自分たちらしくて、暮らしやすい間取りにしたいけれど、考えがまとまらない、どう伝えればいいのかよくわからない、という人は少なくない。そこで今回は、間取りをオーダーする上で大切なポイントを、Sデザインファーム 一級建築士の鹿内健さん、スタイル工房 チーフプランナーの渡辺ノリエさんに伺った。プロはどんな情報から間取りをつくり上げるのか参考にしてみよう。
わが家のベスト間取りを手に入れるために伝えること

1. 今どんなふうに暮らしているか
これからリフォームする予定の家で暮らす家族について、年齢や仕事、趣味、子育ての方針など、日ごろどんな暮らし方をしているかを伝えよう

2. リフォームしたい理由&理想の暮らし方
リフォームしたい理由、現状の不満や解決したい問題点、その空間を誰とどんなシチュエーションで使いたいか、リフォーム後の理想の暮らしを伝えよう

3. これから何年住むつもりか
建物の種別や築年数、修繕履歴などの情報を伝える。その際、今後何年その家に暮らすか、家族の変化なども意識し、必要なリフォームを考えよう

4. 予算+やりたいこと
工事や完成の希望時期と予算を伝える。見積もりが高くなることを恐れて、極端に予算を抑えて伝えると、期待したプランにならないこともあるので注意

「なぜそうしたいか」の理由や背景を伝えよう

例えば「広いリビングが欲しい」というオーダーの場合、プランナーが最も注目するのは、部屋数や畳数ではなく「なぜそうしたいのか」というリフォームの理由や目的だ。
「一口に“広い”といっても、人によって感じ方は違います。なぜ広さが必要なのか、そこでどう過ごしたいのか、理想の暮らしや重視することがプランニングの手掛かりになります」(鹿内さん)

理由や理想を言葉にするのが難しいなら、現状どう暮らしているかを詳しく伝えるのも有効。
「生活パターンや家族の習慣などを話してもらえると、部屋の使い方や家族の距離感がわかり、その家族に合った解決策を提案しやすくなります」(渡辺さん)。例えば、リビングは朝、昼、晩と、誰がどう過ごしているのかを伝えることで、テレビを見る、仕事をする、子どもが遊ぶなど、明確な役割をもった「使いやすい空間」を提案してもらえる。

ただし、部屋の使い方や家族の距離感はライフステージで変化する。リフォームでは今だけでなく、5年後など少し先の暮らし方も意識して考えたい。
プロの力を引き出す間取りオーダーのポイントを2組のケースを例に見ていこう。

2人暮らしを満喫したい夫婦は……
→趣味やこだわりのアイテムなど、オフタイムをどう過ごしたいか伝えよう

Aさん夫妻(写真はイメージです)

Aさん夫妻の場合(夫35歳・妻34歳)
<夫の希望&暮らし方>
「この中古マンションは緑の多い周辺環境や窓からの眺望が気に入って買いました【1】。共働きで平日はお互い忙しいので、家事は土日に協力してやります。妻は掃除や洗濯は好きみたいですが、料理は僕のほうがレパートリーは多いので一緒につくることも【2】。凝り性なので、調理道具やスパイス類も多いほうです」

<妻の希望&暮らし方>
「以前住んでいた部屋は壁で細かく仕切られていて暗い印象だったので、今度は明るくて開放的なリビングにしたい【1】です。洋服と靴が多いので、家のあちこちに分けて収納していましたが、それが使いにくくて……。寝室は狭くていい【3】ので、夫婦別々の収納が欲しいです。洗面室は●▲ホテルみたいな雰囲気【4】が好みです」

【1】リビング
◎家の好きなところを伝えて、良さをもっと引き出してもらう
間取りというと、家の中だけで考えがちだが、窓から見える周辺の景色やバルコニーなどのスペースも含めて考えると、プランの引き出しはさらに増える。「使いにくいところや不満でもいいですが、その家の何が気に入っているか、周辺環境や眺望など、一見間取りとは関係ないように思えることも話してもらえると、その良さを活かせる提案がしやすくなります」(鹿内さん)

【2】キッチン
◎誰が使うか、料理の頻度やよくつくる料理の情報も伝える
食事の取れるダイニングカウンターをつけたり、夫婦で一緒にキッチンに立つことが多ければ通路を広く取ったり、二列にレイアウトして作業スペースを分けたり……キッチンは主に誰がどんなシチュエーションで使うのかがポイントになる。「よくつくる料理や、持っている調理器具、食器類を教えてもらえると、キッチンに必要な収納のサイズ、配置を考える参考になります」(渡辺さん)

【3】ベッドルーム
◎眠る以外の用途を伝え、適切な広さと機能を備えよう
眠る空間、着替えや化粧をする空間、読書など趣味を楽しむ空間――自分にとって寝室はどんな用途の空間なのかを伝えると、必要な広さやレイアウトを提案してもらえる。「例えば、夫婦の就寝時間がずれている場合や、外出前・帰宅後の身支度の動線によっては、寝室はコンパクトにし、別の空間にクロゼットや趣味に打ち込める書斎などを提案するケースもあります」(鹿内さん)

【4】サニタリ
ホテルレストランを例に、好きなイメージを共有する
洗面室やトイレなどのサニタリー空間はプライベート性の高い空間であるため、比較的間取りやインテリアでも冒険がしやすい。ホテルのようにサニタリーと一体化した間取りや、大理石などインパクトのある素材を取り入れることも可能。好きなテイストを伝えるときは「例えば、気に入っているホテルや、ネットの画像検索などでイメージを共有するとわかりやすいですね」(鹿内さん)

子育て中のファミリーは……
→家族みんなの生活リズム、夫婦、親子の距離感を伝えよう

Bさんファミリー(写真はイメージです)

■Bさんファミリーの場合(夫43歳・妻41歳・長女14歳・長男11歳)
<夫の希望&暮らし方>
「夜はリビングで読書をします【1】。買い物は週に1回、休日に車で出掛け、まとめ買いをします【2】。リビングは多少小さくなってもいいので、子どもたちにそれぞれ個室を与えたい【3】です。子どもが独立したら、そこは僕の書斎【3】にできたらいいなという思いも。最近は子どもの部活動が忙しく家族一緒の外出は減りました」

<妻の希望&暮らし方>
「共働きなので、平日の料理は手早く簡単に【2】できる炒め物などが多いですね。時間のある休日は家族で一緒に料理するので、広い作業台があったらいいな【2】と思います。最近子どもたちの体が大きくなったためか、リビングも洗面室も一緒に使うのは狭く感じます【1】。特に洗面室は狭いので朝はとても混雑【4】します」

【1】リビング
◎一緒にすること&別々にすること、「居場所」を複数用意しよう
子どもが成長すると、親子の距離感は変わる。「リビングは家族で一緒に何かするよりも、同じ空間を共有しながら、自分のことに没頭できる空間づくりが必要になります」(鹿内さん)。リビングの一角にライブラリーを設けるなど、人が集まりやすい仕掛けをつくるのも良い。収納や壁で緩く区切るなど、死角やこもり感をつくるのもリビングの居心地を良くするポイントだ。

【2】キッチン
◎使う頻度の高い家電や食器など、家事の流れを軸にレイアウトを考える
「忙しい共働き家庭のキッチンは、機能的で簡単に掃除・片付けができることが求められます。普段の家事の流れを考え、使う頻度の高い家電、調理器具、食器などを軸にすると、どこに作業スペースや収納を取れば効率が良いかレイアウトイメージしやすくなります」(渡辺さん)。食べ盛りの子どもがいて、食材のストックが多い家庭なら、パントリーを設けるのも一案だ。

【3】子ども部屋
◎いつまで必要か、10年後の使い道も考える
子ども部屋はいつまで必要か、数年後その空間をどう使うか想像してみましょう」(渡辺さん)。子どもと過ごす期間は長い人生の中でみるとほんの一時。子どもが巣立った後は、リビングとつなげて使いたい、主寝室のクロゼットにしたいなど、少し先の暮らし方をイメージすると、それぞれの部屋の広さや、どの部屋の隣に配置するか、扉や照明の位置なども決めやすくなる。

【4】サニタリ
◎洗面室の小物をチェックし、家族が使う時間、使い方を伝える
洗面、洗濯、浴室の脱衣スペースを兼ねる場合も多く、時間帯によっては混雑して使いにくいことも。不満の内容によってはスペースを広げ、2ボウルシンクにするほか、洗面室と洗濯室を分けたり、洗面室を廊下などオープンな場所にする方法がある。「まずは家族の生活パターンや洗面室に置いている小物類から、日ごろ洗面室がどう使われているか振り返ってみましょう」(渡辺さん)

自分たちの暮らしに合った間取りにすることで、使い勝手が良く、居心地の良い空間になる。上記の例を参考にして、自分たちにぴったりの間取りをオーダーしてみよう。

●取材協力
・Sデザインファーム 一級建築士 鹿内健さん
スタイル工房 チーフプランナー 渡辺ノリエさん●SUUMOリフォーム実例&会社が見つかる本 首都圏版 SPRING.2019
今号の特集は
・【実例】最高に楽しい家はこうつくる!
・満足度に差がつく間取りオーダー方法
・これ、いただき!個性派アイデア
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(SUUMOリフォーム 編集部)

(写真/PIXTA)