又吉直樹が原作・脚本監修を務める映画「凜‐りん‐」(2月22日公開)は、佐野勇斗と本郷奏多がW主演をする青春群青サスペンス。「100年に一度、村から子供が消える」という伝説が伝わる村の高校に、東京から季節外れの転校生・天童(本郷)がやってくる。同じクラスの耕太(佐野)たちは天童と仲を深めていくが、次第に2人の周囲で子供が行方不明になっていく…。物語のキーマンである本郷奏多演じる天童の過去を知っている同級生・佐那を演じた平祐奈にインタビュー!!

【写真を見る】キーパーソンを演じる平祐奈のクールな表情をパチリ

――映画をご覧になっての感想を教えてください。

シリアスなミステリーなのでゾクゾクしながら見たんですが、その中にも天童くんたちをはじめとした高校生男子5人の友情が描かれていて、単なる怖いだけの作品じゃないんだな~って。

そしてこの人が犯人だろう…と思って見ていたんだけど、途中から違う!って裏切られて…(笑)。ミステリーならではの楽しみももちろんありました。又吉さんさすが!と、終始思いながら見入ってしまいましたね。

――又吉作品ならではと感じたところは?

雰囲気が独特なんです。本の世界を覗いているっていうか、文学的なんだと思いますね。「火花」を読んで感じたヒリヒリした感じとはまた違いますが、又吉さんの人柄が表れているような感じがします。

あと、(今作は)複数の視点で描かれていて。仲良し5人組それぞれの悩みや家族についても描かれているし、その家族の心も描かれている。主人公と同じくらいの年代なら彼らに、大人ならその親に感情移入して映画を楽しめるんじゃないかなと思います。5人のキャラも個性的で最高ですし!!

――平さんは、天童の元クラスメイト役ですよね。

そうなんです。東京の学校の設定だったので、5人組と一緒のシーンはなくて。私もあの学校の生徒でいたかったな~。撮影場所は、自然がいっぱいあって楽しそうでしたから。

ちなみに私が演じた佐那は、中学生の時に色々あってトラウマを抱えているけど、それを見せずに生活をしている天真爛漫な女の子。彼女の気持ちは100%は分からないけれど、触れられたくない過去がバレて友達に笑われたら…と思うとすごく悲しくなりました。“役作り”というほどではないかもしれないですが、佐那ちゃんのことを色々想像して気持ちを作りましたね。

――平さんのクランクインはすべての撮影の初日に行われたとのことですが、現場の雰囲気はいかがでした?

私は本当に短期間での撮影だったので、現場の雰囲気とか分からなかったんです(笑)。他の方もまだお芝居をしていないしどんな雰囲気になるのか分からない中、本郷さんと撮影しました。

本郷さんは以前、バラエティー番組でもご一緒させていただいたんですが、ちょっと“変わった人”という印象で(笑)。お話をしているとツッコミがすごく独特で面白いんです。今回もたくさん笑わせていただきました。

――涙を流すシーンをカメラアングルの都合で2回撮影したけど2回とも同じタイミングで涙が出てすごかった!と監督がおっしゃっていましたが…。

実は、あんまり覚えていないの(笑)。そうだっけ~くらいの感じで。たまたまですよ。池田(克彦)監督には本番前に「そんなんじゃダメだよ」と言われたりして。それを聞いて私が「なにくそ~」って思って演技をするのを期待してくださったらしく。私の負けず嫌いで頑固者っていう性格がバレていたみたい(笑)。おかげでいつも以上に力を出せました。

監督は目力があるから怖そうって思われるみたいですが、実は優しくって。そして自分の中にこうやって欲しいという明確なビジョンがあるから、演じる側としてはやりやすかったです。今度は短期間じゃなくガッツリご一緒できたらうれしいです!

――耕太や天童らは楽しそうな高校生活を送っていましたが、平さんはどのような高校生活を送っていました?

5人みたいに友達と外でお弁当を食べたりしました。私の学校はお昼の時間は学校を出てもよかったので、先生や友達と公園に行ったりして。みんなで一緒に食べると、いつものお弁当もすごく美味しいんですよね。映画でも5人でお昼を食べていましたが、あのシーンはカワイイし青春だな~って感じました。

あとは本当に普通に楽しい高校生活で…。大変だったなと思ったのは高校3年のころの受験シーズン。このときはお仕事も忙しくロケが多かったので、地方のホテルに泊まって撮影をし、朝までホテルで受験勉強をする毎日でした。母親が出張塾講師みたいな感じで勉強を教えに来てくれたり…。懐かしいな~と思うけど、よく考えたらついこの間のことですね(笑)。

――今回はちょっとクールな天童や純粋な耕太のほかに、家族思いでムードメーカーの大仏(須賀健太)、友達思いな竜二(亀田侑樹)、少しやんちゃな泰輔(櫻井圭佑)と5人の高校男子が登場しますが、好みのタイプは?

えー。悩むけど“ホトケ”がいい!! って、“ホトケ”じゃなくて“大仏”だ。間違えちゃった(笑)。大仏くんの笑顔がいいんですよ。人に気を使ってばっかりの良い子なんで、なんか守ってあげたくなっちゃう。女性なら母性本能をくすぐられるはず。でも、みんなタイプが違うけど良い子ばかり。そんな彼らの友情を楽しみに見ても面白いと思います。(ザテレビジョン・取材・文=玉置晴子)

映画「凜‐りん‐」に出演する平祐奈