Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。本年度アカデミー賞で最多ノミネートを誇る鬼才監督の歴史ドラマに、旬な若手キャストによる不思議な恋愛映画、家族をテーマにした複雑な群像劇など、バラエティに富んだ作品をピックアップ

【写真を見る】アカデミー賞衣装デザイン賞にもノミネートされたエレガントな衣装(『女王陛下のお気に入り』)

■ “昼ドラばり”の女の愛憎劇『女王陛下のお気に入り』(2月15日公開)

過去作のほぼすべてがカンヌを沸かせてきた鬼才ヨルゴス・ランティモスによる、米アカデミー賞を含む今年の賞レーストップグループに位置する異色作。18世紀のイングランド王室を舞台に、孤独な女王の寵愛を巡り、従妹同士の女官長と女召使が繰り広げる罠の掛け合い、その三角関係の愛憎ドラマを、昼ドラばりにドロドロと、同時に格調高く描きだす。女王の寵愛=権力を意味し、この時代の女3人の関係が政治的権力や国策をも動かしていたという“史実”を基にしたというから驚く。万人が眉をひそめながらも、女たちが欲望や本能のまま突き進んだり、よろめいたり、大胆な策略を巡らせる姿が刺激的で心がはやり、もう目が離せない!女優3人の、内臓をさらけ出すような熱演も素晴らしすぎる。(映画ライター・折田千鶴子)

■ 怒涛のクライマックスと味わったことのない深い余韻…『フォルトゥナの瞳』(2月15日公開)

永遠の0」「海賊とよばれた男」などで知られる百田尚樹の同名小説を映画化。“死を目前にした人間が分かる”特殊な能力を持った青年の慎一郎が大切な人を守るために奔走する姿を追う本作は、恋愛映画の旗手、三木孝浩監督が『坂道のアポロン』(18)などでも見つめた初恋の想いを、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)のジュブナイルな世界観でよりハードに描いたラブファンタジー神木隆之介がこれまでにない男らしさで慎一郎を熱演。彼が恋に落ちる葵を有村架純が自然なかわいらしさで体現。人は大切な人が危険にさらされたらどうするのか?怒涛のクライマックスでは慎一郎の想いと行動に自分を重ね、ある真実が明かされるラストでは味わったことのない深い余韻に包まれることになるだろう。(映画ライター・イソガイマサト)

■ 濃縮されたドラマチックな家族の群像劇ファミリー・ツリー -血族の秘密-』(Netflix配信中)

ANA+OTTO アナとオットー』(98)、『ルシアSEX』(01・未)などで知られるスペインの名匠フリオ・メデムが撮り上げたNetflixオリジナル映画。田舎の小高い丘に建つ家を訪れた若いカップルが、お互いの家族について告白し、それを本にまとめようと試みる。しかし、それぞれの両親らの葛藤や秘密が解き明かされていくうちに、主人公たちの絆まで危うく揺らぎだすという物語だ。現在と過去を行き来し、大勢の登場人物が交錯する設定はかなり複雑だが、愛の喜びと痛み、人生の美しさと残酷さがドラマチックに濃縮された群像劇は見応え十分。題名の『家系図』を連想させる“木”などの象徴的なイメージをふんだんに盛り込み、まばゆい光と官能性に満ちたビジュアルにも魅了される一編だ。(映画ライター・高橋諭治)

週末に映画が観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!(Movie Walker・構成/トライワークス)

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