ヤクルトの春季キャンプ(沖縄・浦添)で「バット投げ大会」が行われた。

 打撃練習の一環で、陸上のハンマー投げのように空高くバットを放り投げ、距離を競う。若手野手陣がチャレンジした第2クール初日に「優勝」したのは、相川のFA人的補償で巨人から移籍してきた6年目の奥村展征内野手(23)。大砲候補の2年目村上らが距離を出せずに苦しむなか、奥村は青空にきれいな放物線を描いて約30メートル、豪快に飛ばした。

 ボールでなく、バットを飛ばす意味について、発案者の石井琢朗打撃コーチは「体幹だったり、ボディーバランスが大事になる。横振りになったり、手をこねると、真っすぐ飛ばない。バットを内側から出すことも意識できる」と説明。体の使い方を学びながら「練習の合間の、ストレス発散にもなる」と相乗効果も狙う。

 シーズン中と違い、一風変わった練習が行われるのも、キャンプの楽しみの1つ。各球団のユニークな練習をピックアップしてみた。

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◆地鶏トレ
 宮崎・日南でキャンプを行う広島が03年、地元名産の地鶏を選手に追いかけさせる練習を発案。フットワーク強化を狙い、グラウンドに張った柵の中に宮崎県内の養鶏場から寄付された5羽を放った。

 だが地鶏は座り込んだまま動かず、その場で卵まで生み出す始末。

「意外と動かん。あいつら食べられて良いって腹をくくってる」、「まず地鶏を鍛えた方がいい」(選手)と不発に終わった。

コロンビアノック
 阪神が18年、三塁ベースから一塁ベースを往復する内野ゴロの捕球練習を行った。外野のポール間を走りながらフライを捕球する「アメリカン・ノック」の内野バージョン。三塁後方から一塁側へ走り、二塁手前と一塁手前でゴロを捕球。ミスした分、回数が増える。

 「アメリカより小さいからコロンビア」とコーチが名付けたという。

◆風船トレ
 ロッテが16年、寝ころびながら風船を膨らませるメニューを実施。横隔膜を強化し、体幹を鍛えるもの。

 楽天は今春キャンプでも実施しており、風船を膨らませることで「強く息を吹き込んで腹圧を高め、疲れてくると崩れてくる体の左右のバランスを整えることで、体の軸をつくる」(トレーナー)。オコエ選手は風船を膨らませながらバットを振り、打席での腹筋の使い方を意識した。

◆長嶋トレ
 巨人が16年、長嶋茂雄終身名誉監督の発案で「ケンカボール・トレ」が行われた。

 練習場所はマウンド後方。投手9人が一塁側から三塁側まで扇形に広がり、半円の中心にいる投手1人が、一塁側の相手から順番に素早くボールを投げ合う。タイムを計り、途中でミスをすれば最初からやり直し。足を使ったスローイングを意識付けした。

◆入れ替えトレ
 通常、投手と野手は別々に練習を行うものだが、ロッテは12年、練習メニューを入れ替えた。野手がブルペンに入って投球練習し、投手が打撃練習を行った。14年の広島は、投内連係で菊池ら野手陣が投げる側、投手陣が野手の守備位置についた。

 投手と野手でバラバラになりがちなお互いの気持ちを理解すること、コミュニケーションに狙いを置いた。

◆地下足袋(たび)トレ
 ロッテが15年、グラウンドの土の上で地下足袋をはいて打撃練習にチャレンジ。ロングティーで、普段より重いマスコットバットで約45分間振り続けた。

 伊東監督は「足袋だと踏ん張る力は内側にかかるから野球につながる。パ・リーグは150キロを超す直球を投げる投手が多いから、打ち負けないように、地面をつかむようなイメージが大事」と説明。

◆「恐怖」落合トレ
 巨人が15年、打撃マシンに正対し、ホームベース上に立って打撃練習を行った。球速は100キロ前後だが、空振りすれば、ボールが体に当たる恐怖がある。

 3冠王を3度獲得した落合博満氏が現役時代に行った練習方法として知られる。

 内田順三打撃コーチは「バットを体の内側から出せるように。外回りになると、空振りして体に当たりますから」。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「恐怖!落合トレ」、「コロンビア・ノック」、「地鶏トレ」etc. プロ野球キャンプ 珍トレ集