」は、どう進化していくのか……。

なろう系」とは、主に投稿サイト小説家になろう」に投稿された作品のことを分類する言葉。その中でも異世界転生ものを「なろう系」というのが、一般的な認識だ。だいたいのテンプレは、なんらかの理由で異世界に転生した主人公が、なんの努力もなく現世の知識などを使ってヒーローとなり、ヒロインにもモテまくってハーレム状態になるというものである。

 そこで求められるのはタイトルで「転生したら○○だった」と示されるように、出落ち的な展開。内容もご都合主義的なものが多く、批判的な見解を持つ人も多い。とはいえ、すでに多くの作品が人気を得てアニメ化なども実現。ひとつの「売れるジャンル」になっていることは間違いない。

 ここまで、なろう系作品群が伸びたのは、すでに原稿があるという側面も大きい。むしろ、多くの出版社が飛びついている理由は、ここだ。

「多くの人に指摘されているように、文章が酷い作品もあるのは確かです。でも、設定が魅力的な作品も数多くあります。文章は酷くても読者は気にせず読んでいるわけですし、紙の本にする時には、最悪、編集者が改稿すればいいから、あまり問題にはなりません」(編集者

 文章よりも、設定のインパクトで伸びてきた「なろう系」。だが、そこにも変化は起きている。次第に、読者の目は肥えてきて「読ませる」作品が求められるようになってきているのだ。

「従来のテンプレだと凡庸なので、さらに工夫が求められるようになっています。それに、なろう系アクセスがいい作品を紙の本にしただけでは読者はもう買ってくれません。これからは、なろう系に慣れた読者に読ませる作品を作家と編集者の協同で生み出していかなくてはならないのではないかと思っています」(前同)

 楽に原稿が揃うから、お気軽……。出版社が、そんな手抜きをすれば存在理由がなくなってしまうことに気づき始めている人もいるようだ。
(文=大居 候)

「小説家になろう」より