妻にイライラ

自分と100%価値観が合う相手など存在しません。もし、そういう相手と結婚できたと満足している人がいるとすれば、相手が合わせてくれているのに気付かないだけでしょう。

はてな匿名ダイアリー1月29日、交際2年・結婚約1年という男性から、「妻の些細なところが気になるようになってきた。」と打ち明ける投稿がありました。最近、

「食器を戻す位置だとか、靴を揃えないだとか、食器を洗ったあとシンク周りに飛んだ水を拭きわすれただとか」

生活上の些細な点が気になって喧嘩することが多くなったと悩んでいます。妻を嫌いになったわけではないけれど、「これまで許せていたことが許せなくなってしまいました」と綴り、既婚者に助けを求めています。(文:篠原みつき)

「シンクに撥ねた水を拭いてもらうために結婚したわけじゃないでしょ」

これは既婚者なら誰でも共感してしまう部分があるでしょう。結婚は生活なので、恋愛期間とは違う異文化コミュニケーションのすり合わせが必要です。

ブックマークは700近く付き、「わかる」という共感と共に多くのアドバイスが寄せられました。「シンクに撥ねた水を拭いてもらうために結婚したわけじゃないでしょ」「気になる方がやればいいと思う。そしてお互いに許し合う事。感謝する事」といった声が多く、確かにその通りです。

なお、結婚歴19年の筆者から見ると、

「他人に変わることを期待しても無駄。自分が動く(靴をそろえる)か、自分が寛容になるか、自分が離れるかしかない」
「相手をコントロールしようとするからぶつかるのよ」
「言い続けて『これ変わんないな』と思い始めたら気にならなくなるやつ」

といったコメントに同感です。言っているのにやってくれない場合、自分にとって重要でも、相手にとってはどうでもいいことです。「靴を揃える」や、「シンクの水はね」が、夫婦関係を壊すほどの重大事かどうか、冷静に考える必要があるでしょう。

カナダの精神科医で心理学者のエリックバーンは、「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」と言っています。変えられないことに腹を立てるより、自分に何ができるか考えたほうが建設的だろう。

努力している人たちが多い一方で「離婚すれば」という声も

また、共働きが多数派の現在、コメントの数々からは家事負担・家事のやり方についてもめる夫婦が多いことも伺えました。「食器をしまうくらい自分がやってみたら何のことは無かった」「食洗機や片付けやすい家具を買い、環境やシステムを変えた」など、努力している夫婦の多さに時代を感じます。

一方で、「離婚したらいいんじゃないの」という身も蓋もないコメントも。しかし投稿者は、「他人同士が住む上で避けて通れないものなら(中略)次の相手とまた同じことを繰り返すだけで意味ないです」と答えており、まったくその通りです。

人間関係の悩みを断つには「人と関わらない」となりがちですが、DVやモラハラなど重大な問題は別として、生活上の些細な摩擦で別れてしまうのは短絡的です。摩擦をくぐり抜けた先に、また別の良いこともたくさんあるのですから。

作家・田辺聖子は、夫の看取りを描いたエッセイ『残花亭日暦』で、「人生はだましだましもっていくべし」と書いています。投稿者には、自分のやり方にこだわり過ぎず、ほどほどに頑張ってほしいと思います。