視覚障害を抱える夫婦と彼らが連れていた盲導犬が、タクシーに乗車拒否されるという出来事が昨年6月にイギリスで起こった。このタクシー運転手は乗務員資格を剥奪され、罰金が科せられたという。被害に遭った夫婦は、今回メディアに「このようなことは他の誰にも起こってほしくない」と話している。『Nottingham Post』『Metro』などが伝えた。

ノッティンガムシャー州ノッティンガムで2018年6月24日、視覚障害を抱えているマーク・ホイットルさんと妻キャサリンさん、そして盲導犬のアーチャーは個人経営のタクシー会社に電話をしてパブの前まで迎えに来てほしいとタクシーを依頼した。

夫妻は犬を連れてパブの前で待っていたが、一向にタクシーが来る気配はなかった。すると通りがかりの人から「タクシーを待っているのか」「タクシーなら走り去った」と聞かされて愕然となった。タクシーの運転手モハンメド・サギル(59歳)はタクシー会社から連絡を受けた場所まで来たものの、マークさんたちを乗車させることなく黙って走り去って行ったことが分かった。

マークさんがタクシー会社に電話をすると別のタクシーを寄越したが、モハンメドに連絡したところ断固として「犬は乗せたくない」と拒絶したという。キャサリンさんはこの件を通報するようマークさんに伝え、マークさんは翌日協議会に苦情を訴えた。その後すぐに調査が行われると、モハンメドは過去にも罰金を科せられる処分を受けていたことが判明した。今回ダービー裁判所で、客を乗車拒否したモハンメドにはタクシーの乗務員資格が剥奪されたほか、罰金210ポンド(約29,800円)、裁判所費用236.17ポンド(約33,500円)および課徴金30ポンド(約4,300円)の合計476.17ポンド(約67,600円)の支払いが命じられた。

マークさんは「生計のためにタクシー運転手をしていたんだろうから、ライセンスを剥奪されて気の毒だと思わないこともないが、自業自得でしょう。タクシー運転手として契約しているからには、規制を守って然るべきです。今回の場合は、介助犬を乗車拒否してはならなかったということです。タクシーを使う目的でタクシー会社に電話をしているんだから、こちらは当然迎えに来てくれるものと思うでしょう。今回の対応は不公平で差別です。ほとんどのタクシー運転手はとても丁寧ですが、もし介助犬を連れた若い女性に同じことが起こったらと思うと不安になります。自分が経験した出来事について、世間に注意を喚起したいと思いました」と語っている。

ハックニーキャリッジ(後部乗車部分に少しスペースのある英正式タクシー)および私有乗用車の乗務員資格を無期限に剥奪されたモハンメドについては、今後タクシー運転手として相応しいということを証明できるのであれば再申請も可能となり、再び資格を得ることも不可能ではないとのことだ。

ノッティンガム市のトビー・ニール評議員は「この件を聞いてショックを受け、すぐに調査したところ、運転手が犬を乗せるのを嫌がったのが理由だったことが分かりました。盲導犬やその他の介助犬および飼い主は、平等法のもと場所や乗り物など多くのサービスを受ける権利があります。もちろんタクシーも含まれています。にもかかわらず、タクシー運転手が彼らを道路脇へ立たせたままにしたことは全く持って許し難いことです。今回の判決は他の運転手にとっても強いメッセージとなったことでしょう。運転手改善のためのペナルティポイント法『Driver Improvement Penalty Point System(DIPPS)』を2017年4月に導入して以降、このシステムを侵害したとして56人の運転手に処分が下されています。こうした制裁は、協議会側にとっても重要な結果となるのです」と述べている。

このニュースを知った人からは、「乗車拒否した運転手へのこの制裁は明らかに自業自得だろう」「運転手にはなんの同情もできない」「障害者の乗客に対応できないのならタクシー運転手になどならなければいい」「でも再申請できるのなら、無期限の資格剥奪にはならないよね」「タクシー運転手によっては、車椅子利用者を乗車拒否したりもするからな」「法を無視して好き勝手に乗車拒否するタクシー運転手がいることにはもううんざり」「タクシー会社も犬がいることを伝えられていたのなら、普通の乗用車ではなくハックニーキャリッジを寄越すべきだったのでは。そうしたら状況は変わっていたかもしれない」といった声があがっている。

画像は『Nottingham Post 2019年2月7日付「Nottingham taxi driver loses licence after refusing to pick up blind man and his guide dog」(Image: Mark Whittle)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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