苦しむ子供(zdravinjo/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

7日に発表された警察庁のまとめによると、昨年「親などから虐待を受けた疑いがある」として、全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもが8万104人だったことがわかった。

 

■「児童虐待」過去最多

統計をはじめた2004年から14年連続で増え続け、初めて8万人を超え(前年より22.4%増)、過去最多。10年間でおよそ13倍にも増えている。

虐待の内容は、直接の暴力を振るわれていないが、言葉での脅しや無視など子どもの心を傷つける「心理的虐待」が5万7326人で、全体のおよそ7割。

続いて暴行などの「身体的虐待」は1万4821人、食事を与えないなどの「育児放棄(ネグレクト)」が7699人、性的虐待は258人だったそうだ。

 

■事件化が難しい「面前DV」

また、心理的虐待の中で最も多いのは、子供の前で母親や兄弟が虐待を受ける「面前DV」だという。先日、千葉県野田市の自宅で亡くなった10歳の女児も、自身が虐待に遭う前に父親が母親に暴力を振るわれている「面前DV」の疑いがあると言われている。

児童虐待の摘発も過去最多の1,355件と、10年でおよそ3.8倍に増えている。しかし、心理的虐待や面前DVの場合は、身体にケガがないため事件化が難しいのが現状だ。

亡くなった女児の事件は国会でも取り上げられ、8日に開かれた関係閣僚会議では、児相所などが把握している虐待が疑われる全てのケースについて1カ月以内に緊急の安全確認を行うと発表した。

■8人に1人が虐待経験

しらべぇ編集部は以前、全国の20~60代の男女1,328名を対象に「虐待」について調査を実施。全体のおよそ8人に1人が「両親から虐待を受けた経験がある」と回答している。

一歩間違えば取り返しのつかない悲劇を引き起こす虐待。ひとつの命を守るため、虐待の疑いがある子供に出来るせめてものことは、気付き「通告」することなのかもしれない。

 

■児相所に「通告です」

警察が虐待の疑いを把握するのは、主に周辺住民からの通告がきっかけとなる。今、子供に関わる職業をしている人が「もし虐待かも…と思って児相に電話をかける際には」と綴ったツイートが話題になっている。

「必ず『通告です』と言ってください。『虐待かも』などと言ったところで動くことは少ないです。『通告』という言葉を使うだけで児相は必ず動きます」。

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(文/しらべぇ編集部・長谷川 瞳

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」 調査期間:2017年11月17日~2017年11月20日
対象:全国20代~60代の男女1,328名(有効回答数)

児童虐待の通報が過去最多 第三者ができることは児童相談所に「通告」