オリンピックといえば、ギリシャ

スポーツの国際大会は、外国の国歌を耳にする数少ない機会のひとつです。オリンピックはその代表と言っても文句は出ないのではないでしょうか。

オリンピックといえば、発祥地のギリシャを欠かすことはできません。同国の国歌は、閉会式の定番ソングになっていますので、メロディーを知っている人はいるかもしれません。しかし、歌詞を知っている人は少ないのではないでしょうか。どんな意味を持つ歌詞なのか調べてみました。

「自由への賛歌」
私たちはいつも、あなたの存在を感じています
なぜなら、あなたには鋭い剣があるからです
私たちはいつも、あなたの存在を感じています
なぜなら、あなたには輝く目があるからです
その鋭い剣と輝く目で、あなたはこの地球を統治しています
古代に栄えたギリシャの先人たち
彼らの勇猛さと自由の精神を讃え
受け継いでいきましょう
おお、自由! おお、自由!

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世界一長い国歌

「自由への賛歌」は、オスマン・トルコからの独立戦争中の1823年、ディオニシオス・ソロモスが著わした叙事詩に、28年ニコラオス・マンザロスが曲をつけたものです。73年、正式な国家になりました。

158節あり、世界一長い歌詞の国歌とされています。全曲を演奏すると1時間近くなりますが、通常、演奏されるのは2節までだそうです(1分強)。

「自由への賛歌」は、東地中海にあるギリシャ民族の国、キプロスの国歌でもあります。1つの曲に異なる詩をつけた国歌を他国と共有する例はほかにもいくつかあります。しかし、同曲同詩を複数の国で国歌にしているのは、英連邦諸国の国歌である「女王陛下万歳」くらいのようです。

国歌のなかに、今も生きる古代ギリシャ

ギリシャはアテネ、スパルタ、コリントなどの都市国家で知られ、ヨーロッパ文明発祥地のひとつです、アテネの民主制は有名ですよね。

現在のギリシャ人はバルカン半島などから南下したラテン系などとの混血とされ、古代のギリシャ人とは異なる人種だとされています。こうしたことは欧州では珍しいことではないそうです。

血統的なつながりはなくても、同じ大地に息づいた、かつての栄光。その栄光を築いた先人たちを歌詞に残し、あやかろうとする気持ちがにじみ出たような歌詞ですね。

ギリシャ文明のあとの、ギリシャ

現在のギリシャは、粉飾決算を隠したEU加盟、デフォルト問題、キプロス分断をめぐるトルコとの対立、マケドニアとの国名問題、多すぎる公務員、国民の低い勤労意欲などを抱え、残念ながらいいニュースは聞こえてきません。

学校で習うのは、都市国家で栄えたギリシャ文明まで。その後の歴史は、どこか忘れられた観が否めませんので、簡単に振り返ってみます。

まずマケドニアに征服され、その後もローマ帝国東ローマ帝国オスマン・トルコと、ずっと従属の歴史です。国歌が作られた独立戦争後は独立国になりますが、国王はデンマークの貴族でした。1973年、国民投票で王制が廃止され、現在のギリシャ共和国になります。

まだまだ前途多難なギリシャですが、古代ギリシャの遺跡、そしてオリンピックは世界中の人々を魅了してやみません。
 
参考:『国のうた』弓狩 匡純、『世界の国歌』国歌研究会