父親により10歳女児のかよわき命が奪われた、千葉県のDV事件。対応を誤った小学校や児童相談所に対する非難は止むことがないようだ。その悲惨な事件を踏まえ、今後どうすべきなのかを検討・提言すべき教育評論家が、ネット民さながらの脊髄反射的な言動に明け暮れ、世の子育て世代を呆れさせているという。

 尾木ママこと教育評論家の尾木直樹氏は2月6日、自身のブログに「子どもの声聴く児相、学校、教育委員会にして!!」とのタイトルで投稿。児童相談所の「解体的組織替え」を訴え、教育委員会については「無用の長物」と断罪してみせた。これらの発言について子育て中の女性誌ライターが首を振る。

「尾木氏が主張する内容にはなんら建設的な意見は感じられません。教育評論家を名乗るならせめて、児相が厚労省で小学校は文科省と管轄が異なり、連携が上手くいっていない縦割り行政を批判すべきです。それにこの件に関して保護者たちの間では、小学校で問題になるモンスターペアレンツモンペ)についての議論が交わされているのですが、尾木氏の発言からはモンペにまつわる諸問題への認識が感じられないのも残念。尾木氏は小学校で教えた経験がないため、小学校でなにが問題になっているのかを理解できていないのではないでしょうか」

 それでは尾木氏が知らないであろう小学校でのモンペとはどんなものなのか。女性誌ライターがこんな実例を挙げてみせる。

「とある小学校では、子供の扱いに不満を持った母親が“監視”と称して学内に常駐。しかし事なかれ主義の学校側は母親に退去を命ずることもなく、そのせいでその子供は文字通りに“腫れもの扱い”になってしまいました。同じクラスの子供たちもその母親から『いまのはイジメだ!』などとなじられるためすっかり委縮してしまい、その状況を嫌がった一部の家庭は子供を転校させたほどです。こういった事例に共通しているのは、親が学校側を『訴える!』と脅すこと。千葉の事件でも父親が児相の職員を名誉棄損で訴えると脅していました。そういった裁判沙汰に対して小学校や児相は対抗手段をもっておらず、『訴えられること自体が問題』という事なかれ主義により、親の暴走を許してしまっているのです」

 そういう状況だからこそ、尾木氏はお得意の「アメリカの事例」を紹介すべきだったという。

「尾木氏は高校教諭が生徒を殴った事件の際、これは体罰だと断定し、アメリカでは体罰に関する規定があると主張していました。そのアメリカでは学校群を管轄する学区がスクールロイヤーを雇用しており、学校内で法律問題が発生したら対応できる体制を整えています。日本でも港区や大阪市など一部の自治体で導入されており、保護者との話し合いに弁護士が同席することも。千葉の事件でも父親が児相に対して告訴をちらつかせた強硬な申し入れをしていましたが、これぞスクールロイヤーの出番でしょう。教育評論家を名乗るならぜひ、そういう観点での提言をお願いしたいものです」(前出・女性誌ライター)

 尾木氏は児相や教育委員会の解体と「子ども省」の設立を主張している。その「子ども省」が具体的に何をやる組織なのか、ご説明いただきたいものだ。

(白根麻子)

アサジョ