草なぎ剛が新年早々、お茶の間を驚かせた。フリマアプリ「メルカリ」のテレビ新CM「三日坊主」篇で、僧侶にふんして丸坊主の姿を披露したからだ。昨年は、香取慎吾とのCM「スカルプD メディカルミノキ5」で、額が広い薄毛ヘアを見せたが、今年はついにスキンヘッド。思い切りのよさを見せつけた。

 草なぎジャニーズ事務所を退所後も仕事に恵まれている。役者の仕事は向こう数年分が決まっているようだが、この地位に上りつめるまでは当然、苦労の連続だった。特に、元SMAPのなかでは遅咲き。冠バラエティ番組のメインレギュラーに抜てきされたのは、23歳だった。テレビ誌の編集者は当時をこう振り返る。

「98年にスタートした『鶴瓶・草なぎの夢中宣言「がんばります。」』(テレビ朝日系)で、笑福亭鶴瓶の相棒として、初のソロバラエティに挑みました。ところが、おもしろいことをやらないといけないという焦りと緊張感で、すべてが空回り。一月と持たずに打ち切られてしまいました。そのとき、草なぎは鶴瓶の楽屋を訪れて、『ボクの力不足で…』と泣いて謝罪しています」

 草なぎにとって鶴瓶は、幼いころにテレビで観ていた有名なおじさん。そんな雲の上の存在であった人との初共演で、気合は十分だった。しかし、視聴率はゴールデンタイムにもかかわらずコメ印(1%未満)という惨憺たるもの。SMAPでは高い数字を残していた時期だけに、ソロになると獲れない葛藤に頭を抱えた。

「鶴瓶の前で見せた涙は早くもその年、好結果を生みました。ユースケ・サンタマリアとのバラエティ『「ぷっ」すま』が同じテレ朝ではじまると、その後、SMAP解散後の18年まで続く長寿番組となったのです」(前出・テレビ誌編集者

 鶴瓶はSMAPが分裂した現在も、双方と友好な関係を保っている。中居正広とは「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ系)で共演中。草なぎが17年に稲垣吾郎、香取と初めてインターネット番組「72時間ホンネテレビ」(AbemaTV)を生配信した際には、スケジュールの都合で出演こそできなかったもののお詫びと新たな門出を祝福して、高級うなぎ弁当を全スタッフ分の200食も差し入れしている。

 芸歴48年の鶴瓶と、32年のキャリアを誇る草なぎジャニーズ退所後、草なぎが地上波と一線を画すスタンスになってからは、「笑っていいとも!」(フジテレビ)で共演していたころのように、鶴瓶と顔を合わせることはなくなった。それでもなお、草なぎにとって鶴瓶は、タモリと並んでオープンマインドで接することができる貴重な大先輩であることに変わりはない。

(北村ともこ

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