U-20W杯優勝とリーグ戦デビューを経験した2018年を経て、なでしこチャレンジに参加

 日本女子代表候補グループを対象とした、なでしこチャレンジのトレーニングキャンプが、1月28日から4日間行われた。なでしこジャパン入りを目指す精鋭23名のなかで、フル代表の活動初参加となった1人がINAC神戸レオネッサのGKスタンボー華だ。ドイツ系米国人の父と日本人の母を持つ175センチの守護神は、「東京オリンピックの競争に食い込んでいきたい」と決意を口にした。

 スタンボーにとって、2018年は成長と課題を手にした1年だった。2017年のINAC加入後、公式戦出場を果たせぬまま、昨年8月に行われたU-20ワールドカップ(W杯)の大舞台に挑んだ。それでもグループリーグ第2戦のスペイン戦を除き、全6試合中5試合にスタメン出場。ヤングなでしこの正GKとして、好セーブを連発して世界一への快進撃を支えた。帰国後はリーグ第17節のセレッソ大阪レディース戦(4-0)で待望のリーグ戦デビューを飾り、2試合の経験を積むことができた。

「今まで試合経験が少なかった分、(U-20W杯の)大舞台でいつも以上に頑張らなきゃという思いはありました。日本に帰ってきてからもINACでリーグ戦2試合に出させてもらって、少しは自信がついたかな、と。でも、課題もたくさん見つかったので、自分と向き合う良いチャンスになったと思います」

 今回、なでしこチャレンジのトレーニングキャンプには、U-20W杯優勝メンバーからスタンボー、DF宮川麻都(日テレ・ベレーザ)、MF林穂之香(C大阪L)、FW宝田沙織(C大阪L)の4人が招集された。スタンボー自身、初めてフル代表に関わる活動に参加するとあって「緊張と不安もあった」というが、「それでもやらなきゃいけないことはできたと思います」と振り返る。

なでしこチャレンジに呼ばれてきた選手たちはみんな上手かったです。まだシーズン開幕前で思うように体が動かないなかでも、INACという素晴らしいクラブに身を置いているおかげで、『自分もやれる』と感じられる部分がありました。今回、チームとしてパスが合わない場面も何回かあって、自分も合わせきれなかった。そういう状況下で、『もう少し落ち着いて、周りを見てプレーしよう』とGKコーチに言われました。適応力と協調性は磨いていきたいと思います」

「『スタンボーなら大丈夫』と思ってもらえるような信頼されるGKになりたい」

 スタンボーが12歳だった2011年、日本女子代表はドイツで開催されたW杯で見事に大会初優勝。最後まで諦めずに戦う姿は人々の感動を呼び、「なでしこジャパン」の愛称はサッカーファン以外にも広く知られるようになった。当時は憧れるだけだったフル代表の舞台は、少しずつ現実味を帯び始めている。

なでしこジャパンワールドカップオリンピックで1位を狙っているチーム。U-20とはまた違って、世界のトップを目指すのはそれほど簡単じゃないと自分でも分かっています。自分の苦手な分野をもっと見つめ直していかないと、もう一つ上(のレベル)には行けない。私はシュートストップが得意なんですが、左足の精度とハイボールへの対応はまだムラが多いので、そこは今後の課題だと思います」

 なでしこチャレンジへの招集は、周囲の反響も大きかったという。応援してくれる人々に恩返しがしたい――。そんな思いも、スタンボーを突き動かす原動力だ。

「今回、親が一番喜んでくれました。『頑張って』とメールをくれたり、気にかけてくれる人、わざわざ会いに来てくれる知り合いもいた。そういう人たちの思いを背負っているなかで、皆さんに良い結果を伝えられるように、『スタンボーなら大丈夫』と思ってもらえるような信頼されるGKになりたいです。オリンピックは自分が小さい頃から夢見ていた舞台。自分の地元である東京で、素晴らしい大会が行われるということは誇りでもある。東京オリンピックの競争にしっかり食い込んでいきたいと思います」

 特大のポテンシャルを秘めるスタンボーがその才能を完全開花させた時、きっとなでしこジャパンはもう一段階上のステップにたどり着けるはずだ。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda

INAC神戸レオネッサのGKスタンボー華【写真:(C)INAC KOBE】