広大なフィールドを仲間とともに駆け回り、敵を倒して冒険しつつ、採掘や釣りで素材を集め、町に戻って生産を行う──大規模オンラインゲームをオフライン化したようなレベルファイブの人気作ファンタジーライフ

 2012年にニンテンドー3DSで公開されていたこの作品をスマホ用に改修し、オンライン要素を強めたゲームが2018年の夏から公開されています。
 ファンタジーライフ オンライン』です。通称『FLO』

 MMORPGをひとり用にした原作に、MORPGの要素を追加して、ソーシャルゲーム化したような作品。
 ジャンルとしては見下ろし型のアクションRPGになります。

※「MMORPG」は大規模多人数オンラインRPG(Massively Multiplayer Online RPG)の略で、数百人から数千人のプレイヤーが生活している世界に参加するゲームのこと。代表作は『Ultima Online』や『ラグナロクオンライン』、『ファイナルファンタジーXIV』や『ドラゴンクエストX』など。
「MORPG」は少人数のオンラインRPG(Multiplayer Online RPG)で、数人のプレイヤーがパーティーを組んで冒険を行うゲーム。『ディアブロ』や『ファンタシースターオンライン』、『モンスターハンター』など。

 ソシャゲ化しているので、仲間キャラクターやレア装備の入手はガチャになっていますが、アクションRPGなのでプレイヤーのテクニックでカバーでき、課金は必須とはいえません。
 また、ゲームの進行で頻繁に課金通貨をもらえるので、無課金でもかなりガチャは行えます。
 ただし、スタミナは存在します。

 ファンタジーライフシリーズはキャラクターが可愛らしく描かれている、ほのぼのした世界観のため、”ラグナロクオンラインのソロバージョン”と表現されることが多いようですが、採集や生産活動が重視されており、ゲームとしてはUltima Online』のほうが近い印象です。
 どうぶつの森と比較されることもありますが、戦闘があるためかなり異なります。

 「既存のMMORPGをソロプレイ用にして、日本流に再構築する」というコンセプトだったようで、そんなゲームをレベルファイブが作ったら…… といった内容ですね。

 公開は2018年の夏ですが、現在『本格始動キャンペーン』と称して、イベントや特典配布が行われています。(2月末まで)
 「本格始動って、じゃあ今までは何だったんだよ」と思わなくもないですが、当初想定していた内容がようやく一通りそろった、というところでしょうか。
 注目作であり、この機会にレビューしておきたいと思います。

 当面は「メインストーリー」の「クエスト」に沿ってゲームを進めていきます。
 画面をスライドして移動し、タップで攻撃。
 連打による連続攻撃や、タメ攻撃も繰り出せます。

 操作感はかなり良く、タッチパネルでも快適にプレイできます。
 同じ見下ろし型の3DアクションRPGには白猫プロジェクトドラガリアロストがありますが、『白猫』のような軽快なアクションが可能で、『ドラガリ』のような操作のクセはありません。

 これらのゲームと違うのは、広くて自由に散策できる、一本道ではないフィールドが用意されていて、クエストはその中で進行すること。
 目的地は指示されますが、ぜんぜん違う場所に寄り道をして、木を伐ったり魚を釣ったり、自由にして構いません。
 手に入れた素材は町で加工できるため、ついでに採取もしたほうがゲーム的にも有利です。

 冒険は4人パーティーで行い、操作キャラ以外の3人はAIで自動行動します。
 戦闘で一緒に戦ってくれるのはもちろん、自分が釣りや採掘を習得していなくても、仲間に釣り師や採掘師がいれば代わりにやってくれます。
 また、操作するキャラは自由に変更でき、仲間キャラでプレイすることも可能です。

アクションの操作性、攻撃時のヒット感や演出はかなり良いです。その辺はさすがレベルファイブ
フリックで回避を行えますが、回避にもSP(MPに相当)を使うので連発は控えましょう。
強敵と戦う時は正面に居すぎないように注意。
右の画像は釣りをしているシーン。魚の動きに合わせて指をスライドします。糸メーターがやばいときは、無理に引かないほうが良いです。

探険中に採掘や木こりをしているところ。戦闘だけでなく採取も楽しいゲームです。
鉱石や大木には「Sweet」と表示される弱点ポイントがあるので、周囲を回りながら軽く叩いてその場所を探し、それから強く叩くのが基本。
トドメをタメ攻撃にすると「Excellent」や「Overkill」が発生し、採取品が増えるので狙ってみましょう。

 クエストをクリアするか、任意に帰宅すると町の画面になります。
 町といっても最初は何もないのですが、木を伐り、施設や商店を建て、自ら町を作っていきます。

 基本となる生産施設は少額のコインだけで建てることができます。
 ただし生産をするには生産職になり、職業レベルを上げなければなりません。

 このゲームには「ライフ」と呼ばれる12の職業があります。
 このうち戦闘職は王国兵士・傭兵・狩人・魔法使いの4つ。
 他に採掘師・木こり・釣り人の3つの採取職と、料理人・鍛冶屋・大工・裁縫師・錬金術師の5つの制作職があります。

 3分の2が生産系という点を見ても、このゲームがどれだけ生産重視なのかがわかるでしょう。
 経験値の入手量も、戦闘より採取のほうが多かったりします。

 ライフ(職業)は少しゲームが進めば、いつでも好きなものに変更することができます。
 そしてメインストーリーとは別に、チュートリアルも兼ねた、それぞれのライフの物語とクエストが用意されています。

 前述したように採取や生産を仲間に任せられるので、全部自分でやる必要はないのですが、逆にすべて自分で習得することも可能。
 どのライフから進めても良いし、とにかく自由度の高いゲームです。

町には好きな場所に、好きな施設を設置できます。向きも変更可能。
施設の多くはお店と仕事場で、生産や買い物を行えるだけでなく、仲間に仕事を頼んで装備やアイテムを作ってもらうこともできます。
仕事場には大と小があり、大のほうは3人で作業できますが、時間と費用の効率が悪く、アップデートに必要な素材やお金も厳しいため、当面は小のほうで構いません。
見栄えは大のほうが良いですが……。

ライフの選択画面と、ライフクエストの一部。
最初は戦闘系のライフを選ぶと思いますが、転職可能になったら採取系のライフを一通り習得しましょう。
採掘や木こりを覚えておけば、他の職業になっても鉱石を掘ったり木を伐ったりできます。
ただしライフクエストのミッション(スターの試練)は、該当のライフになっている状態で条件を満たす必要があります。

料理シーン。キャラの外見的にイケないメニューがある気がしますが、きっとノンアルコール。
生産時にはミニゲームを行います。指示に合わせて連打や長押しをする簡単なものですが、能力が足りていない場合は時間が足りなくなることも。
仲間が特定の作業を早く終わらせられるスキルを持っている場合、そちらに交代したほうが効率が上がります。
フルオートにすることもできますが、オートは少し動作にロスがあります。「移動オート」がおすすめ。

 メインストーリーを進行させれば、新しいフィールドがアンロックされていきます。
 最初は草原だけですが、森、洞窟、滝、海岸などがオープンしていき、自由に狩りや採取を行えるようになります。

 メインストーリーは、ボリュームが少ないというほどではありませんが…… すでに公開から半年経っているゲームであることを考えると、あまり多いとはいえません。
 集中して進めれば、数日で(2019/1/31時点の)ラストまで行き着くでしょう。

 ただ、メインストーリーの終わりに複数のフィールドがまとめてアンロックされ、その時点ではとても敵わないような大ボスも各地に登場。
 それに関連するクエストも多数追加され、マルチプレイ用のクエストや、「神の塔」と呼ばれるソロ用バトルステージなど、多くの仕様が追加されます。
 各ライフ(職業)のクエストも、メインストーリー並に長いです。

 MMORPGの多くは、クエストはゲームの中心的なものではなく、代わりに広大なフィールドが用意されていて、「さあ、ここで自由に冒険してください」といったスタンスです。
 今作は3DSやスマホのゲームなので、一般的なクエスト主体のシステムになっていますが、MMORPGを元にしたゲームであることを考えると、メインストーリーが終わってからが本番といえるでしょうか。

フィールドには「メインストーリー」や「ライフの物語」から行く方法と、「フィールド探索」から行く方法があります。
このうちメインストーリーやライフのクエストはスタミナ神さまパワー)の消費が10で済みます。
メインストーリーはクリアしたら再挑戦不可ですが、ライフのクエストは何度でも行えるので、こちらで探索したほうが良いでしょう。
「フィールド探索」はスタミナを30も消費してしまいますが、複数のフィールドがアンロックされているなら相互移動可能で、さらに途中でライフを変更できます。
ゲームが進み、色々な場所に行けるようになって、複数のライフを習得したら、こちらのほうが長く自由な探索を行えます。

ソロ用のステージクリア型バトル「神の塔」と、強力なボスにマルチプレイで挑む「討伐クエスト」の様子。
マルチプレイは誰かが「ルーム」を作り、そこに他のプレイヤーが参加する形式です。
これらは現段階のエンドコンテンツやり込み要素)といえ、メインストーリーのクリアに必要なものではありません。
どちらも装備強化用の素材を得られますが、活用するには生産職のレベルも相応に高い必要があります。
なお、マルチ用の討伐クエストにひとりで挑むこともできます。辛い戦いになりますが。

 App StoreやGoogle Playの評価はそれほど高くありませんが、「ガチャでレアが出なかった。★1」や「うちの機種ではバグる。★1」といったレビューが多いためなので、気にしなくても良いでしょう。
 「ソーシャルゲーム×レベルファイブ」ということで低年齢層のプレイヤーが集まりますから、そうした評価が増えるのは仕方ないところでしょうか。

 ちなみに、ガチャで最高レアの★5が排出される確率は4%で、むしろ高いほう。
 必要動作スペックは3DグラフィックのアクションRPGですから相応に高く、iPhoneだと最低でも6以降である必要があります。

 MMORPG風といっても、実際にはMMOではないので、大勢の人々がいる世界で活動するという楽しみはなく、それとなく通りすがりの人に姿や強さを自慢することもできません。
 一方で、ソロなので狩り場での獲物の取り合いはなく、キャラクターもテンポ良く成長していきます。

 ゲームの面白さとしては、『アトリエ』系に近いといえるでしょうか。
 MMORPGの経験がある人、生産職でオンラインゲームをやっていた人、および生産系のゲームが好きな人に、特におすすめの作品です。

ファンタジーライフ オンライン

さまざまな職業で生活できる生産重視のアクションRPG

(画像はファンタジーライフ オンライン – AppStoreより)

・見下ろし型アクションRPG
レベルファイブ(日本)
・アプリ本体無料、課金・ガチャ・スタミナあり

iOS版ダウンロードはこちらAndroid版ダウンロードはこちら

文/カムライターオ

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著者
Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
iPhone 解説サイト『iPhone AC』を経て電ファミニコゲーマーのお世話に。
シューティングとシミュレーションが特に好き。